都営浅草線東日本橋駅と都営新宿線の馬喰横山駅の中間のブロックは
衣服などの問屋が軒を連ねているところである。
その中にひっそりと、しかし凛としたたたずまいの中華そば屋がある。
普通中華そばやといえば、赤い暖簾にカラカラと音を立てて開けるサッシ扉、
中からは中華なべをまわし、ひっきりなしに炒め物のしゃんしゃんいう音、
それに伴う油の香りや湯気が漂っているイメージがあるが、この店にはそれが全くない。
暖簾以外はむしろ蕎麦屋のような印象を受ける店のつくりに興味がわき、
入ってみる事にした。
中には相席確実のテーブル席と座敷席がぽつぽつ。
メニューも独特で、漢字で表記されており、またその漢字では何の料理か分らない為、
たどたどしい、カタカナ等で読みが記されている。
欲張りな蚯蚓としては、肉絲麪(ヨウシメンすなわちラーメン)と
汁錦飯(ヨウギンパンことやきめし)を両方味見したいと思ったのだが、
周りの客はどちらか一方しか発注していない。
しかし、一念発起して、肉絲麪と汁錦飯の両方を発注。
まず肉絲麪が来た。
驚いたのは見た目が明らかにいわゆる「ラーメン」と異なり、
むしろ店屋物のカツ丼のようなどんぶりぎりぎりに麺が入ってきたことである。
早速、いただいてみると、麺もラーメンのようなコシはないが伸びがある、
食感だけでいうと、柔らかくゆでた乾麺の蕎麦に近い。
手で伸ばしてどんどん細くしていく中国の手打ちラーメンの麺の食感である。
スープはベーシックな醤油味で胡椒がきつい。
ただし、麺と総合するとなつかしくやさしい味になり、不思議なまとまりをみせる。

程なくしてやきめしが来た。
こちらも一見して具に乏しい印象をうけるが、
食べると非常に上手く出来ていることが分る。
具材の味とともに醤油の香りなどを米一粒一粒がきちんとまとっていて、
香りに包まれ、不思議と食が進む。

店の雰囲気は老舗の様相を呈しており、
食べたものも確かに最近の中華そば屋で出すものとは明らかに異なる。
これは屋台のラーメンの「昔ながら」を凌駕する「昔ながら」の味なのか?
果たしてどうなのか素人の蚯蚓には分らないが、
”東京のラーメン”のルーツを調べてみたくなるような店であった。
ラーメンのみの日記をのらりくらりと書いております、いかれたBabyと申しまする。
この店、おいしそうですね?何て名前の店ですか?
目黒の名店「かづ屋」「八雲」、浜田山「たんたん亭」あたりに近そうな職人肌を感じます。興味ぶかーい
このお店は確か「大勝軒」といった筈です。
もう一度確かめますが、ありふれたそういった名前なので、
問屋街のなかの散策で発見していただければと思います。
最近気付いた傾向としては「やきめし」という呼び方をすると、
ご飯に色が付いた印象の炒飯が出てくることです。
他の「やきめし」情報も気になるところです。