吾輩は蚯蚓である。夜を昼を様々な街に縦横無尽に出没するたくましい生き物である。
根っからの外食好き"蚯蚓"の食生態フードダイアリー。

2005年05月28日

両国(蕎麦) 〜つゆの香りと日々の蕎麦

本日知人と両国に蕎麦を食らいに出向き候。

江戸東京博物館からのびる北斎通りを少し歩いて右に曲がったところに
隠れ家の如く、その店はある。

中に入ると大きなテーブル席が点在し、相席を覚悟しつつ席に着く。
メニューを貰い、水ナス、穴子天、蕎麦豆腐、焼き味噌、日本酒を発注。

程なくして酒と肴が出された。
焼き味噌はよくあるしゃもじに乗っかったものとは異なり、
青い陶器様の石の上に品良く盛られて表面が香ばしく焼かれている。
箸で引っ掛けてちょっと頂くと、かりっとした蕎麦の実の食感と、
香ばしい葱や西京甘味噌の風味がきてなかなか。
穴子天はぷっくりとして小骨の香ばしさが烏山の店ほどではないが、
塩で食べる折に感じられてうまい。

両国 やきみそ.gif

美しく盛られた水ナスは特に漬けることなくパウダー状になった岩塩をつけていただく。
水ナス特有のほっくりしたみずみずしい食感とさわやかなナスの風味が
はむっとほおばる度に感じられ、他の肴の口安めになかなか良い。

両国 水ナス.gif

肝心の〆の蕎麦は一見すると、田舎蕎麦のような黒灰色の太目の麺である。
山葵で頂くと、田舎と更科の中間の感じで、田舎蕎麦にあるハッカのような爽やかさを
抜いた味わい。
内側が金色に塗られた薄目の漆器で塩気の優しい、
だけどもしっかりと鰹の香りの起つあめ色のつゆを入れて頂く。
つゆの旨味というよりは出汁の香りでもったりした太目の麺を頂くことになるのだが、
互いが協調して一つの味になるというよりは、互いが強調しあって
一種独特の感覚に陥りながら始終頂く。

両国 蕎麦.gif

最近、出汁の香りがしっかりくる塩辛いつゆに、
その出汁の香りに引っぱられる形で、細めの麺をするすると頂く蕎麦屋が
多いような印象をうける。
はじめは蚯蚓もこの類の蕎麦は好印象であったが、
日々頂くうちに、なんともその香りに飽きが生じてきて、
蕎麦屋へ足を運ぶ頻度が少なくなってしまったように思える。
日々食べるとなると、あくまで私見だが、先日記事にした浜町の蕎麦屋ようなところが
飽きが来ずにいただけそうである。

今回訪れた店は流行りの蕎麦とも麺の点では一線を画しているが、
つゆの雰囲気がその類であるため、またそのような鰹出汁の香りの蕎麦が恋しくなった折に
足を運びたい店であると感じた。

地図はこちら
posted by 蚯蚓仙人 at 22:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 両国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年03月21日

両国 〜猪肉鍋の猪肉の変化ぶりに感心  (なべ)

本日夜に両国橋のたもとにて猪鍋を食らう。

両国寄りの両国橋のたもとに、猪のレリーフの看板が極めて目立つ店がある。
大きな店構えで、老舗風なのだが、東京生まれの蚯蚓は猪などの肉は縁がなかったため、
どうにも気になって人と連れだって入店す。

2階の座敷席に通された。
各部屋は旅館の個室のお座敷席のようになっており、蚯蚓が通された部屋には子鹿の剥製が置いてあった。
給仕をしてくれる仲居さんのような女性達も皆、和服を着ており、小旅行に出たかのような気分になる。

初めてということもあり、コースで発注。程なくしてお通しが来た。
煮込み風の味噌仕立てのお通しなのだが、モツの代わりに猪の肉を使って作ってある。
興味津々で猪の肉を口にしたが、食感はしっかしりた牛肉、
味は牛、馬の中間の独特の味わいをほのかに感じる上品な味で旨い。

次に八丁味噌仕立ての鍋に火が入り、まずは猪肉を投入してくれる。
ある程度肉に火の通ったところで野芹、しらたき、葱、豆腐を加え火の通った野菜から
食べることを仲居から勧められる。
猪の肉は十分に火を通してからの方が軟らかくなり、美味しくいただけるそうなのだ。
そのアドバイスに従いたいところであるが、天の邪鬼の蚯蚓は猪肉の鍋の中での変遷をたどりたくなり、
逐次様子見で肉をつまんだ。

