吾輩は蚯蚓である。夜を昼を様々な街に縦横無尽に出没するたくましい生き物である。
根っからの外食好き"蚯蚓"の食生態フードダイアリー。

2005年06月14日

新橋(牡蛎) 〜不思議な折衷、不思議な牡蛎料理

本日新橋で夕食を頂き候。
今宵は一杯ひっかけるというより、食事がしたい感覚だったので、
土橋のガードを銀座方向へくぐり線路沿いの界隈へと歩いた。
線路下の店も気になるところを押さえて、辺りを散策すると、
オステリアとありながら、牡蛎をメインに出す店で、
ワインだけでなく日本酒や焼酎も揃える異質な店が目にとまった。
店の外に漂うにんにくの香りに誘われて、早速入店。

確かにオステリア風のカウンターはあるが、洒落たオイスターバーと言うより、
家庭的なイタリア料理店に近い造り。
しかし、メニューは和、伊、洋食めいたものが混在しており、発注に悩む。
とりあえず、牡蛎を堪能しようと、4種の牡蛎の盛り合わせを発注。
早速4種がきた。
3倍体の牡蛎は大ぶりでベーシックでいながら、塩気がきて美味しい。
成長過程の牡蛎は比較的旨味の強い脂肪分がわずかにくるミルキーな味わい。

銀座 生演繦.gif

特筆すべきは牡蛎の塩辛で、ウズラの卵黄と和えて頂くと、
酒盗のような発酵した旨味と、牡蛎独特のミルキーな風味が混ざり合って、
最高の日本酒のあてになる。

銀座 牡蛎の塩辛.gif

また牡蛎とリンゴのグラタンは2段論法的に組み合わせたような不思議な料理で、
リンゴの香りと、ホワイトソースが合うのは分かる。
また、ホワイトソースと牡蛎が合うのも容易に分かる。
従って、3者をあわせると美味しいのではということのようで、
林檎を半分に切って実をくりぬいた皮の器で牡蛎のグラタンを作ってあるのだが、
牡蛎のグラタンに林檎の香りの乗ったところを塩梅良く口に含むと実に美味しい。
しかし、バランスが崩れると難解な味わいになったりと、食べていて面白い感覚になる。

銀座 りんご牡蛎.gif

牡蛎のフライなどベーシックなパン粉で揚げた、家庭的な美味しさを提供する皿や、
牡蛎以外にも魚の刺身や煮付けなど品数が実に豊富である。

洒落たオイスターバーとも雰囲気が異なり、蚯蚓としては親近感の湧く店で、
今度はまた異なるメニューの組み合わせで牡蛎を堪能したいと感じた店である。

このお店の場所はこちら
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2005年05月24日

新橋(魚料理) 〜本能でかぎ分けて店を探す

本日夜に久し振りに新橋を訪れ候。
一杯引っ掛けようという恩師の友人の誘いで足を運んだ次第である。

星の数ほどまたたく赤提灯の町、新橋は蚯蚓も時間をかけて
良い店を見つけたいと常々思っている街である。

駅下の居酒屋密集地で数件はしごをすることが多い蚯蚓であるが、
待ち合わせ場所が第一ホテル東京であったこともあり、
新橋一丁目界隈の地上で店を探すことにした。

焼き鳥は判別に時間がかかるため、魚系に絞って店先のメニューを見たり、
メニューがなければ店を軽く覗いて客の食べる皿や飲んでいる酒、
時にはおやじの人相を頼りに店を選出。
やっとの事でカウンター席10席にも満たない小さな店の端っこにすわり、引っ掛け始めた。

ビールはサッポロかエビスの瓶をセルフサービスでとる。
どちらでもと思って、知らない常連客の背中にある冷蔵庫から申し訳なさそうに、
早速一本引っ張り出して開栓。
見慣れた肉厚で小ぶりのビールグラスをカチンとぶつけて半分ほど飲み干す。

店はメニューがなくお任せで出てくるとのこと。
お通しの後はメゴチの天婦羅なのだが、メゴチをいかにも築地から買ってきましたと
云わんばかりの厚手のビニールに入った茶色の紙袋の中から、魚を取り出し、
研いで刃の小さくなった出刃で手際よく裁いて店先に面した揚場で揚げる。

新橋 メゴチ.gif

背骨もせんべいとして揚げて出してくれるのだが、
塩とGABANの胡椒を振ったシンプルな味つけで、むしろそれが良い雰囲気でうまい。
肉厚のさくっとしたフリット状に揚げられたメゴチは、
その魚の持つしっかりした旨味が感じられ、
さくっとしつつ、ぷりっとした食感を楽しみつつビールのなくなる頃に、
一皿食べ終わるペースで頂ける。

腹の落ち着いたところで、次は様々な刺身。
こちらも親父が手際よく鰯等々をこれまた出刃でさばいててんこ盛りにして出す。
魚臭みを感じさせない配慮か、魚だけだと二日酔いし易い事を見越してか、
鰯はおろしにんにくと紫蘇を一緒に叩いたものと一緒に食べることを薦められる。
しかしにんにくの薬味を使わずともわさびで充分においしいのだが、
イカ、イカの子、カツオ、縞海老などどれもうまい。

新橋 刺身.gif

〆は刺身の3枚おろしの残りの身がついた骨でしっかりと出汁をとり、
濃い目の塩、たっぷりの葱、鰯を中心とした雑魚と片栗粉で固めた魚団子が
入ったスープが出される。
刺身で熱燗を堪能しきったこの頃にふさわしい、旨味も塩気もしっかりした
〆ですっきりと終えられる。

新橋 スープ.gif

さすが競争の激しい新橋ということもあって、のん兵衛のツボを心得た、
無駄のないひと時をリーズナブルに提供してくれた。
それにしてもこの店の親父は蚯蚓が「蚯蚓が行く」の話をしたときに、
とっさに徳冨蘆花の「みみずのたはごと」を出すなど中々の知識人で、
話に全く飽きが来ない。
旨い酒に旨い肴、親父の面白い話と3拍子揃ったまた行きたい心地よい店であった。
posted by 蚯蚓仙人 at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 新橋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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