吾輩は蚯蚓である。夜を昼を様々な街に縦横無尽に出没するたくましい生き物である。
根っからの外食好き"蚯蚓"の食生態フードダイアリー。

2005年09月21日

東京・神保町(カレー)〜薬膳カレーの不思議な味わい 

本日昼に薬膳カレーなる物を頂き候。

マンションビル風の建物の1階に、独特の看板がなんとも蚯蚓の心を惹きつける
薬膳カレーの店がある。
店に入ると白いコックコートを着た男性が店の端っこに3人。
団塊の世代が定年を迎え、飲食店を開くことはよく町歩きの新店で、
蚯蚓もよく遭遇するようになった。
一瞬その類なのかと思う風貌の3人であるが、
ともかく薬膳カレーのメニューを拝見。

薬膳カレーは鶏肉、海鮮、野菜、牛肉、特選カレーと5種類あり、
一瞬特選にしようかと思ったが、ルーに入る生薬系の高麗人参などが、
ベースとなる薬膳ルーの味を変えてしまい、ベーシックなカレールーの
味が見えなくなってしまうのではないかと思い、悩んだあげく、
野菜カレーを発注。

発注後薬膳カレーの味と薬効の書かれた紙をもらい、
読みふけっていると、薬膳カレーがきた。

神保町 薬膳カレー.gif

きれいに飾られたクコの実やユリネ、根菜などをさておき、一口ルーを頂く。
ルーには野菜とインドスパイス、和漢生薬を用いており、
化学調味料やバター、ラードは使わないと言う紙のとおり、
カレールーの味わいの奥に潜む味わいは、
肉類の旨味ではなく、昆布や野菜の旨味系の和風とも言える味で、
こってり感はなくあっさりしている。
その分、スパイスの香りはかなり引き立ち、
赤やら黒の胡椒のスパイシー感が鼻をくすぐる。

食べ進むにつれ、葉物の乾燥したときに感じるい草のような香りが来たり、
ところどころで、風味が変わるのが何とも不思議な心地になる。

食べ終えた頃には確かに背中がぼわっと熱くなり、
食後に普段あまり発汗しない蚯蚓も今日ばかりはと汗がにじむ。
早速効果があったようである。

カレーとしてこれが旨いかというとやはり肉の旨味があってこそ
というところがあるため、正直物足りなさを感じるところはある。
しかしカレーとは異なる薬膳のシチューとして考えれば、
とりたてて薬くさいとか、苦いと言ったことはないおいしいものなので、
実に良い出来であるといえる。
次回は少し値が張るが、牛肉カレーを発注し、このルーの旨味に
肉の旨味が付加された物を食べてまた考えてみたいと感じた今日この頃である。
posted by 蚯蚓仙人 at 11:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 神保町 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月17日

東京・三越前(うなぎ) 〜醤油の香りの印象的な鰻重

本日昼に日本橋界隈をさまよって、鰻を食べに店に入り候。
名古屋のひつまぶし以来、鰻も色々食べたいと感じている蚯蚓である。

老舗とおぼしきこの店はビルの地下に入っていく。
従って、建物の風情は感じられない。
しかし、暖簾の雰囲気などは当時の店のものをそのまま使っているかのようで、
そこに昔の面影が断片的とはいえ感じられる。

昼に限っては肝焼きと鰻半身のお重があるので、そちらを発注。
蚯蚓の好物である赤出汁もあわせて発注した。
しばらくしてお重が運ばれてきた。

三越前 うなぎ.gif

一口鰻を頂くと、小降りでいながらも芳ばしい香りを放つ心地が良いのだが、
食べ進むにつれ、それが独特の醤油の香りからくるタレの旨さのような
感じがして不思議な心地になる。
あっという間に鰻を平らげ、落ち着いた頃に、今度は肝に取りかかり
そちらもほろ苦さと香ばしさ、タレの旨さに脳天が麻痺している間に
瞬く間に食べ終えてしまう。

甘めと言うよりはその醤油の風味が印象的なさらりとしたタレであるが、
またその香りを求めて食べてみたくなるところである。
お品書きにはなかったのだが、白焼きも事前に発注すれば頂けると言うことで、
今度この店を訪れるときは、白焼きとお重で鰻三昧と洒落込みたいところである。

このお店の場所はこちら
posted by 蚯蚓仙人 at 11:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 三越前 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月15日

東京・浅草(フレンチ)〜下町のおいしいフレンチレストラン

本日昼に奥浅草で久しぶりに洋な物を頂き候。

このところ下町では寿司やら蕎麦ばかり頂くことの多い蚯蚓であるが、
平日ののどかな昼下がりに奥浅草で良い匂いを漂わせていたため、
店を探す足を止め、入ってみた次第である。

中は黄色い壁がなんとも心地よい、落ち着いた雰囲気の店で、
サービスマンの青年がメニューを丁寧に説明してくれる。

好物のホロホロ鶏のローストが丁度あったので、そのランチコースを発注。
スープを加えることが出来るということで、それも付け加えた。

魚のすり身とピザソースのようなトマトソースの冷たい突き出しは
はんぺんにピザソースをかけて焼いて冷やしたような味わい。
繊細さというよりははっきりとした旨味でパンチの効いた
軽いビールが飲みたくなる一品。

浅草 仏つきだし.gif

サラダはフェンネルなどのハーブも入った、風味豊かな一品。
小降りのパンは伸びやかな皮の胚芽系のパンで、
一緒に出されたオリーブオイルと実に良くあって、
素朴でおいしい。
サラダの酸味とこのパンで朝食を日々迎えたい気分になる。

