吾輩は蚯蚓である。夜を昼を様々な街に縦横無尽に出没するたくましい生き物である。
根っからの外食好き"蚯蚓"の食生態フードダイアリー。

2005年04月08日

浅草 〜刺身も焼き魚も一級の美味しさ (小料理)

本日夜に浅草で美味しい魚を堪能す。

浅草は蚯蚓好みの店を見つけるのが非常に難しく、当たり外れを繰り返しつつ、
丁寧に歩いて店を探している街であるが、この店はそうやって見つけた隠れた名店である。

浅草のすし屋横丁から程近いところにあるこのお店、水車が印象的なこぢんまりとした
店構えで、中の席の作りもなかなか凝っていて風情がある。

この店はどの皿を頂いても、見た目に綺麗で味も実に綺麗で美味しいのだが、特筆すべきは刺身である。
今回は旬の桜鱒が入っていると云う事で、それを入れた刺し盛りを発注。
また蚯蚓の好きな赤なまこの酢の物も併せて発注した。

浅草 刺身.gif

まずお通しの河豚の煮こごり。
煮こごりというと醤油で黒っぽくしがちであるが、この店の煮こごりは薄ベッコウより透明に近い、
淡い透き通った色で、ほのかに生姜が効いた味わいは熱燗とともにいただくと、
その熱で煮こごりがほろりととろけ、一層風味がたって美味しくいただける。
赤なまこも噛むほどに海の潮の味わいがして、そこに程よい甘酢の感じがしてたまらない美味しさである。

桜鱒はサーモンのようなしつこい脂感がなく、口当たりはさらりとしていながら、
旨味と甘味が濃厚で味わい深い。
ただし、それが口の中でふわりと消える実に不思議な感覚で、形容しがたいがともかく美味しい。
このお頭の焼き物もサーモンを焼いたというよりは香り良く旨味の強い鯛を食べているような
感覚になる。
その他の赤イカの刺身や真鯛も旨味充分な状態で出てきてこれを本わさびで頂けて絶妙に美味しい。

浅草 桜鱒かしら.gif

黒豚の味噌漬けを焼いたものも大根と頂くと塩の角がとれて、
旨味と甘味と味噌の風味と塩気がやんわりと来て日本酒と実に良く合う一品になる。

浅草 黒豚焼き物.gif

このお店、客席数もそれ程ないのでぶらりと行くのは心もとないところがあるが、
これほどの質の高い魚を綺麗にさばいてゆっくり食べさせてくれることを考慮すれば、
予約の手間など惜しまずに席を取って、足を運びたくなるほどの良さがある。
こういったお店に出会えるから、街歩きをしたくなるといっても過言でない浅草の
味に優れた名店である。
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2005年04月06日

人形町 〜パンの役割が解るバーガー (ハンバーガー)

本日昼に人形町にてハンバーガーを食す。

人形町という街柄からはあまり連想されない赤が印象的な
ハードロックカフェ調の店構えのこのお店はハンバーガーの専門店である。

ハンバーガーということもあって、夜は比較的すいているのだが、
昼は地元のサラリーマンで一杯となる。
早速、ベーシックなハンバーガーを発注。
厨房は2人で回しているようであるが、ファーストフードというには難儀なほどの
タイミングでハンバーガーが来た。

人形町 ハンバーガー.gif

一口食べると粗挽き胡椒が効いたスパイシーな牛肉の味が先ずきて、
しっかり焼かれたパンは上に降りかかっているゴマがかりっと焼かれており、
ゴマの香ばしさがしっかり来てその香ばしさと、肉の旨味とスパイシーなしっかりした感じが
凛々しくてよい。

さらにはむっとほおばると、そのスパイシーな味と
酸味の少ないアメリカンなマヨネーズソースが混ざって
一口目よりまろやかで噛むほどに旨味が来てよい。
マクドナルドのハンバーガーよりずっと背の高いハンバーガーであるが、
食べるうちにそのくらいの厚みになり、
そのころになるとパンが肉汁を程よく含んでいて、
さくっとした表面の食感後に、肉の旨味が来て不思議とこの瞬間に
ハンバーガーの美味しさを感じる。
全体のおぼろげな印象としてはモスバーガーやフレッシュネスバーガーのような
トマトやたまねぎの効いたソースが牽引役というより、
肉のスパイシー感で食べさせるといった印象が強い。

佐世保バーガーなど、じわりじわりとチェーン以外のハンバーガーが
東京に進出していることもあり、
機会があれば、もっと色々なハンバーガーの食べ比べもしてみたいところである。

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2005年04月04日

人形町 〜心地よく頂けるベーシックなシチュー (シチュー)

本日夜、人形町にてシチューを頂き候。
人形町駅A4出口を出て、大通りより一本中に入った道をはこぢんまりとしたたたずまい。
茶色が印象的なアンティークな雰囲気を漂わせる内装で、
客席数は20も満たない落ち着いた雰囲気。
メニューはタンシチュー、ビーフシチュー、ハヤシライスなど
ドミグラスソースを使ったものがぽつぽつ。
本日タン入荷がないためタンシチューは「お休み」とのこと、
そのためビーフシチューを発注。

瓶ビールが1本開く結構時間の経った頃、底の深い土鍋風の器に入ったシチューが来た。
大きく面をしっかり取ってある人参、じゃが芋、いんげん、里芋等、
ごろっとした野菜と牛肉の入ったこのシチューは、
スープを飲むとトマトをほのかに感じるベーシックな味わいがしっかり来て、
煮込んで煮込み倒してほろ苦い旨味を含んだ奥深さが前に来る濃厚な味と言うよりは
野菜の旨味がしっかり凝縮されて出来た、だけどさらりとしすぎてもいない
最も平均的な旨味といった味わい。

