深夜までやっているこの店であるが、中にはいると夜遅くだというのに満席である。
日本酒に合うつまみが豊富で、ぬたや出汁巻き、板わさ、そら豆を発注。
つぎつぎと料理が運ばれてきた。

ぬたはおそらく酢みそからきちんと作られていて、
卵っぽさをほどよく感じて素朴で美味しい。
出汁巻きは関西風と関東風二種類あり、関西風を頂いたが、
こちらもなかなか卵の美味しさを感じる一品。
印象的なのはにしんの焼き魚で、身がしっかりしつつ脂ののったニシンを
ほっくりとジューシーに頂けて、これが日本酒と実に良くあって美味しい。

〆はうどんを発注したのだが、きしめんのような平べったい麺で、
つやは申し分ないが、いささかコシの弱さを感じて
原因がゆで具合なのか、麺そのものなのか歯がゆい気持ちになった。

特筆すべきはこの店の主人で、通勤客はそろそろ終電を気にし始めるような時間に出勤し、
早速と言っていいほどに店に入ったかと思うと常連の客席に一緒に腰掛けて、
和気藹々と輪に交ざって話し込む。
かと思ったら、別の席へもはせ参じ、またもや話し込んでいる始末。
無精と言うよりはそういったアットホームな接客するおやじがなんとも印象的である。
表参道という街にもこういった飲んべえに優しい店があるというのはなかなか面白い。
皿の作りが4人で分けると色々楽しめるボリュームがあるものが多いので、
何人かで訪れて、和気藹々と朝までたのしむのに良い店と思われる。