吾輩は蚯蚓である。夜を昼を様々な街に縦横無尽に出没するたくましい生き物である。
根っからの外食好き"蚯蚓"の食生態フードダイアリー。

2005年05月08日

特別編 〜蚯蚓山口に行く (イタリアン)

本日夜に久し振りに洋物を食したくなり、
町歩きで気になったイタリア料理店へ足を運び候。

オープンキッチンでカウンター7席、テーブル席があり、
ガス、水まわりだけでなくエスプレッソマシンなど、
設備は充分すぎるといっても過言でないほど立派なものである。
その贅沢な設備を中年には至らない年回りのシェフが一人で切り盛りし、
ホールのサービスも行う。

夜のメニューは「おまかせコース」のみなので、こちらの決める事といえば、
ワインの種類を決めるくらいである。早速ワインを発注し、皿を待つ。
手馴れた手さばきでパンを温め、一皿目のイベリコ豚の生ハムを出す。
少々行き過ぎ感もあるが、口に入れるとこなれたナッツの香りと
ハムのひなびた香りがきてパンや赤ワインと合う。
パン自身は皮部分が厚めでぱりっとしていて心地よく粉の風味も良い。

コジコジ イベリコ豚ハム.gif

一皿目はアボガドとはっさくと鯵の皿で、塩梅良くマリネされた鯵が
アボガドと一緒になることで味に深みやコクが出て、
まったりとしながら旨味のある一口になる。
これをはっさくと一緒に食べたときは柑橘類の酸味と甘味が絶妙に溶け込んで、
口あきることなく、むしろ後を引く具合でどんどん頂ける。

コジコジ アンチパスト.gif

ウズラのミンチのパスタは軟骨を混ぜてひき肉状に叩いたウズラの食感が、
つぶつぶこりっとした形容しがたい絶妙な食感のアクセントとなって、
パスタのおいしさに一華添える感覚になる。
定番のパルミジャーノで風味や旨味、塩っ気を増して濃厚な味のまとまった一皿になる。

コジコジ ウズラパスタ.gif

その後、筍のリゾットはガーリック風味のパンチの効いた一品を頂き、
メインのラムチョップ。横にゴボウのポタージュが付く。
ラムチョップは肉のベストな焼き時間というよりは少し焼け気味なのが気になったが、
元々の肉がおいしくて、さらりと食べられてしまう。
ゴボウのポタージュもゴボウの土の風味が良く出て
舌触りに、多少ざらつきがあるものの
素朴でいて濃厚な味がダイナミックで良い一品。

コジコジ 肉.gif

ドルチェはぱりぱりのクレープ包みであるが、案外あっさりしたカスタード風味のソースに
水分を吸ってくたっとすることなく、ぱりっとほどけるクレープが甘味の苦手な蚯蚓でも
カフェラテと共に素直に楽しめた。

コジコジ ドルチェ.gif

ここのシェフは山口県出身というわけではなく、
東京は六本木のちょっとした有名店で一時働いた経験があるなど、
都会での仕事経験を経て山口で店を開いているとのこと。
本腰を入れ始めてまだ間もないという割にはアンチパストなどの皿のまとめ具合など、
個人的にはとてもセンスを感じるものがあった。

はじめは単品で発注することも可能なオステリアのようなスタイルで
こよなく仕事帰りの気分転換の店として気軽に使ってもらおうと努めたらしいのだが、
外食文化のないこの地域では中々そのスタイルでは難しく、
現在のコース料理を出すスタイルでなんとか切り盛りしているらしい。

商店街には東京や大阪の都会でデザイン関係の影響を受けたであろう若者達が、
相次いで雑貨屋や服屋を出店して、一種の都会の様相を呈し始めている。
にもかかわらず、都会の生活スタイルの感覚はこののどかな土地柄には不必要なものなのか、
もしくは生活スタイルの感覚までもは影響されずに帰郷したのか、
ともあれ味のトレンドや食材を入手可能な東京の郊外で店を構えれば、
前途有望な店がこのままでいることは残念でならない。

しかし、そんな諸々の話をシェフとざっくばらんにしていると、
彼曰く、「いずれはこの新鮮で豊富な食材を入手できる土地の利をさらに活かし、
良質のハーブや野菜を自分で育てて、それを料理に盛り込んで行きたい。」
日々の困難をクリアするだけでなく、志をもって仕事に望む姿勢に、
また山口を訪れた際は是非、伺いたい店であった。

■本日訪れた店
cosicosi(コジコジ) 山口市駅通り1-7-12
posted by 蚯蚓仙人 at 06:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 特別編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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