人形町 シチュー.gif

このようなシチューだと肉や先述の野菜は別に仕込まれて、最後で合わせるため、
肉の始末が甘かったり、合わせてからの煮込みの時間が短かったりして
スープとの融合感に欠けてちぐはぐな皿を仕上げとして出す店もあるのだが、
待たせる最大限の時間まで粘って煮込んでいるようで、
肉とスープのまみれ具合は良く、美味しい。
野菜は敢えて野菜の味を活かそうとしているのか、食べると野菜はスープより
その素材の味が先にくる。

ごはんや合わせのサラダが丁寧に作られていることのみならず、
定番メニューが出せない表現を柔らかい言葉で伝えたり、出てきたシチューの器の雰囲気、
落ち着いた店の内装など、そこかしこに気張らず心地よく食事を頂ける要素が嫌みなく
この店には存在している。

また、今度きちんとした皿で発注した際に特筆したいと感じたのが、ロールキャベツである。
今回単品で発注したロールキャベツはシチューが標準的に美味しいとすると、
標準よりも一歩前に出た美味しさを持つといえる。

人形町 ロールキャベツ.gif

ここまで標準的な味わいを出されると、いささか新しい感覚の美味しさ発見という観点では
物足りなさもあるが、ロールキャベツの一歩前に出た美味しさなどを考慮すると、
丁寧に色々なメニューを味わってみたくなるお店であった。
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2005年04月02日

調布 〜酢か香辛料か梅のような風味を感じる店 (中華)

本日夜に武蔵野市場に隣接した大きな中華屋台で食し候。

「ゆかり」という温泉からそこそこに近い武蔵野市場にこの店はある。
夜遅くともなると辺りはコンビニエンスストアの明かりが嬉しいほどに
あたりはひっそりとしている中、ビニールで囲んだ屋台風の大きな店構えが非常に目立つ。

小皿風で一皿あたりの単価も安いので、非常に目移りしながらもスープやおかゆを発注。
酸辛スープは梅酢のような果実酢のような独特の香り高い甘酸っぱさが来て、
唐辛子のストレートな辛みも来るとあって非常にひんやり辛いものの、
それだけをかかりっきりに食べてしまう美味しさがある。

調布 スープ.gif

豆腐と葱の炒め物も出汁の鶏ガラスープや通常の胡椒の他に
酸味や梅のような山椒のような一種独特の芳ばしい香りに包まれている。

調布 豆腐炒め.gif

水餃子は外の皮が一度冷凍された感があり、堅くて厚めの皮の食感に疑問を抱きつつも
中の具に高菜のような具材も入っていて値段相応な味。

調布 水餃子.gif

豆苗の炒め物も見た目通りのおろしニンニクの効いた醤油風味の味付けで
おいしくいただける。
結果、一品辺りのボリュームもあるので、結果的に非常にリーズナブルである。

調布 炒め物.gif

この店は北京ダックのみならず、広東ダックたるものもあり、
今度この店を訪れる際は、この2つの「ダック」の違いや味について記事に出来ればと思っている。






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2005年03月31日

銀座 スープに底力を感じる店 (中華)

本日銀座8丁目に本店を構える有名中国料理の店で昼食を堪能す。

人と連れだって銀座で食事ということで、雑誌を用いて食事へでかけた。
今回は「東京生活」を用いて店をピックアップ。
地下に降りていくこの店は中華饅頭が有名らしい。
その饅頭と写真に載っていた青のり海老やきめしが気になって足を運んだ。

雑誌の記す通り、中華饅頭と麺のセット、単品で青のりやきめしを早速発注。
水餃子をこよなく愛す蚯蚓はそれを単品発注、それに連れの口コミ情報により、
フカヒレスープを加えた。

はじめにセットが来た。
肉まんは皮のふんわり感が確かに他の店と異なり繊細で、その口当たりが印象的。
中の肉餡自体の味も旨味が強く感じられる。雑誌によればこの饅頭の隠し味は貝柱とのこと。対の麺はスープが優しい鶏ガラ系の味ではあるが、麺の歯ごたえのなさなどは少々物足りなさを感じる。

青のりのやきめしは雑誌の写真のような端正な感じの盛りつけや
そこから想像される味わいと若干ずれはあるものの、青海苔の風味を十分にほおばりつつ、
はらりとほどけつつむちっとしたやきめしの食感や味わいが噛むほどにおいしさを増して
非常に食べ応えがある。

銀座 炒飯.gif

特筆すべきはそのやきめしに中華麺の椀ほどの大きさの器に緑の葉物や干絲豆腐等の
具沢山なスープがつくことである。
葉物の味わいやその他の具の風味がうつって優しい味わいになっているのだが、
これがやきめしをほおばってから一口頂くと、
別の旨味のある料理の様な感覚で頂けて二度おいしい。

フカヒレスープもばらばらにほどけたフカヒレの入った醤油風味のスープであるが、
とろみが片栗のとろみというだけでなく、米糊なのか鳥のコラーゲンなのか、
ともかく滋味深さが感じられる舌に味わいが長く残るとろみで、
甘みや醤油の塩っ気による辛み等の味の角部分を全て丸くしている様に感じる。
飲むほどにまろやかな旨味が残っては消え、それを求めまた口に運び、、、と
くり返す内にどんどん飲んでしまう。

銀座 ふかひれスープ.gif

水餃子もすごく美味しいという域ではないものの、
付け合わせの香草が効いて美味しく頂ける。

銀座 水餃子.gif

フカヒレスープなどは一人で頂くには少々値段も張るように感じるものの、
大人数で来て、少しずつ食べるという意味では決して銀座での食事から想像される
法外な値段には決してならない。
一人で来店した場合は、ベーシックなやきめし類でも楽しめるかもしれない。
やきめしの付け合わせのものとは思えないものや、
とろみの旨味が印象的なフカヒレのものなど、繊細さというよりはダイナミックだけど
まろやかさが感じられるスープが楽しいお店であった。
posted by 蚯蚓仙人 at 22:32| Comment(4) | TrackBack(0) | 銀座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年03月29日