両国 しし鍋.gif

火の通った直後は歯ごたえのある豚肉のような食感で、味噌の香りやら薬味で付ける山椒や
一味の香りとのアンバランス感はあるものの、そういうものだと思えばそれなりに食べられる。
しかし、野菜が煮えて来た頃の肉はカレー用の牛肉が柔らかく煮込めず筋張って堅い
と感じたときの食感に近く、味はまあまあとはいえ、食べるのにしんどい。
野菜も食べ終え、食べ頃の肉は牛肉の大和煮のようにほろりと柔らかく、
味噌やら野菜やらの味が馴染んだものが肉に含まれていて、実に味わい深い甘みで美味しくいただける。
その他鹿肉の刺身や狸汁も堪能したのだが、どれも肉の個性を堪能できて非常に面白い。

両国 鹿.gif

今回はビールやらご飯でこの鍋を堪能したのだが、通は上手に発注し、
最後に鍋にうどんを入れて〆にしているようだ。
確かに、この猪肉の出汁の十分出た真っ黒な八丁味噌仕立てのうどんはここでしか味わえないはずである。

森下の馬肉の店より一見値段が高く感じるが、出す量がこの店は多いので、
仲居の不親切を意に介さず、上手に頼み方を考えれば、森下の馬鍋と同じ程度の値段で
猪鍋を堪能できる印象を受けた。
今度はこのうどんを食べにこの店を訪れたいと思う。
posted by 蚯蚓仙人 at 19:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 両国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年02月28日

両国 〜ちょっとちょっとがちょっとおいしい (おにぎり)

本日夜中に両国で街歩き候。
両国橋へと続く大通り沿いに、一軒暖簾たなびく店を発見。
気になって店の前へ近づくと、「おにぎり」と書いてある。

両国 おにぎりや入口.gif

小料理屋のような店構えでありながら、おにぎりという物珍しさが手伝って、
中へ入ってみる事にした。
座敷の席と半端なカウンター席がある。
席数が結構あるのだが、おかみさんひとりでどうやらきりもりしているらしい。

メニューはおにぎり以外にもちょっとつまめるようなものがあるが、
試しに漬物と鮭おにぎり、梅干入り焼酎お湯割を発注。
粒うにのおにぎりにも惹かれたが、ベーシックなメニューで様子を見ることにした。

程なくして全てが揃い、お湯割りを一口。
梅がうまい。最近の時を待てずに出汁の味をつける梅とは違い、
素朴で年月を経ないと塩が枯れて出てこない旨味がこの梅干にはある。
型で押して作られた形の良いおにぎりも鮭にぎりだというのに、
雲丹のような香りが乗って、なかなか美味しくいただける。
しば漬けも紫蘇の味がする品のいいもので、ヤマゴボウは塩っ気が濃く、
最上の品質とまではいかないが、しっかりゴボウの味がして酒が進む。

両国 おにぎり.gif

このお店の良い所は、長くからこの場所でひっそりとおにぎりやを続けている事で、
たとえば、ちゃんこならここがいいとか、400年も続くしゃもを食べさせる店が
近くにあるだの、以前、記事にした両国のラーメン屋の場所は
その前に2件数ヶ月で立て続けに店を閉めてざるを得ない位に
何故か店がうまくいかない「いわくつき」の場所だとか、そんな地元話をしてくれる。

この界隈が店を閉めた後の深夜まで店を開け、
はしご酒の客を優しく迎えて色々話をしてくれる懐の深さをこの店に垣間見た。
是非、両国で一杯引っ掛けた後の〆に立ち寄りたい店である。
posted by 蚯蚓仙人 at 19:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 両国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年02月04日

両国 〜dancyu 万歳! 有り難う (ラーメン)

本日は両国駅からしばし離れたラーメン屋にて昼食を取り候。

雑誌dancyuが珍しく、ひょっとすると初めてラーメン特集を組んでおり、
その中の1件が、蚯蚓が通りすがりで入って好印象であった店を
たまたま掲載していたので思わず購入した。

人と食事に行くということもあり、早速dancyuを活用。
その中の1件、両国のラーメン屋へと足を運んでみた。
カウンターと4人がけのテーブル席ひとつの小さな店である。

海のものが好きな蚯蚓は、通常のラーメンにも入っている具の「アオサ」が
多めに入ったものを発注。ほどなくして「アオサ」入りラーメンが来た。
dancyu曰く、鳥で出汁をとったものらしいのだが、
確かにコクがありながら、すっきり感があり、しかし奥深い鳥出汁スープ。
何故か参鶏湯を連想させる。美味。

両国 ラーメン

最近ラーメンを特集した、もしくはそれをメインにした雑誌は多く刊行されているが、
他誌の再編集とも思えるつくりのものが多い中、
今回のdancyuの特集は丁寧かつ地域も広範囲で、編集者のプライドを感じた。
素材や産地にこだわった店を発掘することに躍起になっているように見える
最近のフードライターの傾向にはいささか賛同できない今日日、
”食”の追求として真摯に丁寧な取材をし、活字にし、楽しめる記事に仕上げた
雑誌dancyuには今後も期待をしたい。
posted by 蚯蚓仙人 at 00:00| Comment(3) | TrackBack(3) | 両国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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