引き締まった緑黒色の昔の住宅風の外装が国際通りを散歩中に気になって、
店に近づくと提灯なども美しくかかっている。
「ランチとんかつ、えびフライ定食700円」という安さも手伝って寄ってみることにした。
中に入ると外観からは想像できないほど普通の定食屋風の内装で、
いささか肩を落としつつも、そのようなみてくれに惑うことなく昼の定食を発注。

店は比較的きびきびとした中年の男性が1人で切り盛りしている様子。
しかし発注してから思ったよりずっと早くに定食が出てきた。
パッと見いかにも学食風の一式である。
仕方ないと思いつつ、溶き卵の入ったみそ汁を一口。
このような定食屋には珍しく、柚子の香りが来て食欲がわく。

肝心のとんかつであるが、一見すると厚い肉を揚げたものというよりはむしろ
カツフライといった感じの代物である。
ソースをかけて一口食べると、とてもあっさりと揚がっていて、食べやすい。
キャベツはとんかつやではよく出るスライサーで切ったような細薄長い千切りとは異なり、
家庭的な手で地味に刻んだ千切りがかえってとんかつと共に一緒に口へ運びやすくて案外
良いことに気づかされる。
エビフライも特筆するほどに美味しいと言うこともないのだが、
ずるをしない仕事を感じがあって、定食を一気に食べ終えられる。
外観とのギャップは残念ではあるものの、付け合わせのポテトサラダのおいしさや、
この価格帯での揚げ物のよくある変な手抜きをしないところなどを考慮すると、
なかなか珍しい店である。
また、メニューにはカツカレーやキスなどフライにした海の幸のフライ定食などもあり、
案外そういったメニューが美味しいのかもしれない。
この揚がりの軽さを考慮すると串カツも美味しそうで、大阪で串カツを食らう感覚で、
浅草ではビール片手にこの店のフライを食べると良いのかもしれないと感じる店であった。