小ぢんまりしたサッシ扉の入り口の一見すると、
中華ラーメン屋のような入り口の店であるが、「ジャージャー麺」と
ガラスに銘打ってあり、興味をそそられ入店す。

メニューも「チャーシュー入りジャージャー麺」といった
容易に想像できるものから「とうふジャージャー麺」といった想像の余地のあるものまで、
数種類あったが、初めてということもあってベーシックなものを早速発注。
掃除好きな主婦といった感じのおばさんが、一人できりもりしているようで、
発注後、早速準備にとりかかる。
麺は生麺を沸騰した鍋に放って、沸騰しても持ち上がらないような
木製の重そうな落し蓋をしてじっくり茹で上げる。
麺が茹で上がると大きなざるにわっとあけて、一気に冷やす。
それを豪快に素手で麺を高く盛り付けるのだが、麺が非常に多かったので、
半分にしてもらうよう声をかけ、再び調理に戻ると、
これまた豪快に麺と同量の胡瓜ともやしを一掴み同様に盛って、
コーンをふりかけ、仕上げに作り置きの自家製ジャージャー麺のタレを脇にたらす。
「お酢をたっぷりかけて召し上がってください。」という一言と共に皿が出された。

酢をかける前にタレのかかった麺のところを一口。
ジャージャー麺のタレというと甜面醤やとうち味噌の黒っぽいものを想像していたが、
この店のタレは茶色系で、味わうと信州系の味噌ベースに豆板醤、
砂糖のような甘みと肉の旨みが感じられるのだが、
これがつややかでコシのしっかりした麺とともに頂くとなかなかうまい。
酢をふんだんにかけて味噌ダレを伸ばして、もやしなども混ぜてたべると、
味噌ダレが風味と化してコシのある太麺との相性がいっそう良く、
これに胡瓜やもやしのパリっとした食感が加わって、勢いよく頂ける。
高級中華料理店のような凝った味付けや旨味で食べさせるジャージャー麺とは異なるが、
タレの塩梅や食感等、基本的なことの積み重ねの出来の良さがしみじみと感じられる
皿であった。