小川町 〜素材をケチしないだけで得られる満足度 (中華)

本日都心の店がオーダーストップをかける頃、中華料理屋に入り候。
最近食事の時間が遅くなり気味な蚯蚓としては10時以降に入店できる店は有り難い存在である。

赤を基調とした一見どこにでもある中華小皿料理の居酒屋風の提灯で飾った店構えであるが、
この時間でやっている有りがたさと、店の外の本日のおすすめ料理の中に黄ニラを
使ったものがあったために入ることにした。

まずは紹興酒を発注。
コップやぐい飲みで出す店が多い中、口の開いたプロボーションの良いグラスで
出してくれるのが非常に印象が良く、気分良くいただける。

小川町 紹興酒.gif

次に黄ニラの海鮮の炒め物、水餃子などを発注。
程なくして皿が来る。
水餃子に過度にうるさい蚯蚓としてはゆで方のせいか肉の旨味が劣る印象があったが、
炒め物の皿など、くわいをはじめ、きちんとした野菜類を使っている上、
下ごしらえのイカの包丁の入れ方や野菜の筋や皮をとる処理などの舌触りに関わる
手間のかかるものは若干物足りなさを感じつつも、
火の通しの処理についてはちきんと手順を踏んでいるので、甘みも出ており、
おいしくいただける。

小川町 水餃子.gif

小川町 黄ニラv゙uめ物.gif

それにしてもこの店、頼んで料理が来てから気づいたのだが、
小皿料理といいつつ、出す量が通常の皿のボリュームなのにもかかわらず、
値段がおすすめのものなどは他店の小皿料理価格なため、
上手に頼むと下手な中華定食屋で色々食べるよりずっと安くつく。

食材、調理全てに細心の手間と注意を払って、
最上級のおいしさや食感を出して値の張る皿を出す店も良いが、
ずるをしない普通の食材を味に関しておいしくなるようにまとめて安価で出す
この店の特徴も確信犯的でおもしろい。

ここは値段は多少張るもののなまこのような乾物の料理も扱っている店なので、
今度はそのような皿や今回食べなかった麺類も食べてみようと思う。
posted by 蚯蚓仙人 at 23:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 小川町 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年03月27日

人形町 〜さらりとした甘味のトマトが美味しい店(イタリアン)

本日人形町にてパスタを食す。

人形町交差点にあるカフェの裏手の路地を少し歩いた半地下にこの店はある。
人形町ではイタリア料理で記事にしたくなるような店が正直発見できておらず、
目下探索中である。
店に出ている看板から察するに本格的までは行かないけれど、
美味しいと良いなという期待と、千歳烏山のように美味しいグラスワインを飲める店を
探しているという2点で入ってみた。

アマトリチャーナがあるということで、早速発注。程なくして、皿が来た。
アマトリチャーナというと、塩漬け肉の風味から始まって云々、というところだが、
肉は薄塩のおいしいベーコンで、パスタもデチェコの太めの乾麺を使っているような印象を受ける。
しかし、皿から来る最初の香りが実によい。
一口食べると唐辛子の辛さではなく冷たい良い香りが印象的である。
それが、よくあるしっかりと煮込んで濃厚にした奥深い方向のソースとも異なるし、
フレッシュなトマトの酸味を利かせて風味に層を持たせているのとも異なり、
もともとトマトのもつさらりとした甘みがストレートに美味しく出ているように感じて、
また胡椒が強めではあるものの全体をひきしめるのに良い役割を果たしていて、実に旨い。

人形町 パスタ.gif

トマトのサラダも発注したが、やはりこのトマトも美味しいし、
周りの葉物も酸味でさっぱりとというより、甘みが程良く美味しい甘酸っぱい
ドレッシングでまとまっている。

人形町 トマトサラダ.gif

カフェ風のこのお店は、本格的なワインやパスタの店ではないが、
このトマト扱いの良さなど味のまとめ具合がうまく、
内装だけきれいな店とは一線を隔した店で、今度は他の料理も気軽に食べに行きたいところである。

地図はこちらをご覧下さい
posted by 蚯蚓仙人 at 23:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 人形町 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年03月25日

下北沢 〜バランスよい香りと食感は奥深い風味と化す(中華)

今晩下北沢にて冷やし中華の美味しい店で夜を堪能す。

ここの海鮮冷やしが大好きな蚯蚓は、下北沢を訪れることが多かった時分、
この店に多々足を運んでいた。
久しぶりに訪れた下北沢で「あったらいいな」と閃いて足を運んでみたのだが、
当然のことながら、季節はずれの為メニューになく、別の皿を発注することにした。
トリソバが有名なので、これもいつも食べたいと思ってはいるものの、
1400円のフカヒレ麺を発注。
このフカヒレ麺、高級食材であるフカヒレそのものに惹かれている訳ではなく、
この皿のまとまり具合が印象的で、久しぶりに来た蚯蚓としては冷しの無い今
その記憶の掘り起こしがしたくなったのだ。

先にちょこちょこ発注したものをつまんでいると、いよいよフカヒレ麺がきた。
ここのフカヒレ麺は餡が非常に重要な役割を果たしていて、スープを濁さず、
軽く麺と野菜を堪能した後、餡と麺を絡めるようにしつつ野菜をつまんで食べると、
野菜は程良い葉物の青いほろ苦さと旨味のある甘辛い醤油
(片栗でとろみをつけた堅焼きそばの餡の甘辛系の風味に似たもの)のスープとさらに、
餡の滋味深い甘みとが融合して、濃いお抹茶と美味しいコクのある出汁醤油の甘辛い菓子を
堪能したような心地にさせてくれる。
また、しばらくしてスープの染み込んだフカヒレを思い切りほおばって、
また麺や野菜で愉しんで、またフカヒレをほおばって、とくり返すと、
二品堪能した気持ちで実に美味しく瞬く間にいただける。

