マンションビル風の建物の1階に、独特の看板がなんとも蚯蚓の心を惹きつける
薬膳カレーの店がある。
店に入ると白いコックコートを着た男性が店の端っこに3人。
団塊の世代が定年を迎え、飲食店を開くことはよく町歩きの新店で、
蚯蚓もよく遭遇するようになった。
一瞬その類なのかと思う風貌の3人であるが、
ともかく薬膳カレーのメニューを拝見。
薬膳カレーは鶏肉、海鮮、野菜、牛肉、特選カレーと5種類あり、
一瞬特選にしようかと思ったが、ルーに入る生薬系の高麗人参などが、
ベースとなる薬膳ルーの味を変えてしまい、ベーシックなカレールーの
味が見えなくなってしまうのではないかと思い、悩んだあげく、
野菜カレーを発注。
発注後薬膳カレーの味と薬効の書かれた紙をもらい、
読みふけっていると、薬膳カレーがきた。

きれいに飾られたクコの実やユリネ、根菜などをさておき、一口ルーを頂く。
ルーには野菜とインドスパイス、和漢生薬を用いており、
化学調味料やバター、ラードは使わないと言う紙のとおり、
カレールーの味わいの奥に潜む味わいは、
肉類の旨味ではなく、昆布や野菜の旨味系の和風とも言える味で、
こってり感はなくあっさりしている。
その分、スパイスの香りはかなり引き立ち、
赤やら黒の胡椒のスパイシー感が鼻をくすぐる。
食べ進むにつれ、葉物の乾燥したときに感じるい草のような香りが来たり、
ところどころで、風味が変わるのが何とも不思議な心地になる。
食べ終えた頃には確かに背中がぼわっと熱くなり、
食後に普段あまり発汗しない蚯蚓も今日ばかりはと汗がにじむ。
早速効果があったようである。
カレーとしてこれが旨いかというとやはり肉の旨味があってこそ
というところがあるため、正直物足りなさを感じるところはある。
しかしカレーとは異なる薬膳のシチューとして考えれば、
とりたてて薬くさいとか、苦いと言ったことはないおいしいものなので、
実に良い出来であるといえる。
次回は少し値が張るが、牛肉カレーを発注し、このルーの旨味に
肉の旨味が付加された物を食べてまた考えてみたいと感じた今日この頃である。