蚯蚓の目下のマイブームは老舗洋食のようだ。
(ただし、今のところ思うような理想の洋食屋に中々遭遇しないのだが。)
ここは人形町の洋食やとは異なり、シチューとグラタン専門の店である。
蚯蚓は街歩きを基本とし、野生の勘を頼りに開拓をするのが好きである。
しかし、たまには世にあるグルメ雑誌をたよりに物色する事がある。
この場合たいてい人と食事に行く場合が多い。
店が開いていることを確認できる上、‘それなり’という安心感を保証できるからだ。
店に入りビックリした。あって2階と思いきや、ぐるぐると中の階段を上り
3階の座敷に通された。客席数は各階結構多く、各階にご飯のお代わりに対応すべく、
炊飯器と給仕する男性が1〜2人いる。
4つしかないメニューに迷いながらグラタンとミックスシチューを発注。
ほどなくして、洋食とは程遠いひじき煮などの小鉢が運ばれてきた。
お酒を頼んだ人へのサービスかと思っていたが、全員につくらしい。
先にグラタンが来た。想像より小ぶりだ。
最初の一口はまさにチーズケーキのような香りに包まれる。
何と言うか塩気より甘みが先に来る。
これが茶碗にもられた白飯と良く合う。
そうこうする内、ミックスシチューが来た。
シチューは期待を裏切るほどではないが、とても感動!と言うほどでもない。
やはり注目すべきはグラタン。
個性的なので、思い立ったが吉日でまた来たくなる印象的な味。

雰囲気は畳のせいかどことなく古い家屋の面影があり、落ち着くが、
全ての花が落ちた可愛そうな胡蝶蘭がそのままの状態であったりして、
老舗っぽく由緒ありそうなたたずまいだが、心意気には一抹の不安が残る店であった。