ラーメンの「美味しそう」な店構えというと、最近看板や外装に凝ったものが目立つが、
そういった飾り気はいっさい無く、どちらかというと、からからと音を立てる
アルミサッシの入り口宜しくといった、無愛想な風体なのだが、
麺打ち場が通りに面していて、
ちょっと背を丸めて麺を打つ料理人のこなれた姿がおいしさを連想させる店である。
早速ベーシックにラーメンと餃子を発注。
あれよという間にまずはラーメンが来た。
至って外観普通のラーメンである、すすりはじめると分かるのだが、
太いもの細いものが入り乱れて入っており、
細いものはそうめんほど、太いものは讃岐うどんほどにばらつきがある。
しかしそのゆで具合を意に介さず頂くと、ゆであがりの差から出る麺の甘みや食感の段階を
全て一気にすすることになり、奥行きが出る。

飾り気無いしょうゆ味のスープがこの麺の美味しさをじゃましないため、
にゅうめんのようなうどんのように麺のコシやらうまさを感じつつ、
ラーメンとしてその麺を頂くという不思議な感覚に包まれて、どんどん食べてしまう。
以前食べた馬喰町のラーメンと比べると、麺を作る粉の旨さが食べた後に感じられる。
口に入れた瞬間、旨味があって美味しいという麺ではなく、
うどんやそうめんのそれと同じように、
食べた印象としておいしさが感じられるといった類である。
餃子も浅漬けにした風な味わいを感じる野菜類が具の旨味の一役を担っており、
おいしくいただける。

市場が成熟して凝ったラーメンが多い中、
昔ながらのおいしさよりも更に一昔前の素朴なラーメンを堪能し、
非常に心地よいひとときであった。
担々麺も一見変わった風で興味深い。次回はこれを発注してみたいと思う。