下北沢 フカヒレ麺.gif

その他本日先につまんだイカと葱の炒め物もオイスターソースのような香りと醤油のコクと、
葱の香ばしさと甘みと透き通りそうな白いきれいなイカのとろっとした感じが融合して、
食感、香り共にバランスよくいただける。

下北沢 イカv゙uめ物.gif

この店の給仕の人は変わったと蚯蚓は思いこんでいたので、
前の方はどうしたのかと尋ねたのだが、実は同一人物で、そのようなことから話が広がって、
終いには冷やしの始まったときに連絡を頂くこととなった。

風味もさることながら、口当たりの優しい食感も考慮されているこの皿たちは
優れていると蚯蚓は感じている。
冷やしの連絡が来たら、早速足を運び、逐次今回記載しきれなかったバランスのよい料理を
堪能し、記事に出来ればと思う。
posted by 蚯蚓仙人 at 22:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 下北沢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年03月23日

新宿 〜バランスの良い風味の皿 (フレンチ ビストロ)

本日昼、新宿にてパンの美味しいビストロでランチを堪能す。

この店は元は国立にあったお店が移転して新宿に店を構え
かれこれ数年経つ店である。
今は無き三越百貨店の建物裏手の道をもう少し新宿3丁目寄りに行ったところにその店はある。

ここのランチは毎日食べるには高いけれど、たまの休日にゆったりと愉しむには
十分手頃な値段で、カジュアルなフレンチを頂くことが出来る。
どうも休日のランチはコースしかないようで、前菜、メイン(魚または肉)、デザート、
コーヒー、パンが付くものか、フルコースになっている。

メイン一皿のコースを発注。程なくして前菜がきた。
タコのサラダで一見するとヴィネガーのきいたマリネ風に見えるが、
ニンニクやわずかなタマネギ、オリーブオイルにパセリといった至ってシンプルなものだけで、
塩梅良く仕上げているため、タコ自体の質はほどほどであるが、十分に美味しさを堪能できる。
この店の特筆すべきはパンで、粉の美味しさもさることながら、
周りの皮のカリッとした食感と中の程良いしっとり感が非常に癖になるおいしさで、
出てきた料理とも良くあってついつい多めに食べてしまう。

新宿 タコのサラダ.gif

メインの肉はチーズとハムを豚肉で挟んでパン粉を付けて多めの油で揚げ焼きにしたもので、
酸味のほのかに残るトマトソースや、ディルの香りがメインのハーブ類と共に食べると
絶妙な調和をなして、独特の風味や味わいが出る。
実に美味しく、またジューシーでいながらカリカリに揚がった表面のパン粉の食感も
手伝って夢中に食べてしまう。

新宿 肉料理.gif

昼にばかり足を運んでいて、一度も平日の夜に訪れたことがないため、
ワインやチーズなど食べたことがないことは勿論、雰囲気すら知らない。
今度は夜に訪ねて、昼との違いを記事にしたいと思う。
posted by 蚯蚓仙人 at 22:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 新宿 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年03月21日

両国 〜猪肉鍋の猪肉の変化ぶりに感心  (なべ)

本日夜に両国橋のたもとにて猪鍋を食らう。

両国寄りの両国橋のたもとに、猪のレリーフの看板が極めて目立つ店がある。
大きな店構えで、老舗風なのだが、東京生まれの蚯蚓は猪などの肉は縁がなかったため、
どうにも気になって人と連れだって入店す。

2階の座敷席に通された。
各部屋は旅館の個室のお座敷席のようになっており、蚯蚓が通された部屋には子鹿の剥製が置いてあった。
給仕をしてくれる仲居さんのような女性達も皆、和服を着ており、小旅行に出たかのような気分になる。

初めてということもあり、コースで発注。程なくしてお通しが来た。
煮込み風の味噌仕立てのお通しなのだが、モツの代わりに猪の肉を使って作ってある。
興味津々で猪の肉を口にしたが、食感はしっかしりた牛肉、
味は牛、馬の中間の独特の味わいをほのかに感じる上品な味で旨い。

次に八丁味噌仕立ての鍋に火が入り、まずは猪肉を投入してくれる。
ある程度肉に火の通ったところで野芹、しらたき、葱、豆腐を加え火の通った野菜から
食べることを仲居から勧められる。
猪の肉は十分に火を通してからの方が軟らかくなり、美味しくいただけるそうなのだ。
そのアドバイスに従いたいところであるが、天の邪鬼の蚯蚓は猪肉の鍋の中での変遷をたどりたくなり、
逐次様子見で肉をつまんだ。

両国 しし鍋.gif

火の通った直後は歯ごたえのある豚肉のような食感で、味噌の香りやら薬味で付ける山椒や
一味の香りとのアンバランス感はあるものの、そういうものだと思えばそれなりに食べられる。
しかし、野菜が煮えて来た頃の肉はカレー用の牛肉が柔らかく煮込めず筋張って堅い
と感じたときの食感に近く、味はまあまあとはいえ、食べるのにしんどい。
野菜も食べ終え、食べ頃の肉は牛肉の大和煮のようにほろりと柔らかく、
味噌やら野菜やらの味が馴染んだものが肉に含まれていて、実に味わい深い甘みで美味しくいただける。
その他鹿肉の刺身や狸汁も堪能したのだが、どれも肉の個性を堪能できて非常に面白い。