浅草 仏サラダ.gif

スープはトウモロコシの冷たいスープで、
コーンの粒のしゃりしゃり感が残る甘い風味の中に時折、
ブラックペッパーの潰した粗い粒ががりっと来ると
胡椒の香りとスパイシー感で、口がリフレッシュされて、
飽きずに頂けるベーシックな一品。

浅草 仏スープ.gif

メインのホロホロ鶏のロースト皿は、ピーマンの青い香りが皿の上にまず乗っていて、
表面の皮目をカリッと焼きながらもそのすぐ下からは肉汁と脂がぶわっと吹き出す
ジューシーな仕上がりでなかなか旨い。
付け合わせの野菜がきちんとした仕事で、オクラやピーマン、スナックえんどう、
カブ、ヤングコーンなどいずれもその野菜が本来持つ甘味が食感を損なうことなく
引き出されていて気分良く鶏と頂ける。

浅草 仏ホロホロ鶏.gif

超一流の一腕凝った新しい味覚を感じさせる仕事ではないものの、
野菜の始末など見てもひとつひとつの基本のきちんとした
始終安心して頂けるプロの丁寧な皿のつくりで値段の割の美味しさは十分といえる。
浅草という下町のはずれにぽつんとある隠れ家のようなこの店は
昼間にビールの飲める機会を見計らって、食べに来たいところである。

このお店の場所はこちら
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2005年09月10日

東京・京成立石(おでん)〜きれいなおでん、旨い焼酎

本日夜におでんやに足を運び候。

このおでんやは東京一旨い焼酎を出す店として、
蚯蚓がこよなくひいきにする店である。

久しぶりの来店なのだが、メニュー数が以前よりずっと多くなり、
目移りするものの、結局久しぶりなだけに気になる定番の油揚げ焼きを発注。
おでんはとうふやらしらたきをとりあえず発注。
焼酎は無論、水割りの店主のおすすめからである。

とうふは本日はしっかりした豆の風味と出汁が絶妙の滋味深い味わいの一皿で、
たまに出るおぼろのとうふのおでんも食感、風味とも良いが、
水割りのきゅっと口に含んだ後の
このおいかけで食べる熱いとうふはこれに限る。

油揚げ焼きは厚揚げほどの厚みのあるふっくらした油揚げを
表面がカリッとなるように焼き、それを辛味の残る薬味の葱とかつおぶしで頂く
香ばしさの中に薬味の香りが口中に広がる一品。
これは蚯蚓の好物で、ひとりで一皿さらりと頂ける。
行儀は悪いが、おでんの皿の残りつゆに浸して食べても旨く、
ともかくこの店に来たら、一度は口にすべき定番品と言って過言ではない。

京成立石 揚げ焼き.gif

そうこうするうち、客が数回転し、見慣れた顔に出会ったりする。
この店は主人の人徳なのだろうが実に酒とのつきあいの上手な、
だけど気張らない客が多く出入りしている。

従って、この夜初めてあった隣席の客とも楽しく会話が出来、
おのずと蚯蚓自身も心地よい酒が飲める。
この記事を読んでいただいている方にも新たに出会い、
最近記事を書くことから遠のいていた己の怠慢さに恥ずかしさを覚えながらも
襟を正して、再び記事を書こうと思った夜でもあった。

この店の心地よさを書くつもりが己の戯れ言になってしまったが、
今後何度となく訪れるであろうこの店の記事なので、
その他の皿についてはまたの記事にしたいと思う。
posted by 蚯蚓仙人 at 11:37| Comment(6) | TrackBack(0) | 京成立石 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月06日

東京・京成立石(蕎麦) 〜味な蕎麦を求めた意地の散歩の収穫

本日夜に、旨い蕎麦を求めて書き込みのあった(2005.8.27コメント参照)
蕎麦屋へ足を運び候。
と、言いたいところであったが、思い立ってその店へ行ってしまったため、
運悪くその店の休業日に足を運んだ次第である。

駅から割と離れた場所にあるだけに、このまますごすごと来た道を戻るのは
自分の無精で無計画な性格を悔いる歩きとなることは間違いないだけに、
隣駅まで歩く決意をし、来た道を戻ることなく前進した。

すると隣駅どころか数十メートル先の並びに、店構えの古びた旨そうな蕎麦屋が
看板に光を灯している。
ショーケースだけ見ると街の店屋物屋の雰囲気があって、
はずれの可能性もあるのだが、新蕎麦打ちはじめの告知の張り紙が、
そういった店ではないことを物語っているように感じたので、
これも縁だと思って入ることにした。

京成立石 手打ち蕎麦.gif

店の中はいかにもなお品書きがずらっと並んでおり、
手書きの張り紙の中から、手打ちの鴨せいろ蕎麦を発見。
鴨南蛮もあるとのことだったのだが、はじめての店と言うこともあり、
冷たい蕎麦も試してみたい欲張りな蚯蚓は、鴨の付け汁に加えて、
ふつうのそばつゆも出していただくようお願いし、それを発注。
また、自家製にしんもあるということで、単品で発注。
程なくして鴨せいろが出てきた。

京成立石 かもせいろ蕎麦.gif

蕎麦は外見、普通の細蕎麦よりも太めというか、平たい蕎麦である。
昆布と鰹のベーシックなめんつゆで、つるりと頂くと固めの湯で加減によって残る
芯の部分のわずかな粉の心地がそば粉の風味の良さを感じさせることに重要な
役割を果たしていて、ワサビがつまらないながらも、蕎麦自体はなかなか。

