吾輩は蚯蚓である。夜を昼を様々な街に縦横無尽に出没するたくましい生き物である。
根っからの外食好き"蚯蚓"の食生態フードダイアリー。

2006年02月27日

東京・淡路町(鳥鍋)〜座敷で広げる鍋の心地

本日夜に、老舗鳥鍋屋で一杯引っ掛け候。

そこは鳥鍋しかない店である。
以前記事にした森下の馬鍋と同様に、鳥鍋およびそれに付随するもの、
〆の飯、漬物、酒類のみである。

日本家屋の心地よい間口から一歩中に入ると、
仲居さんが人数を確認し、奥へと通される。
今回、蚯蚓は2階の大きな座敷部屋へと案内された。

連れと二人で来たが、大きな座敷で、
隣の人との空間を分けるためのつい立など一切無い。
大きな座敷、広がる廊下、昔の引き戸風の木枠の窓。
欄間も簡素であるが、その景色、客、全てがあって初めて、
この空間が心地よいものとなる。
つまり、無関係な客の話し声も心地よいのである。

最初の瓶ビールを発注するやいなや、
既に頃合の熱を発する炭火の七輪に鉄鍋が置かれる。
ここからは仲居さんが手際よく、持ってきた鶏肉などを
鍋に並べ、じゅわっとタレをかけて、去ってゆく。
この作業を眺めつつ、山椒の利いた鮪の佃煮でビールをあおる。

淡路町 鳥鍋.gif

さて、喉も潤った頃に早速鳥肉が白っ茶けてきて、
たまらずまずは卵にからめて一口。
老舗ならではのタレの甘辛さと、地鳥とは異なる鶏の優しい
でも甘味のある肉質が感じられる美味しさを
七輪の炭の香りと共に噛みしめ、そこでビールを一口。

ここからは順に葱やら白滝やら焼き豆腐を楽しみ、
次いで、つくねを仲居さんが入れて出来上がった頃に、
また箸を伸ばすといった具合に調子よくどんどん
ビール、鍋、ビール、鍋と、食指が進む。
このつくねが絶品で、最近多いふんわりとして、
柔らかいものとは一線を画した、鶏をミンチにした
噛めばかむほど旨味の出てくるむっちりとした肉からなる
団子で、一度ほおばるとはらりと崩れながらも
噛み終えるまでの時間が長く、心地よい。
ハツもまた然りでともかく噛むほどに旨い。

淡路町 鳥鍋皿.gif

最後は親子丼ということで、少し残した赤身を
鍋に入れて、一通り火の入ったところで、
ざっと卵を流し入れ、おひつに入った飯をよそい、
好きなようにかけて召し上がれと言って、去っていく。

この頃になると大分腹が膨れているのだが、
この見た目の旨さと確かに美味しいどんぶりに、
予定以上に飯を頂いてしまう始末。

個室の飲み屋が増えている昨今、天邪鬼な蚯蚓としては
このような店に好んで入りたいところである。
人は他人にさらされ、店の人のしゃんとした姿、
そして端正な部屋の造りを前にして、
誰もがそそと心地よい一杯に興じない事は無いからである。

今度来る際も気の置けない連中と共に実直な鍋に向かい、
その空気の心地よさを供したいと感じた今日この頃である。
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2005年06月28日

淡路町(洋食屋) 〜薫香漂う日本家屋を改装した店

本日神田の有名蕎麦屋の界隈を徘徊している折、見つけた店に立ち寄り候。
有名蕎麦屋は店じまいの時分に明かりが灯っているため、
目に留まった次第である。

1階はカウンターとバーのような背の高い椅子のテーブル席。
急な木製の階段を上ると仕切りが比較的しっかりとし、個室の如くに利用できる
テーブル席が数個ある。
印象的なのは薄暗い落ち着いた照明のこの店じゅうに、お香のように薫香が漂っており、
それで一杯ビールが飲めそうな心地になる。

メニューは肉系の洋食めいたものが得意なようで、その他燻製のメニューをそろえている。
酒はワインリストがあるが、その他焼酎なども発注できるようである。

ビールとこの店オリジナルのたくあんと燻製卵のポテトサラダ、
燻製盛り合わせ、ハンバーグを発注。
程なくして皿が来た。

ポテトサラダは感じのよい和風のとり皿と共に出され、
頂くと、薫香とスパイシーな胡椒の風味、たくあんの甘っ辛さが
なかなか面白い一品。

燻製盛り合わせは、鴨肉がしっかりとした薫香に負けない濃厚な味わいを持っており、
しっかりとした中でのバランスが実に良く美味しい。
表面が揚げ煎の香ばしさとそこに薫香のする餅の燻製は珍品。
ベーコンは脂の元の風味がこの店の燻製チップと今ひとつ合っていないせいか、
相乗効果は感じられないがビールが美味しくなる定番的な美味しさ。

淡路町 燻製盛り合わせ.gif

ベーシックなデミグラスソースが嬉しいハンバーグは、
筋が入っていたり、ひいた肉というより肉を細かく刻んだような食感のする、
噛むほどに美味しさを増す作りが印象的。

淡路町 ハンバーグ.gif

この神田〜日本橋界隈では旧日本家屋を改築し、
そこで料理屋をはじめるという店が増えだしたように思われる。
まだ入ってはいないが、日本橋高島屋裏の穴子専門店や
先程オープンしたてで次に尋ねた折に記事にしようと思っている新富町の店など、
徘徊時に数件気になったところがあるので、
今後その類の店を色々記事にしていければと思う。

この店の場所はこちら
posted by 蚯蚓仙人 at 01:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 淡路町 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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