蕎麦好きの蚯蚓のために、あまり馴染みのない街松戸という場所で
うまい蕎麦やといえば、という店へ連れて行ってもらった次第である。
店のたたずまいは実に感じが良く、神田の有名蕎麦店を思い出させる。
松戸という街はかつて宿場町で、この店は唯一といっていいほど
その名残を感じさせる構えをしている。
中に入ると手入れの行き届いた庭の木々が心地よい席へと案内される。
早速、最近執心の鴨なんばんを発注。
また、天ぷらそばが有名とあって知人と分け合う事にしてこれを発注。
程なくして蕎麦が来た。
天婦羅は小海老のかき揚げで、パン粉の如くに細かい衣に海老が絡む
円盤状の揚げで、胡麻油の香ばしさが引き立つ美味しさ。
蕎麦はみりんの効いた甘めの汁に、これまた甘味の強い蕎麦が実に良く合い、
粉の効いた練り山葵が旨味を引き立て美味しくいただける。
もちろん天婦羅と共に食べても一興。

鴨なんばんはごろりと大降りの鴨肉とこれまた大降りの太葱が、
しっかりとした味わいと風味を放ち、浜町や森下で食べたものと、
よくある街のしっかりした鴨なんばんの間くらいのコクのある味に
仕上がっている。

蚯蚓が出向きにくい場所柄ではあるが、また機会のあるときに、
訪れたいと思う蕎麦屋であった。
この店の場所はこちら