両国 鹿.gif

今回はビールやらご飯でこの鍋を堪能したのだが、通は上手に発注し、
最後に鍋にうどんを入れて〆にしているようだ。
確かに、この猪肉の出汁の十分出た真っ黒な八丁味噌仕立てのうどんはここでしか味わえないはずである。

森下の馬肉の店より一見値段が高く感じるが、出す量がこの店は多いので、
仲居の不親切を意に介さず、上手に頼み方を考えれば、森下の馬鍋と同じ程度の値段で
猪鍋を堪能できる印象を受けた。
今度はこのうどんを食べにこの店を訪れたいと思う。
posted by 蚯蚓仙人 at 19:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 両国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年03月19日

浅草 〜火鉢を前に一杯引っかけたくなる鰻屋 (うなぎ)

本日蕎麦を求めて浅草に来たのだが、結局厳寒の中散歩をし、鰻重を食す。

先日人形町の寿司屋のおやじが浅草雷門前の道の蕎麦は中々、という話で出かけた次第である。
しかし土曜日ということも手伝って、普段行列など出来ていないであろうそば屋に数組並ぶ客がいた。
厳寒の中ここまでして待てない江戸っ子気質の蚯蚓は、気持ち新たに昼食の店を探す散歩に出た。

歩いてみると雷門通りから蔵前側のブロックに、気になる店が結構散在している。
何周かその界隈を歩いて、結局たなびく暖簾にいつもの通り惹かれて鰻を食すことにした。
入ると、机に埋め込まれた囲炉裏様のものがあり、鉄瓶から湯気が出て暖を採れる。

浅草 お品書き.gif

よくある鰻重や蒲焼きのみの店とは異なり、暖簾のごとくにぶらさがる短冊に
「こんにゃく」やら「みそまめ」、「もずく酢」等、
ちょっとしたつまめるものが綴られており、極めつけには「うなぎ酒」というのがある。
白昼から一杯引っかけたい心を鬼にして、こんにゃくと鰻重の中を発注。

こんにゃくは薄目の田楽風に切られており、醤油の香りがたつ出汁つゆが印象的で、
山形の玉こんにゃくを思い出させるような味わいである。
片手寂しくこんにゃくをゆっくりつつき、外の寒さも忘れようかと言うときに、鰻重が来た。

浅草 こんにゃく.gif

僅かにうぐいす色をした山椒は若い青みがかった香りのする香ばしさがあり、
少し脂分が強いふっくらとした鰻に通常よりも多めにこの山椒をかけて香りで脂っこさを断ち切り、
これにかこつけて一気に食べると美味しくいただける。
50円の肝吸いもたっぷりの量で、これらを食べ終えると実に腹がふくれ、
山椒の効用か体が暖かくなり軽い眠気に襲われる。

浅草 鰻重.gif

鰻の質や仕事が一級とは言い難いが、さすが浅草といった実に落ち着く内装で、
時を忘れて鰻を堪能することが出来る。
また山椒は遠慮気味にかけて、鰻の臭み消しを兼ねた引き立て役程度で頂くと塩梅がよいと
思っていたのだが、山椒の青い香りの強さに引っ張られて鰻を食べて旨い、
という一見アンバランスな食べ方で美味しくいただける鰻重に新鮮さを感じた。

鰻重は米、タレ、鰻、山椒の一見単純な組み合わせのものであるけれども、
そのこだわり方や食べ方によって、その先にある味わいに相当に違いの出る食べ物であることを改めて強く感じた。
それはともかく、鰻を比較的リーズナブルに堪能できるので、今度は吸い物の香り漂うこの場所で、
うなぎ酒と白焼きなどで一杯引っかけたいものである。
posted by 蚯蚓仙人 at 19:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 浅草 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年03月17日

馬喰横山 〜昼をにぎわすランチカレーを探索 (カレー)

本日昼にて馬喰横山でカレーを食す。

この界隈どういう訳か、昼にカレーを出す店が密集している。
確かに客からしてみれば、早くて安くておいしい、店の人も手軽にさばけて便利ということなのだろう。
それにしても昼だけカレーを出している店もあり、不思議な光景となる。

蚯蚓もそれに興味をそそられ、この界隈のカレーを食していこうと思っている。
まずは隣の床屋の看板が大きすぎて一見床屋と見間違える店。
黄色の壁が印象的なその店はビーフカレー、海鮮カレー、野菜カレーの3種を出す。

結論から言うと、ビーフカレーが一番良い。
赤胡椒やチリパウダー系のホットな辛みとトマトの旨味を一瞬感じさせるスパイシーな風味と
よくあるカレーが混ざったような味わいのルーとサフランライスを一緒にすると、
米の甘みと相まって、ルーだけ食べても出てこなかったカレーの風味が表に出てきて美味しい。
また、見た目にも美味しくさせる生乳がまろやかさとコクを程良く出していて、
この効果が一番ビーフカレーで感じられることもあり、結果これが一番美味しいと思っている。

馬喰横山 カレー.gif

付け合わせは福神漬けではなく、スライスタマネギの辛みの残る浅漬けピクルスであるが、
これも口直しというより、カレーに混ぜて変化を付けて食べるのに良い。

水もレモンを入れるなど、小さな心配りが嬉しいところで、これが500円ということで、
目下これを基準として他の店を食べ歩いてみて、特筆したい店について記事にしていこうと思う。





posted by 蚯蚓仙人 at 23:53| Comment(1) | TrackBack(0) | 馬喰横山 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年03月14日

曙橋 〜緑のものを存分に堪能できる店 (オステリア)

曙橋と四谷三丁目の間の愛住町に新しくオステリアが出来たという情報を元にはせ参じ候。

大通り以外を除くと背の低いビルや住宅がひしめくブロックにひっそりとこの店はある。
斜面に建てられている為、坂を上った2階がどうやら入り口のようで、
そのフロアで食事もすることになる。
店の中は白を基調とした内装で、外観より案外広い。

