吾輩は蚯蚓である。夜を昼を様々な街に縦横無尽に出没するたくましい生き物である。
根っからの外食好き"蚯蚓"の食生態フードダイアリー。

2005年12月31日

特別編・イタリア 〜蚯蚓イタリアへ行く3

本日まずはホテルで軽く朝食を食す。
ナポリからの小旅行気分を愉しむため持参した
クレメンティーニ(種無しオレンジ)やホテルのサービスジュース、
ナッツ数粒ほどを2階のテラスからの景観が心地よかったためそこで頂いた。
クレメンティーニはオレンジにちかい小ぶりのみかんであるが、
果実風味が濃厚で、2個も食べると十分柑橘類を頂いた心地になれる
実に素朴で美味しい果物である。

朝食後、ホテルにクリスティアーナが車で迎えに来てくれ、
早速オリスターノの街中散策へ向かう。
ホテルは厳密にはオリスターノ郊外に位置しており、
刈り取りの終わった麦畑の広野を抜けて街中へ入る事になる。

ホテル朝食.gif

昨日分に記載していないが昨晩夕食の前にクリスティアーナ家を訪問しており、
その際、この島の食べ物の話をした。
有名どころは勿論ボッタルガ(buttariga)で、南部では鮪のボッタルガ、
北部では日本と同じボラのボッタルガを作るらしい。
(鮪のボッタルガは次回この島を訪れるときの課題となる。)
ボッタルガの作るところは見られないか相談したところ、
秋口に全て作業は終わってしまっているらしく次回はその時期に訪れ、
鮪、ボラなど一気に体験したいところである。

その他、名産というわけではないが、サボテンの実をサルディーニアでは食べる
やらヤマモモ(corbezzolo)も食べる、ということで、
それらを食した事の無かった蚯蚓はどうにかしてそれを食べられないか、
クリスティアーナに相談していたのである。

ヤマモモについてはクリスティアーナは市内近くの民家になる木を
見せてくれ、2〜3粒失敬して、頂いた。
渋みと木苺のかすかな風味、酸味、甘味はうっすらと粒の食感が楽しい
ヤマモモをその場で堪能。

ヤマモモのタ.gif

サボテンの実については街中への道中たまたま公園のような雑木林の
脇を通りかかった際、サボテンに季節外れの赤い実がなっているのが
わっと目に飛び込んできた。
すかさず、車を降り収穫。その場で味見したいところであったが、
後での楽しみとした。

サボテンのタ.gif

街中に出て、スーパーマーケットへ。
生鮮食品は日本と同様専門のブースで魚専門の職人が、
氷を敷き詰めたところに鮮魚を並べ、実に美味しそうである。
アンコウや海老、イカ、塩ダラなどこれまた魚も日本と酷似した魚を
彼らは食しており、刺身を売らないものの、
この店の雰囲気は断片的に日本を髣髴とさせる。

肉や野菜も内容は日本と異なるもののほとんど日本と同じであるが、
野菜も基本は量り売りで、消費者がビニールに入れて計測し、
値段とバーコードの記載されたラベルを袋に張る。
日本のほうがむしろその辺りは1個というくくりで済ましてしまうため、
アバウトといえよう。

本日は大晦日とあって、祭日前のスーパーは大混雑。
従ってレジには大変な行列ができていた。
しかし、ここはゆったりした生活を送る西洋人、いらつくことなく
列を作って待つ。
こういった行列を作ってまで待つことを
敬遠する人種なのかと思っていたが、飛行機のチェックインやら
美味しいお店に入るために待つといった時に、
諦めずに並んで待つ「しつこさ」は日本人とさほど変わりないようである。

石造りの街並みはミラノ、フィレンツェ、ナポリと同じである。
強いて違いを言えば、あまりナポリのような高い建物が無いということや、
ミラノやナポリの一角には日本でよく知られる有名ブランド店が
表参道や銀座の如くに林立しているがオリスターノにはそれがなく素朴で心地よい、
という程度で、基本に変わりは無い。

散策の極めつけはクリスティアーナの好きな日本のマンガショップへ
どうやらイタリアの南部のほうは日本のマンガがブームらしく、
マンガショップに限らす、駅の売店などイタリア語訳されたマンガを
高頻度でみかけた。
このようにして午前中の散歩は充実した街歩きを堪能した次第である。
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2005年12月30日