ごろっとした鴨肉がふんだんに入った麺の汁は、
この平たい蕎麦にしっかりと鴨の風味が乗って、旨い。
また、葱を焼いたような風味が汁と相まって、まるで正月の雑煮に焼き餅を
入れたような芳ばしい香りがして夢中になって蕎麦をすすってしまい、
結構量があるのではと思った2段のざるそばを瞬く間に平らげてしまった。
またごろっとした合鴨肉も、よくある仕事の悪い煮すぎた堅い鴨とは異なり、
心地よい食感で頂ける。

京成立石 にしん.gif

それに後れをとってにしんが運ばれてきたのだが、
甘じょっぱく煮付けられたこのにしんが、特筆すべき美味しさを放っていた。
甘味がありながら、巧く表現できないが、
昆布の旨味やにしんの脂が生玉子の黄身のまったりとした
濃厚さのようなものをその魚の身の表面に
風味としてまとわせる役割を果たしているようで、
そこに唐辛子の冷たい風味の部分だけが、
後にほのかに効いて口が甘味や旨味でだるくならない一品。
蚯蚓は鴨なんばんにこのところご執心で、色々な店を彷徨っていたが、
一気ににしん蕎麦に心移りしてしまいそうなほどに久しぶりに旨いにしんを頂いた。

次回は暖かいにしん蕎麦を食べに、この店を訪れたいところである。
posted by 蚯蚓仙人 at 11:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 京成立石 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月03日

特別編・名古屋 本場ひつまぶしとはこれ如何に

愛地球博を見ついでに、人生で初めて名古屋という土地を観光した蚯蚓である。
休日の街全体の印象は東京よりも活気があるのでは、と一瞬感じるほどの盛況ぶりで、
一泊二日の小旅行では満足しきれない程の、気になる店、料理だらけである。

ここはひとつ初心者らしく観光ガイドブックを片手に老舗ひつまぶしを食らいに
車を飛ばし、苦手な行列にもそれらしく並んで、店へ入る。
旅館とも言うべき大きな日本家屋の座敷部屋に通され、
流れに任せてひつまぶしと白焼きも発注。
はじめに白焼きが出された。

特別編 白焼き.gif

表面が薄いきつね色に焼かれた白焼きは、その表面に味醂が塗られているのか
サクッという食感と甘味がふんわり口の中に広がり、そこに芳ばしい香りがきて、
非常に旨い。
生姜の少し入った塩のタレにつけて食べるのも一興だが、そのままでも十分に旨く
この白焼き、東京のものではあまり口にしたことがない焼き物である。
鰻は結構大振りな肉の厚みもほどほどにあるもので、肉の旨味もきてなかなか。

初めてのひつまぶしは、「はじめそのまま頂き、2杯目は薬味を、
3杯目は茶漬けに・・」などとお品書きに書かれた指示のもとに頂いてみた。
さらりとした甘味が旨いタレの鰻は最後の出汁をかけた茶漬けにすると
その鰻が持っていた香りや脂の旨味がどこからともなくあふれ出てきて、
これが一番印象に残る。
一緒に出される吸い物も塩のきつくない、とろろ昆布風味の品のいい味で美味しい。

特別編 ひつまぶし.gif

正直、ひつまぶしのタレのきいた鰻より、白焼きで頂いたほうが
鰻本来のおいしさとほのかな味醂様の甘味が、ぐっと来て蚯蚓個人は好みであった。
とはいえ、そのタレの方の鰻の茶漬けは確かにその鰻の底力を広げる食べ方で、
実に良い食べ方であると感じた。

その他、宿近くの中心街で頂いた、味噌酢で頂いたところてんや手羽先など、
名古屋独特の食文化を短い時間ながら垣間見ることができた。
以外に東京から出向きやすいことも分かったので、今後は機会を見て、
名古屋食い倒れ特別編を記事にしたいところである。

この店の場所はこちら
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2005年08月27日

東京・千歳烏山(蕎麦) 〜鴨南蛮の小さな心遣い

本日夜にまたもや鴨南蛮を食す。

前回の記事以後も鴨南蛮を求めて色々試してみたものの、
記事に至る店がない残念な日が続いた切ない日々である。

この千歳烏山の店は前回の店より昔からある
烏山の今や10年近くにもなる古参とも言える。

職人の蕎麦を打つ姿が客席から見えるスペースを設けた
今ではそれほど目新しくない内装であるが、
当時は斬新で魅力的にうつったものである。

酒やつまみもあるが、つまみは少量の割に値が張るので
濁り酒とねぎびたしのみ発注。
蕎麦はもちろん鴨南蛮である。

しばらくして酒とつまみが来た。
切子のビールグラスに品良く入った白濁した酒は、
辛口でありつつも濁りらしい甘酒の風味と米の旨味が後からぐっときて
なかなかのもの。
ねぎびたしは筒状にぶつ切りされた葱をうすい出汁で煮びたしにしたもので、
鰹の僅かな風味と下に敷かれた昆布の旨味、葱の甘味が一体となって、
品のよい一品と化す。

そうこうするうちに鴨南蛮が運ばれてきた。
小さな短冊状に切られた鴨肉や葱、三つ葉といった鴨南蛮の基本役者達が
蕎麦をすするとそれぞれのいい味を出す。
麺は暖かいものと冷たいものの区別なく出す事もあり、すすると口の中で
ほどけ溶けるのだが、細かく刻まれた鴨や葱などと一緒に口に放ると
全ての甘味と旨味が一気に押し寄せて体も熱くなる旨さになる。