夜はプリフィクスのコースのみ。
ミミズは春野菜のサラダやエゾ鹿のラグーソースのパスタ、鰆、仔牛の皿を発注。
店はほぼ満席でワインやパンの世話をしてくれるサービスマンの人間も
2人では追いつかない位である。
シャンパンなどを愉しんでいると、ほどなくして一皿目が来た。

春野菜のサラダはミミズの好物のウドやセリ、うるいやノビル、菜の花、ゼンマイといった
日本酒でも合いそうな山野草をうまく酸味の軽くきかせたドレッシングでいただける。
エゾ鹿のパスタは烏山の店よりパスタが薄く、肉も細かくなった挽き肉状になっているので
軽い食感にも関わらず、コクのある脂っ気が舌に残る印象があるせいか、
ややまとまり感には欠けるものの、十分に美味しい。

パンはほのかにチーズ香がして少し水分が足りない感じもするが、なかなか素朴で美味しい上、
肉の皿に合わせてリピート発注をしたところ胚芽パンに切り替えてくれるなど、
飽きさせない心遣いが嬉しい。

仔牛は焼き加減に難があるものの素材の良さで十分美味しくいただけた。
新店でまだキッチンの要領を得ていないせいなのか肉に関してはもう一息といいたいところであるが、
また季節の変わった頃足を運んでみたくなるお店である。
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2005年03月12日

人形町 〜緑茶の店かと思いきやほうじ茶の店 (喫茶)

本日人形町を散歩中にほうじ茶屋の営む喫茶で一休み候。

人形町のメイン通り、甘酒横町の筋。駅からほど近いところにその店はある。
休日ともなると明治座からの帰りの客でにぎわうこの通りであるが、
つい数ヶ月前からこのお茶の店が喫茶を2階で始めたのである。

気になって喫茶に入ることにして、その前にどんな茶葉が売っているのか1階を見回すと、
この店はほうじ茶が得意な店のようで、産地別やこの店オリジナルのほうじ茶など
手頃な値段のものから高価なものまで取りそろえてある。

2階の喫茶へいくと、ほうじ茶は勿論抹茶のものも取りそろえてあり、甘味も充実。
メニューの豊富さに迷いつつも、団子とほうじ茶がセットになったものとわらび餅を発注。

ほうじ茶であるが香りが程良く香ばしく、それでいてフルーティーな新鮮みのある香りが
わずかにして実に美味しい。
また、団子も見た目に楽しく、それぞれ美味しくいただける。

人形町 ほうじ茶.gif

わらび餅に関しては見た目は当然に美しく、また普通のわらび餅よりも舌触りが
なめらかでいながらコシがあって美味しい。

人形町 くず餅.gif

甘味があまり得意でない蚯蚓であるが、お茶も美味しくいただけるこの喫茶は
今後も散歩の一休みの際に愛用していきたいと思わせる店である。
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2005年03月10日

人形町 〜ジビエな鳥と旨い鳥 (地鶏)

本日夜に地鶏を食す。

この店は甘酒横町から2,3本小伝馬町寄りの筋にある店なのだが、半年くらい前から開いた新店である。
宮崎の地鶏と焼酎が美味しい店というからには宮崎出身の人が営んでいるのかと思って、
焼酎が気になって入ってみた。

男性一人とそのお母さん風の方、バイトの女の子の計3人でカウンター中心の店をまわしているようで、
店の広さに対し、この人数ということで、手際はあまり良さそうにない印象を始め受けた。

とりあえず、ビールと地鶏の鉄板焼きを発注する。
この店が面白いのは、地鶏を”宮崎地鶏”と”日向地鶏”の2種揃えているところである。
この2種を半分ずつ発注することが出来ると言うことで、鉄板焼きはそのようにして発注。
お店の人はなかなか親切である。

柚子胡椒の香りがよいお通しをつまむ間に、地鶏の焼いたものが来た。
宮崎地鶏は肉自体に甘い肉の旨味があって美味しい。

人形町 宮崎地鶏.gif

これに対し、日向地鶏は宮崎地鶏に比べて肉の弾力が強いのだが、
噛めば噛むほどにほんのりと野生の旨味が出てきて、これとビールやら焼酎がよく合う。
この日向地鶏にはかなりこだわりがあるらしく、
仕入れの際、鳥を育てる農家を時期によって変えたりしているそうだ。
更に、レバーの串焼きを発注したが、美味しい焼鳥屋のレバーを凌駕する
口溶け感と甘みと美味さがあってこれだけを食べに来る価値があるような気持ちになる。

人形町 日向地鶏.gif

話をするとこの店の人たちは宮崎の出身ということもなく、3人ともここの界隈の人間で、
この店は最近できた店であるとか、ここの人は馴染みだとか本当にこの町をよく知っている。
またバイトの女の子は実は甘酒横町の有名な居酒屋の愛娘で、
その酒の肴の話などでも非常に楽しく話が出来た。

そんな店の人との地元の会話を愉しみつつ、リーズナブルに美味しい鳥を堪能できる店を
人形町で初めて知ったこともあり、今後も足を運んでみたいと思う。
posted by 蚯蚓仙人 at 19:49| Comment(2) | TrackBack(0) | 人形町 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年03月08日

浜田山 〜手を使う作業が好きな主人の作る鰻重 (うなぎ)

本日浜田山にて鰻を食し候。

駅の北側からすぐの線路に平行して走る道沿いにこの店はある。
田舎の蕎麦やを思わせるような木造の手作り感溢れるその店のたたずまいに惹かれて店に入る。
古い木造建ての学校をミニチュア風に再現しているカウンターや、
数多くの木と紙で作られた白熱灯の照明カバーが目に飛び込んできて、
この手仕事にまずは驚かされる。

