この店も先日の淡路町(2005年6月28日の記事参照)の店のように
日本家屋を改築して店にしている。
場所は日本橋高島屋の裏手で実に良い立地と言ってよい。
従って、たたずまいはさすが日本橋、正直に言わなければ老舗なのかと見間違える程の
立派な構えである。
暖簾をくぐると中はその店構えを基調としながらも座りやすい椅子席で構成され、
店構えよりは一歩庶民寄りな雰囲気。
早速メニューをもらい穴子の箱めし(焼上げ)を発注。
煮穴子にも惹かれたが、 香ばしさを楽しみたい一心で、こちらを発注。
程なくして箱めしが来た。
蕎麦の海苔を入れるような綺麗な木箱にご飯を敷き詰め、
そこに芳ばしく焼かれた白茶けた穴子が入っており、実に美味しそうである。
既に削られた柚子皮の香りが下ろし金からほのかに感じるが、 まずは何もせず一口。

江戸前風の脂身のある穴子だが、
西のもののようなしっかりした旨味も時折きてなかなか。
たれはさすがに若い感じがあるものの、
全体としてのまとまりに遜色なく実に美味しい。
柚子の香りも皮の部分だけだからこそ感じられる繊細な良い香りがあって、
これを振りかけるとまた心地よく箸が進んでどんどん頂ける。
その箸、最後に持ち帰ることが出来るということで、今も我が家で使用されている。
これから長い月日を経て、この店が外観に追いつく老舗になるのが楽しみである。
それに期待して今後も足を運んでいきたい店であった。