他店の鴨南蛮は専ら鴨肉が薄切りもしくは丸っこいぶつ切りのため、
麺と一緒にすすれないが、この店くらいであれば、一気に口に含める。
他店はそれなりに蕎麦の食感を残しているので、遅れて肉をほおばるのも
待っていられるが、この麺ではそうは行かない。
この店の暖かい蕎麦の麺が口でほどけるのを配慮して、
そのような鴨肉の切り刻みをしたのであれば、実にすばらしい工夫といっていい。

このところ鴨南蛮というあたたかい蕎麦を食べ続け、
蕎麦屋の創意工夫を垣間見る機会が増えた事が実に蚯蚓としては興味深い。
今回記事にした店のような発見は、
単に「この鴨肉は質のよい鴨肉だから旨い」といった類の話とは一味違うものである。
己の打つ蕎麦を知るからこそ出来る工夫はまだまだあるはずで、
そのような心を奮わす機会を求め、今後も鴨南蛮を食べたいところである。
posted by 蚯蚓仙人 at 00:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 千歳烏山 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月22日

東京・千歳烏山(蕎麦) 〜野菜の甘みが旨い鴨南ばん

本日夜に鴨南ばんを食す。

長い風邪の間に気持ち小食になった蚯蚓は専ら
暖かい蕎麦にご執心である。

浜町の蕎麦屋で暖かい蕎麦に開眼して、
過去にざるしか食べず、その後足が遠のいてしまった店も、
思い直して暖かい蕎麦を求め彷徨っている次第である。

この千歳烏山の蕎麦やも冷たい蕎麦は今ひとつ好みでないにもかかわらず、
つまみの美味さが秀でており、日本酒をあおって〆る店のひとつであった。
今宵はそのせいろのみを求める心を改め、鴨南蛮はいかがなものかと、
かもそば(暖かい)を発注。

相変わらずこの店は発注から皿が来るのが長いが、
それも解って、待とうと思って待つと、不思議となんとか待てるものである。
しばらくして皿が来た。

千歳烏山 鴨蕎麦.gif

鮮やかな緑の映えるかも蕎麦である。
その緑はユリの蕾で、一口頂くと、さやえんどうの様なさっくりとした
歯ざわりで噛むほどに野菜の甘みがあって、実に美味い。
これまた歯ざわりの良い白いマコモダケも香ばしく風味があって、
よくある鴨蕎麦の濃い目の汁とは逆の色の薄い甘みの淡い汁である。
鴨肉は、気持ち薫香を感じるややレアなもので、
黒胡椒が薄味の汁の代わりに肉の臭みを引きうける役割を果たしている。
きのこの類も風味をしっかり放つので、肉と共に頂くとこれまた違った美味しさがある。

また蕎麦も冷たいものとは異なり太めに切った麺が汁を含み、
ずずっと頂くと鴨肉の香りが舞って一層食欲が増す。
硬めにゆでてあるのか、食感もしっかりあって食べ応えがある。

冷たい蕎麦が好みでなくとも、暖かい蕎麦は美味しいということもあるのだと、
痛感したひと時であったが、ともかく、この野菜の甘みやらさらりとした汁、
おきまりの肉団子は山椒の香りの豊かなものと、暑い夏に調子の整う一品である。
今までの鴨なんばんとは一味異なる鴨なんばんで
また目当てに食べに行きたいと思う今日この頃である。

このお店の場所はこちら
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2005年08月19日

ブログ更新のお知らせ

日々ブログ「蚯蚓が行く」を御愛読頂き有り難うございます。

小生先々週より、流行り風邪にかかり、
外食を楽しむ体調が維持できない状態でおりました。
お陰さまで、風邪も完治し、お店に出向いた折に、
食べ物の味等がきちんと分かる目処が立ちましたので、
ご連絡申し上げます。

「蚯蚓が行く」は来週22日(月)より、再開する予定でおります。

更新が滞り、心配から御一報頂きました皆様には深く御礼申し上げます。
今後とも「蚯蚓が行く」の御愛読を宜しくお願い致します。
                    
                             蚯蚓仙人
posted by 蚯蚓仙人 at 15:49| Comment(2) | TrackBack(0) | お知らせ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月03日

東京・浜町(天丼)〜天丼の美味しい蕎麦屋

本日昼に天丼を頂き候。

この店、店の構えは明らかに蕎麦屋なのだが、
蕎麦にうるさい蚯蚓としてはいまひとつぴんと来ない。
しかし、この店の天丼は浅草の老舗天丼屋などを髣髴とさせる旨さを
何故か持っている不思議な蕎麦屋であると蚯蚓は感じる。

普段はかき揚げ天丼と蕎麦のセットを頂く事が多く、
その際に毎度毎度、蕎麦よりかき揚げ丼の旨さに感心してしまう。
そこで本日は天丼を発注。
程よいタイミングで天丼がきた。

人形町 天丼.gif

よくある天丼のような大海老は入っていないが、
人参等の野菜もどことなく根菜の濃い美味しさが際立っており、
表面の細かい揚げ部分はかりっとして、中の衣はもちっと浅草風。
特筆すべきはこの天丼のタレで、濃厚な中に、梅丹の風味のような
奥深さが感じられ、一瞬、人形町界隈の寿司屋の旨い穴子のツメを
を思い起こさせる。
かき揚げも食感、旨味がなかなかのイカのかき揚げで、
これもタレと実に好く合う。

他の吸い物や漬物などは至って普通であるが、この天丼のタレの旨さは
なかなかのもの。
昼からしっかり天丼を食らうとなんとも眠気がくるが、
たまには良かれと思う折に、また食べたい天丼である。
posted by 蚯蚓仙人 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 浜町 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月01日

東京・人形町(洋食)〜コロペットとはこれ如何に?