浜田山 鰻カウンター.gif

圧倒されて暫くぽかんとしそうなところで、その2種しかない鰻丼か鰻重のいずれかの選択をせまられる。
蚯蚓は鰻重を発注。
今となっては大して違いがないらしいのだが、古くは鰻丼が庶民の食べ物として親しまれていたものを、
身分の偉い人たちが2段の重箱に入れてその一段にお湯を入れて暖かい弁当のようにして
食べるようになって今に至るといったような蘊蓄を教えてもらいながら鰻を待つことになる。

内装を十分に堪能した頃、鰻重が来た。
一口目は少々焼きすぎの印象を受けるのだが、食べ進むにつれ鰻の旨味分がタレの浸みた米と絡まり始めて、
上品な甘みと旨味を感じる際立った美味しさと変貌する。
よく見るとご飯がうっすらと透き通った青白い光を放っていて、実に美味しそうである。
実際米だけ食べても十分旨い。
これは秘密があると聞いてみたところ、実は発注してから釜で米を人数分炊いているらしい。
なるほど、旨いはずである。少し前に釜で炊いた飯をウリにした定食屋が話題になっていたが、
それもよくうなずける。
美味しい鰻重にはご飯の美味しさが欠かせない。
というか、ご飯が美味しいと鰻重が更に1ランク上のものになる。

浜田山 鰻.gif

鰻自体は最高に美味しいと言うまでには至らないのだが、
この鰻の脂身の旨味とタレが絡んだ米の美味しさは強く印象に残っている。
内装の楽しさもあるので、日本食に馴染みのない海外の客人を案内する時などは非常に喜ばれる上、
日本の米の良さを食事を通して紹介できると思うような店であった。
posted by 蚯蚓仙人 at 19:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 浜田山 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年03月06日

入谷 〜暖簾をくぐる条件反射が発見に繋がる (とんかつ)

本日昼に浅草から三ノ輪方向に散歩中にとんかつ店に入り候。

引き締まった緑黒色の昔の住宅風の外装が国際通りを散歩中に気になって、
店に近づくと提灯なども美しくかかっている。
「ランチとんかつ、えびフライ定食700円」という安さも手伝って寄ってみることにした。
中に入ると外観からは想像できないほど普通の定食屋風の内装で、
いささか肩を落としつつも、そのようなみてくれに惑うことなく昼の定食を発注。

浅草 とんかつ外観.gif

店は比較的きびきびとした中年の男性が1人で切り盛りしている様子。
しかし発注してから思ったよりずっと早くに定食が出てきた。
パッと見いかにも学食風の一式である。
仕方ないと思いつつ、溶き卵の入ったみそ汁を一口。
このような定食屋には珍しく、柚子の香りが来て食欲がわく。

浅草 とんかつ.gif

肝心のとんかつであるが、一見すると厚い肉を揚げたものというよりはむしろ
カツフライといった感じの代物である。
ソースをかけて一口食べると、とてもあっさりと揚がっていて、食べやすい。
キャベツはとんかつやではよく出るスライサーで切ったような細薄長い千切りとは異なり、
家庭的な手で地味に刻んだ千切りがかえってとんかつと共に一緒に口へ運びやすくて案外
良いことに気づかされる。
エビフライも特筆するほどに美味しいと言うこともないのだが、
ずるをしない仕事を感じがあって、定食を一気に食べ終えられる。

外観とのギャップは残念ではあるものの、付け合わせのポテトサラダのおいしさや、
この価格帯での揚げ物のよくある変な手抜きをしないところなどを考慮すると、
なかなか珍しい店である。

また、メニューにはカツカレーやキスなどフライにした海の幸のフライ定食などもあり、
案外そういったメニューが美味しいのかもしれない。
この揚がりの軽さを考慮すると串カツも美味しそうで、大阪で串カツを食らう感覚で、
浅草ではビール片手にこの店のフライを食べると良いのかもしれないと感じる店であった。
posted by 蚯蚓仙人 at 19:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 入谷 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年03月04日

馬喰横山 〜東京のラーメンの原点のようなラーメン(中華そば)

本日昼にて中華そばを食らう。

都営浅草線東日本橋駅と都営新宿線の馬喰横山駅の中間のブロックは
衣服などの問屋が軒を連ねているところである。
その中にひっそりと、しかし凛としたたたずまいの中華そば屋がある。

普通中華そばやといえば、赤い暖簾にカラカラと音を立てて開けるサッシ扉、
中からは中華なべをまわし、ひっきりなしに炒め物のしゃんしゃんいう音、
それに伴う油の香りや湯気が漂っているイメージがあるが、この店にはそれが全くない。
暖簾以外はむしろ蕎麦屋のような印象を受ける店のつくりに興味がわき、
入ってみる事にした。

中には相席確実のテーブル席と座敷席がぽつぽつ。
メニューも独特で、漢字で表記されており、またその漢字では何の料理か分らない為、
たどたどしい、カタカナ等で読みが記されている。

欲張りな蚯蚓としては、肉絲麪(ヨウシメンすなわちラーメン)と
汁錦飯(ヨウギンパンことやきめし)を両方味見したいと思ったのだが、
周りの客はどちらか一方しか発注していない。
しかし、一念発起して、肉絲麪と汁錦飯の両方を発注。
まず肉絲麪が来た。
驚いたのは見た目が明らかにいわゆる「ラーメン」と異なり、
むしろ店屋物のカツ丼のようなどんぶりぎりぎりに麺が入ってきたことである。
早速、いただいてみると、麺もラーメンのようなコシはないが伸びがある、
食感だけでいうと、柔らかくゆでた乾麺の蕎麦に近い。
手で伸ばしてどんどん細くしていく中国の手打ちラーメンの麺の食感である。
スープはベーシックな醤油味で胡椒がきつい。
ただし、麺と総合するとなつかしくやさしい味になり、不思議なまとまりをみせる。

