吾輩は蚯蚓である。夜を昼を様々な街に縦横無尽に出没するたくましい生き物である。
根っからの外食好き"蚯蚓"の食生態フードダイアリー。

2006年03月27日

東京・上野(鰻) 〜粋な花見の心地とは

本日上野公園の中にある鰻割烹の2階座敷で、
花見を堪能し候。

東日本橋の行きつけの寿司屋の常連の方の計らいで
桜の見ごろなこの最高の時期に一席設けられた次第である。

2階の座敷は30人もの人間がゆったり膳に向うことができるほどの
広間で、2階ということもあって、
窓一杯に花を咲かせた桜の枝木が、まるで襖絵のように広がっている。

上野 桜.gif

この景色だけでも非常に貴重な一時であるが、
大勢の仕出し料理の割に旨い刺身やら小鉢と、
着物姿が板についた仲居さんの酒の酌と客あしらいで、
花も団子も甲乙付け難いまま、宴は一層盛り上がっていく。

上野 つきだし.gif

朱塗りの膳に品良く盛られた鰻の蒲焼は、
小ぶりの江戸前風のものであったが、風味はほどほどで、
こればかりは本店で一度きちんとしたものを食べなければ
なんとも言いがたいところである。

とはいえ、一席に参加した江戸っ子の面子が一芸に秀でた面々で、
三味線など弾いて唄をさらりと流してみたりといった、
玄人が素人の真似ごとをするから、どうにも高級な時間が展開し始める。
満開の桜と三味線と玄人の唄と来れば、誰もが思い描く
粋で極上な夢心地の花見である。

「腹の立つときゃ、茶碗酒〜」と洒落た唄なぞ説かれてしまえば、
やんややんやと調子も出てきて、今度は蚯蚓を含めた素人の
面々が玄人の真似事を始めてしまう始末。

〆においても、趣深い本物の締め方で、しっかりしめる。
言葉の貧弱な蚯蚓では到底表現し得ない粋な正式の「締め」である。

食事という観点からいくと仕出し感は否めないが、
やはり花見はその一時を共にする面々であると
深く感じた極上の粋な時間である。
想い出を刻むべく今回は私事の比重の高い表現となるが、
記事を投稿させて頂いた。

posted by 蚯蚓仙人 at 22:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 上野 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。