本日昼に人形町でコロペットなる洋食を頂く。

親子丼で有名な老舗店から日本橋方向に真っ直ぐ向かうと、
その店はある。

一見すると年期の入った喫茶店であるが、
コロペットという食べ物をうたった看板やら、
「コロペットにはエバミルクを使ってあり・・・」といった薀蓄の張り紙が
蚯蚓の興味を惹き、早速入店。

中もカウンター付きの昔めいた喫茶店の雰囲気である。
メニューはハンバーグやオムライスのような洋お食もあり、
おいしそうなので気になるところではあったが、何はともあれ、
コロペットのセットを発注。
エビや豚、鳥、牛など数種類の中から、2種類を選ぶ。

しばらくしてスープなどを先に出されつつ、引き続いてメインの皿が来た。
こんもり雰囲気良く盛られた千切りきゃべつにこれまた感じよく
エビのコロペットと牛のコロペットが並べられてきた。

人形町 コロペット.gif

早速一かじりすると、クリームコロッケまで行かないクリーミーなマッシュポテトに
ぶつ切りくらいの海老の身が混ぜ込まれている感じ。
レモンをぎゅっと絞って食べると飽きずに懐かしい心地がしていただける。
牛のコロペットも完全なミンチのコロッケではなく、
薄切りにされた肉がマッシュポテトをくるんでいて、
それをコロッケ状にしたようなもの。
確かにこのクリーミーだけど、ポテトの雰囲気もある練り物が一芸あって、
揚げ物の2本立てにも関わらず、飽きずに食べる事が出来る。

ご飯や付け合せのスープはいかにも喫茶店といったものであるが、
そこは懐かしさを増長させるものと考えればそれなりにいただける。

このコロペットの雰囲気は下町の老舗の庶民の洋食の感じがあって
なかなか興味深い。
今度他のオムライスやハンバーグにも期待しつつ試してみたいところである。

この店の場所はこちら




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2005年07月30日

東京・二子玉川(モロッコ料理)〜水タバコで至福のひと時を

本日昼に水タバコを求め、この店へはせ参じ候。

モロッコ料理を食べてみたくて以前この店を訪れた。
その折、水タバコなるものを発見し、試してみるとタバコを嗜めない
蚯蚓も心地よく愉しめたため、それ以来これを目当てにこの店へ
行くようになったのである。

早速ランチプレートと共に水タバコを発注。
ランチプレートにつくクスクスは胡瓜等の野菜が程よく入ったサラダ風の美味しさ。
食後のコーヒーと洒落込みたいところであるが、
本日は水タバコでゆったりと食後のひと時を過ごす。

二子玉 クスクス.gif

食べ終わりを見計らって、モロッコ人と思しき外国人のボーイが
タイミングよく燻した水タバコのためのセットを持ってきてくれ、
1〜2回ふかして渡してくれる。

二子玉 水タバコ.gif

テーブルの高さほどある水タバコの器具は、一番上にスモークするための
炭火があり、アルミ箔を介して、中のフレーバー煙草を燻す。
その煙を下のひょうたん様に膨らんだ部分に水が入っており、そこを介して、
パイプから吸うため、水がフィルターの役割を果たし、
心地よいフレーバースモークを吸っている感覚になる。

ゆっくり吸うとこぽこぽと水が音を立て、それと共にフレーバーの
煙たくない煙が肺に向かい、煙をふっと出すと心地よい深呼吸をしたような
感覚があって心が休まる。

これを始めると煙を吸っているせいか、喉が渇くので、水をもらいつつ、
ゆったりと吸う。心地よいこの水タバコを堪能すると、時間が経つのを忘れてしまい、
気づくと軽く1時間は吸ってしまう。

一人でもよし、複数でちょっとずつ楽しむもよしの値段の割りに
得られるリラックス感がたっぷりの嗜好品である。
タバコが苦手な蚯蚓でも心地よく愉しめるため、時間のゆとりのある際に、
またこの店を訪れて至福のひと時を過ごしたいと思う。


この店の場所はこちら





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2005年07月17日

東京・銀座(洋食) 〜旨い洋食屋探訪の行方

本日銀座の洋食屋へ人と連れだって足を運び候。
蚯蚓の思い描く洋食を出す店を求めて、人形町の洋食屋を色々食べ歩いてみたものの、
老舗の店構えに甘えを感じざるを得ない店が多く、
グラタンやシチューで有名な洋食を頂いた東銀座を過ぎて
いよいよ銀座へ到来してしまった。

洋食は店の雰囲気が重要な、過去の庶民的ななつかしさだけの味なのか、
それとも今も残るには訳のある旨さがあって現在に至るのか、
蚯蚓の疑問は解けぬまま、銀座の名だたる店を食べ歩いてみようと思った次第である。

銀座三越裏の洋食店である。
真夏ではあるものの店のあらゆる窓を全開にして風を通し、爽やかな心地のする店である。
通された2階席もツタが店に入り込んでいたりと実に自然体で、
雰囲気は文明開化よろしくの鹿鳴館を彷彿とさせる。
メニューはやはり銀座価格で躊躇するところもあるが、
定番のビーフシチューやカニコロッケ、グラタンをカルトで発注。
サラダもあわせて発注した。

銀座 つた.gif

カニコロッケはさらりとした衣に程良く入ったカニの身が心地よい
しっかりしたホワイトソースが定番を思わせる味わい。
タルタルソースも手作り感があって暖かみがある。
ビーフシチューも肉の軟らかいバランスのとれた旨味が印象的。