馬喰横山 ラーメン.gif

程なくしてやきめしが来た。
こちらも一見して具に乏しい印象をうけるが、
食べると非常に上手く出来ていることが分る。
具材の味とともに醤油の香りなどを米一粒一粒がきちんとまとっていて、
香りに包まれ、不思議と食が進む。

馬喰横山 やきめし.gif

店の雰囲気は老舗の様相を呈しており、
食べたものも確かに最近の中華そば屋で出すものとは明らかに異なる。
これは屋台のラーメンの「昔ながら」を凌駕する「昔ながら」の味なのか?
果たしてどうなのか素人の蚯蚓には分らないが、
”東京のラーメン”のルーツを調べてみたくなるような店であった。

posted by 蚯蚓仙人 at 20:27| Comment(3) | TrackBack(0) | 馬喰横山 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年03月02日

新宿 〜蚯蚓の原点、思い出横丁で (ラーメン)

本日夜新宿思い出横丁にてラーメンを食す。

既に1件軽くひっかけた後である。
思い出横丁の真ん中らへんにあるこの店は、
おそらく10年以上変わらず手打ち麺のラーメンを安価で出す店である。
早速ラーメンを発注。

思い出横丁が飲み気重視の店が多い中、この店は麺類がメインの店で、
飲んでもビールであしらうのが良い。
蚯蚓は最初の1件目として来たなら、やきそばとビール、
2件目ならば、ラーメンのみと思っている。

蚯蚓がまだ若かりし頃、ここの焼きそばは他の店とは異なり何か旨いと
不思議に感じながらよく好んで食べていた。
何度も通ったある日気付いたのが、鉄板の上にある変形したボール。
鉄板上のボールには油が入っており、サラダ油だと思っていたのが、
どうやらラードで、これが旨味の違いなのかと気付いた。

その固形ラードを使ってひと手間をかけた分、安い上にかえって普通の中華料理屋と
違う味わいを出せているのかと思うと、勝手に考えが発展して、
「安いから大して旨くない」という先入観や固定観念が一気に崩れた記憶がある。

そんな想い出があるので、この店に来るといつも気持ちが原点回帰していい。
・・など想いにふけっていると、またたく間にラーメンが来る。

新宿 想い出横町.gif

ここのラーメンは手打ちの太目のもちっとした歯ごたえと、つるつると入る
麺のなめらかさと手打ちならではの縮れ具合が絶妙。
スープは化学調味料よろしくで醤油もいたって普通でいかにもな味わいだが、
ベーシックさでは新宿一だとひいき目かも知れないが思っている。
当然ながら値段の割りに充分旨く、新宿の数あるラーメン屋台で、
もし醤油ラーメンを食べる衝動に駆られるようなことがあれば、
思いで横丁という場所を臆せず、迷わずこの店に行く事をお奨めする。

ちなみに蚯蚓はその後、新宿駅から遠ざかる方の道の出口近くの今では中華定食系が
旨い比較的大きな店(思い出横丁で以前火事があったとき半焼した店)で、
思い新たに酒をひっかけた。
この店も想い出深く、若かりし学生の頃はサワーにもつ煮で腹を満足させたが、
今ではすっかりこの店の顔の中国人のお兄さん(今ではおじさん)の
チャーハンが蚯蚓の定番へと変わって久しい。

当時、はしごも出来なかった自分が、今では3件にも亘るはしごも出来るだけになり
日々楽しい食生活を過ごしているが、それを感謝しつつ食べ歩きの楽しさを思い出させる
本当の意味で蚯蚓の「思い出横丁」である。
posted by 蚯蚓仙人 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 新宿 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年02月28日

両国 〜ちょっとちょっとがちょっとおいしい (おにぎり)

本日夜中に両国で街歩き候。
両国橋へと続く大通り沿いに、一軒暖簾たなびく店を発見。
気になって店の前へ近づくと、「おにぎり」と書いてある。

両国 おにぎりや入口.gif

小料理屋のような店構えでありながら、おにぎりという物珍しさが手伝って、
中へ入ってみる事にした。
座敷の席と半端なカウンター席がある。
席数が結構あるのだが、おかみさんひとりでどうやらきりもりしているらしい。

メニューはおにぎり以外にもちょっとつまめるようなものがあるが、
試しに漬物と鮭おにぎり、梅干入り焼酎お湯割を発注。
粒うにのおにぎりにも惹かれたが、ベーシックなメニューで様子を見ることにした。

程なくして全てが揃い、お湯割りを一口。
梅がうまい。最近の時を待てずに出汁の味をつける梅とは違い、
素朴で年月を経ないと塩が枯れて出てこない旨味がこの梅干にはある。
型で押して作られた形の良いおにぎりも鮭にぎりだというのに、
雲丹のような香りが乗って、なかなか美味しくいただける。
しば漬けも紫蘇の味がする品のいいもので、ヤマゴボウは塩っ気が濃く、
最上の品質とまではいかないが、しっかりゴボウの味がして酒が進む。

両国 おにぎり.gif

このお店の良い所は、長くからこの場所でひっそりとおにぎりやを続けている事で、
たとえば、ちゃんこならここがいいとか、400年も続くしゃもを食べさせる店が
近くにあるだの、以前、記事にした両国のラーメン屋の場所は
その前に2件数ヶ月で立て続けに店を閉めてざるを得ない位に
何故か店がうまくいかない「いわくつき」の場所だとか、そんな地元話をしてくれる。

この界隈が店を閉めた後の深夜まで店を開け、
はしご酒の客を優しく迎えて色々話をしてくれる懐の深さをこの店に垣間見た。
是非、両国で一杯引っ掛けた後の〆に立ち寄りたい店である。
posted by 蚯蚓仙人 at 19:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 両国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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