千歳烏山駅の南側からほど近いこの店であるが、
入れ替わりの多い中、ここ4,5年といった年月定着しつつあるそば屋である。
内装は純和風の感じの良い作りで、テーブル席で落ち着いて食事が出来る。
大半のお客は日替わりのおすすめセットを食べるのだが、開店以来何度か来てみた
蚯蚓はこの店で小皿の料理を堪能することが一番の楽しみである。
フロアの手際は決して良い方では無いので、混み具合をみつつ料理を発注。
まずは、平目の昆布〆がきた。
しっかりと昆布の旨味がする平目に薬味がうるさすぎず香味の働きをして、
1つの味になっている。
鴨のサラダも鴨自体の味わいが良く、それだけ食べて楽しむのもいいが、
ごま風味のハーブ野菜と一緒に口に含んでも相性が良く美味しい。


ほやもとれたての新鮮、とまではいかないものの、臭くなる前の独特のアンモニア様の、
だけどさわやかな香りが来る比較的良い鮮度の状態で出されており、
これが、辛目の冷酒とやると、良い香りがぐっと立ってたまらない心地になる。
ゼリー寄せになっているため、タレがほやに良く絡んで口に運ぶことができ、良い。
その他、うるいの温かい出汁びたしもほろ苦甘いうるいのおいしさと出汁の旨味で
当然の如く日本酒がすすむ。

この要領で出汁巻きもジューシーといって良いほどにだし汁が湯葉状の卵焼きに
含まれていて良い。

今回「穴子天ざる」として〆の蕎麦を発注したが、
穴子の小骨をしっかり揚げつつ、しかし穴子の身はぱさつかず、
水分を残して旨味が出るようにじっくり揚げているようで、
もっちりとした食感があって美味しく頂ける。
蕎麦は繊細すぎて食事のみの時や、飲んだ後の〆には何か今ひとつ物足りなさが残るが、
さっぱりとした口直し的な役割の「つまみ」と考えれば、それなりに頂ける。

この店は蕎麦の店とあるが、正直全てが酒の為にあるではないかと思えるほどに、
蕎麦までもがつまみとして美味しい。
烏山でイスに腰掛けて、雰囲気良く日本酒をひっかけるには良い店である。