童心に返る心地のするグラタンは銀のコキールに盛られ、
表面が一瞬東銀座のグラタンを彷彿とさせる甘味をほのかに感じる。
またコキールに敷かれた米の食感やら美味しさがホワイトソースに絡んで来て、
日本人にはたまらない絶対うまいと思わせる黄金の組み合わせとして
ついつい食べてしまう一品。

銀座 グラタン.gif

ワインがブドウジュースのようで古風でうまいなど、
頑なにむかしの味わいを守っているのかもしれないが、
正直値段の割にうまかったとは言い難い。
ひょっとしたら、その日お勧めであったエビフライなどが
定番より美味しかったのかもしれないが、定かでない。
これはまた機会のあるときに、追記する必要があると感じている。

またサービスマンの表情乏しい雰囲気はなんとも心ぐるしいところで、
色々食べ歩いている蚯蚓としては質こそ違えど、
今ひとつ凛としない人形町と同じ類に感じてしまう店であった。
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2005年07月15日

東京・曙橋(京料理)〜小料理屋でぐじの旨さに開眼す!

本日夜、人に誘われ荒木町界隈の京料理屋へ足を運び候。
江戸っ子の蚯蚓ではあるが、きれいな京料理も結構好きな蚯蚓である。
特に餡を使ったものなどは好物であるが、2階へと上がるなんとも雰囲気は
こぎれいな居酒屋で、いささか心配な心地で座敷席へと通される。

お通しは生たらこの煮浸し。
京風らしく白い仕上がりが美しい。
鱧の刺身などお勧めのものを出してもらったが、 めじ鮪の子は初鰹の如く
さらりとして美味しく、鮑は軽く薫香がしてそれが品良く実に旨い。

四谷三丁目 はもサシ.gif

特筆すべきはぐじの旨さで、芳ばしく皮目を焼かれたぐじを頂くと、
鯛のうまさと更に昆布のような旨味と香りがほわっと来て、
まるで昆布で巻いた甘鯛を、焼いたが如くなのだが、これがそのぐじの旨さらしい。
実に風味、旨味豊かな焼き魚でともかく手が止まらない。
骨をしゃぶってかみ砕いてもこの風味が一層くるところが、
昆布で巻いたりして風味を加えたものでない正真正銘のぐじと感じるところである。

四谷 ぐじ.gif

おかみさんにきいたところでは、この旨いぐじの決め手は、
揚がった魚にすぐに塩をしてやるぐじが本物で、だからこそ絶妙に旨いと申す。

タコの煮付けは甘辛く煮付けてあるものの、涼風ただよう冷たい皿で、
大根の芯がシャーベット状でしゃりっとするのだが、そのおかげで甘味が控え目、
それでいて風味豊かな仕上がりで酒が止まらない。
タコは大降りの足がもっちりとした食感が残ったまま旨味を噛むほどに楽しめて旨い。

あまりの旨さに〆のご飯をぐじで炊いたものにして貰ったが、品良いおひつに
入れられて運ばれてきた。
この炊き込み、田麩状に細かくほぐされたぐじの身がしっかりとご飯に混ぜられており、
一緒に発注した赤出汁とともに腹一杯頂いた。

曙橋 ぐじめし.gif

他にも何品か頂きいずれも旨味がしっかりとする酒の進むおいしいものだったが、
ともかくこのぐじの旨さがあまりにも群を抜いて良かったため、
印象が薄まってしまった。

間に合うならば、日を空けてもう一度楽しみたいと感じる旨い魚であった。
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2005年07月13日

東京・人形町(イタリア料理) クラッシックで美味しいイタリアン

本日昼にずっと気になっていたイタリア料理を頂き候。

入り口は実にひっそりとした雰囲気で、レースのカーテンで中の店の様子が見えず、
一瞬高いだけで美味しくない店だから人が入っていないのを
誤魔化しているようにも感じ取れなくない。
とはいえ、たまに香る油の美味しい香りは間違いないと己を信じ、
意を決し重い店の扉を開け、入店。
見かけよりずっと中は広く、先日行った銀座のグランメゾンを感じさせる
風格ある店の内装にはっとした程である。

1階の客席は綺麗に着飾った日本橋人形町に見合った客でほぼ満席。
それに比べてフォーマルな格好でない飛び込みで足を運んだ蚯蚓でも
心地よく席を作り通してくれたサービスマンの粋な具合は非常に感じがよく、
この店の度量の深さを感じさせる。2階席に通され、メニューを頂く。

まず初めてということもあって、コースで頂くことにした。
あまり昼から飲む客は少ないのか、食前酒はコースの値段の割に普通価格で
思わずスプマンテを発注。
はじめに出された美味しいフランスパンと、クラッシクさを感じる
スティッククラッカーと共にスプマンテが出された。
しっかりしたスプマンテで、五臓六腑が熱くなりながら、
フランス料理のごとくに自前でアレンジしたアーモンドのような香りがするバターを
塗ったフランスパンで皿を待つ。
はじめの季節の皿は北海道産を彷彿とさせる塩味の美味しいハムや
白桃のコンポート風のもの等、実にクラッシックで丁寧な作り。

人形町 ハムなど.gif

前菜3種もフェンネルの香りのするムース状のもの、添えられたサクランボが
ビネガーに漬けたような甘酸っぱさがあって心地よいなど、
計算された美味しさが、そこはかとなく感じられる作りになっている。

人形町 さくらんぼ.gif

手長海老のパスタは特筆すべき美味しさで、よくある風味も旨味も濃厚で旨味たっぷり
といった類のソースよりは、一歩品良く仕上がっていて、
パスタを噛むほどに甘みや海老の旨味が広がっていく滋味深く、飽きない美味しさ。

人形町 スカンピパスタ.gif

メインの牛すじ肉の煮込みはクラッシックの極みであるが、
安易なワインソースというより、大地を感じる根菜の旨味が凝縮された穏やかな美味しさ。

人形町 牛筋煮込み.gif

どの品も派手な美味しさや盛りつけはではないものの、
心地よく穏やかに頂ける ある意味イタリア料理の高級な「洋食」的な皿で、
この人形町にあってしかるべき心地よい品格漂う店であった。

後日、BRUTUS「イタリアン真剣勝負」を見てこの店が90年に出来た店であったことを
知るが、最寄り駅は「人形町」か「浜町」にも関わらず、「日本橋」と記されていた。
住所で表記するのは無難であるが、この界隈は全て日本橋になってしまう。
他は住所表記でないところもあるだろうに、誤解が無いと良いが・・と、
くだらない事が気になってしまった蚯蚓であった。
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2005年07月11日

東京・日本橋(穴子)〜日本家屋を改装した江戸前の店

本日夜に6月に出来た穴子専門店へ足を運び候。
この店も先日の淡路町(2005年6月28日の記事参照)の店のように
日本家屋を改築して店にしている。
場所は日本橋高島屋の裏手で実に良い立地と言ってよい。
従って、たたずまいはさすが日本橋、正直に言わなければ老舗なのかと見間違える程の
立派な構えである。
暖簾をくぐると中はその店構えを基調としながらも座りやすい椅子席で構成され、
店構えよりは一歩庶民寄りな雰囲気。
早速メニューをもらい穴子の箱めし(焼上げ)を発注。
煮穴子にも惹かれたが、 香ばしさを楽しみたい一心で、こちらを発注。
程なくして箱めしが来た。

蕎麦の海苔を入れるような綺麗な木箱にご飯を敷き詰め、
そこに芳ばしく焼かれた白茶けた穴子が入っており、実に美味しそうである。
既に削られた柚子皮の香りが下ろし金からほのかに感じるが、 まずは何もせず一口。

日本橋 穴子白焼き.gif

江戸前風の脂身のある穴子だが、
西のもののようなしっかりした旨味も時折きてなかなか。
たれはさすがに若い感じがあるものの、
全体としてのまとまりに遜色なく実に美味しい。

柚子の香りも皮の部分だけだからこそ感じられる繊細な良い香りがあって、
これを振りかけるとまた心地よく箸が進んでどんどん頂ける。
その箸、最後に持ち帰ることが出来るということで、今も我が家で使用されている。

これから長い月日を経て、この店が外観に追いつく老舗になるのが楽しみである。
それに期待して今後も足を運んでいきたい店であった。
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2005年07月02日

銀座(紅茶) 〜薫り高い水の美味しさを感じる紅茶

本日銀座徘徊中に休息を取るべく入った喫茶が思いの他美味しく、
珍しく記事にした次第である。

この店、大きなガラス張りで木漏れ日の差し込む感じの良い広い店内の割に、
あまり客入りがよろしくない様子で、逆にそれが一休みには居心地が良いだろうと思って
入店した次第である。

サービスマンというよりは、サーファーやホストを何故か連想してしまう、
食品を扱うという類の仕事の割には長髪のサービスマンがメニューを持ってきた。
メニューはダージリンとフレーバーティーで大別されており、
ダージリンのみで5種類以上あるあたりは、専門店の雰囲気なのだが、
「青い瞳の〜」など、メニューの名前のつけ方が、軟派な印象で、
いささか不安に駆られた。

とはいえ、メニューとともに出された水は口あたりの丸い印象の美味しい水で、
期待と不安と共に比較的良いクラスのダージリンを発注。
程なくして紅茶が来た。

「砂糖、ミルク等は紅茶の香りをたのしんででいただく為にお付けしません」
といった旨の通り、足して入れるものは一切なく、ポットには既に茶葉のない状態で、
運ばれてきた。

早速ティーカップに注ぎ、一口頂くと、茶葉のよく舌に残る渋みがなく、
ふんわりとティーカップから溢れる香りが心地よく、飲むとまろみのある
実にふくよかな広がる風味で、喉に甘味のような旨さが残る。
この美味しさがはじめだけでなく、始終続く実に美味しい紅茶である。

銀座 紅茶.gif

これで辺りに人気もなくのんびりと紅茶を頂けるとあって、
1ポット1000円という値段以上の心地よいひと時を過ごすことが出来た。
そのサーファー様のサービスマンに尋ねると、鎌倉の紅茶の店の茶葉を取り寄せて、
出しているとのこと。
しかもそのサービスマン曰く、ここで飲むより全然美味しいというのだから、
なんとも興味が湧いて仕方がない。

「ここで飲むより美味しい」と言い切るサービスマンのサービスは、
あまりに商売っ気に欠けた正直な答えで、いささか気になったが、
その真意を確かめに鎌倉に足を運びたくなった徘徊時の収穫であった。
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2005年06月30日

森下(どじょう) 〜懐かしのどじょうや

本日昼に森下でどじょうを喰らい候。

橋の近くのどじょうやというと、浅草の駒形のどじょうやが有名であるが、
蚯蚓が「どじょうや」と言われて思い出すのは先ずこの高橋の袂にある店である。

というのも、親父に連れられ初めてどじょうというのを口にしたのが
この店だったからである。
子供の頃、柳川風のほうを食べさせてもらったが、それでもなんだか
どじょうの泥臭さと見た目の物珍しさが相まって決して好んで食べた記憶がない。
それが今となっては連れ立って行こうものならこちらが先を切って
どじょうを開いてもいない「まる」を発注し、
すかさず合わせてビールを発注するといった始末で、
己も年を取ったと日々感じる瞬間である。

懐かしさはさておき、どじょうの「まる」と、鰻の白焼き、鯉こくを発注。
夏日とあって、暑さしのぎのうちわを各人店からもらえるのだが、
己をあおぎ心地よい風で気分も上々といったところに
鍋に綺麗に敷き詰められた「まる」がきた。

早速火にかけ、くつくつと温まった頃に葱を放りこみ、半生の葱とどじょうと
黄色い鼻の通る香りの山椒を一振りして頂くと、そこからはもう記憶を思い起こす
会話などなくとも、全てがよみがえる。
子供の頃はいささかしんどかったどじょうの味も、山椒と葱の香りとともに
むしろ心地よいほろ苦さと化して、ビールが進む。

森下 どじょうまる.gif

鰻の白焼きは白醤油ベースの透き通ったタレにちょいとつけて
山葵と共に頂くと、旨味充分で日本酒すら飲みたくなる。

〆の鯉こくも独特の旨味がしっかりとくる濃厚な味わいと
魚の身の締まった食感の心地よさで、
しっかり食べたという満腹感があってよい。
食後は川の景色やら商店街を楽しみつつぶらりと散歩し、うちわを片手に
お江戸気分と懐かしさで暑さも心地よい初夏のひと時を過ごした蚯蚓であった。

この店の場所はこちら
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2005年06月28日

淡路町(洋食屋) 〜薫香漂う日本家屋を改装した店

本日神田の有名蕎麦屋の界隈を徘徊している折、見つけた店に立ち寄り候。
有名蕎麦屋は店じまいの時分に明かりが灯っているため、
目に留まった次第である。

1階はカウンターとバーのような背の高い椅子のテーブル席。
急な木製の階段を上ると仕切りが比較的しっかりとし、個室の如くに利用できる
テーブル席が数個ある。
印象的なのは薄暗い落ち着いた照明のこの店じゅうに、お香のように薫香が漂っており、
それで一杯ビールが飲めそうな心地になる。

メニューは肉系の洋食めいたものが得意なようで、その他燻製のメニューをそろえている。
酒はワインリストがあるが、その他焼酎なども発注できるようである。

ビールとこの店オリジナルのたくあんと燻製卵のポテトサラダ、
燻製盛り合わせ、ハンバーグを発注。
程なくして皿が来た。

ポテトサラダは感じのよい和風のとり皿と共に出され、
頂くと、薫香とスパイシーな胡椒の風味、たくあんの甘っ辛さが
なかなか面白い一品。

燻製盛り合わせは、鴨肉がしっかりとした薫香に負けない濃厚な味わいを持っており、
しっかりとした中でのバランスが実に良く美味しい。
表面が揚げ煎の香ばしさとそこに薫香のする餅の燻製は珍品。
ベーコンは脂の元の風味がこの店の燻製チップと今ひとつ合っていないせいか、
相乗効果は感じられないがビールが美味しくなる定番的な美味しさ。

淡路町 燻製盛り合わせ.gif

ベーシックなデミグラスソースが嬉しいハンバーグは、
筋が入っていたり、ひいた肉というより肉を細かく刻んだような食感のする、
噛むほどに美味しさを増す作りが印象的。

淡路町 ハンバーグ.gif

この神田〜日本橋界隈では旧日本家屋を改築し、
そこで料理屋をはじめるという店が増えだしたように思われる。
まだ入ってはいないが、日本橋高島屋裏の穴子専門店や
先程オープンしたてで次に尋ねた折に記事にしようと思っている新富町の店など、
徘徊時に数件気になったところがあるので、
今後その類の店を色々記事にしていければと思う。

この店の場所はこちら
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2005年06月26日

松戸(蕎麦) 〜甘味の旨い蕎麦

本日知人に連れられ、松戸で蕎麦を頂き候。

蕎麦好きの蚯蚓のために、あまり馴染みのない街松戸という場所で
うまい蕎麦やといえば、という店へ連れて行ってもらった次第である。

店のたたずまいは実に感じが良く、神田の有名蕎麦店を思い出させる。
松戸という街はかつて宿場町で、この店は唯一といっていいほど
その名残を感じさせる構えをしている。

中に入ると手入れの行き届いた庭の木々が心地よい席へと案内される。
早速、最近執心の鴨なんばんを発注。
また、天ぷらそばが有名とあって知人と分け合う事にしてこれを発注。
程なくして蕎麦が来た。

天婦羅は小海老のかき揚げで、パン粉の如くに細かい衣に海老が絡む
円盤状の揚げで、胡麻油の香ばしさが引き立つ美味しさ。
蕎麦はみりんの効いた甘めの汁に、これまた甘味の強い蕎麦が実に良く合い、
粉の効いた練り山葵が旨味を引き立て美味しくいただける。
もちろん天婦羅と共に食べても一興。

松戸 天ぷらそば.gif

鴨なんばんはごろりと大降りの鴨肉とこれまた大降りの太葱が、
しっかりとした味わいと風味を放ち、浜町や森下で食べたものと、
よくある街のしっかりした鴨なんばんの間くらいのコクのある味に
仕上がっている。

松戸 鴨南蛮.gif

蚯蚓が出向きにくい場所柄ではあるが、また機会のあるときに、
訪れたいと思う蕎麦屋であった。

この店の場所はこちら
posted by 蚯蚓仙人 at 00:00| Comment(8) | TrackBack(0) | 松戸 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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