特別編・イタリア 〜蚯蚓イタリアへ行く2

旅の第2日目、ナポリの朝は夕べの雨が嘘であったかの如く、晴れ。
窓を見下ろすと、魚屋と野菜屋だけは朝っぱらから
店を開けていて、街が動き出し始めていることをぼんやりと眺めていると
いよいよカフェ(エスプレッソ)の香りが漂ってきて、朝食である。

DSCF0145.gif

フェンネルなどスーパーで購入したものであるが、
日本のセロリ程度の値段で手軽にいただけるとあって、
この旅で最もよく食べたハーブである。
日本では人参の葉ような細い葉の部分を香草として用いるのを
よく目にするが、イタリアでは茎の基部が、玉葱の如く
白く丸くふくらみ、食感はチコリーとセロリの中間の歯ざわり、
風味はフェンネル独特のアニスの香りがして実に美味しい根菜である。

モッツァレラチーズはスーパーで買うとそれなりで、
日本の店で買ったものと大差が無いが、
パンはナポリのどこでも粉の風味が感じられる素朴でありながら、
うまいものである。
この後鳥を丸ごと煮た旨味たっぷりのスープを頂き、
朝からしっかり食事を摂る。

食後に知人が、この家の住人の食べるナッツを勧めてくれた。
これが今回の旅で、初めて知る特筆すべき食の1つとなったのだが、
ナッツを”ナッツ割りバサミ”のようなもので割り、
時には干しイチジクと共に食べる。
中でも蚯蚓が気に入ったものはどんぐりの実で、
マカデミアナッツほどではないが脂肪分を含み、噛むほどに
よく漬かった醤油にんにくの風味のようななんとも独特の
美味しさを有する。
またさらに、これを干しイチジクに軽くはさみ頂くと、
今度はイチジクの甘味と風味とが混ざって、
プロシュートを食べているような感覚にさえ陥る。
干しイチジクも日本に入る大半の中国産のものより、
しっとりしていてイチゴのような風味があるため、
これを単体で頂くのもなかなか。

プレートにざっと敷き詰め、割バサミ等と一緒に置きかごの蓋がされて
食卓の脇に置かれており、日本のコタツの上のみかんの
ように口寂しい時や食後に頂くのであろう。

DSCF0146.gif

腹ごなしに近くを散歩をすると先ほど窓から見えた魚屋には
鰻が水槽で意気揚々と泳いでおり、これは一般家庭でどのように
食されるのだろうかと気になりながらもすぐに部屋へと戻り、
早速、サルディーニア島へ知人と出発した。

島へはナポリの空港から2時間弱で着く。
空港では知人の友人のマウラがサプライズで出迎えてくれ、
空港から北西に位置するオリスターノという街へ向かった。
途中、蚯蚓の顔ほどの大きさのサンドイッチを頂き、
たった数時間でアメリカに来てしまったのかと思ったが、
食べるとチーズはさほどでもないが、パンとハムがうまい。

DSCF0170.gif

知人の関係上、ここでも臨海実験所に立ち寄っえたのだが、
そこで、今回の旅で一番お世話になったクリスティアーナとも合流。
マウラとは1月1日の夜に食事でもしようということで別れ、
雨の降り始める夕方ごろに本日泊まる宿へと
クリスティアーナ、クリスティアーナの友人のアレッサンドラ、
知人、蚯蚓の4人で向かった。

夕食には早い時間ということでホテルで一休みし、現地時間の8時ごろ、
歩いていけるお勧めのリストランテへ食事をしに向かう。
エントランスは照明など実に温かみがあって居心地がよさそうである。
中に入ると、左手にブッフェ形式でアンチパストが並んでいる。

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アンチパストを盛り合わせにして、ワインを発注。
クリスティアーナやアレッサンドラは十分に酒を飲んでもよい
年頃なのだが、夜だろうと昼だろうと飲まないらしい。
ということで、知人と蚯蚓で一本を飲むことになる。

サルド特有のパンの原型とも言える薄いトルティーヤ風のパンを
ボッタルガ入りのパテをつけながら頂き、待つ。

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「このパテにはボッタルガが入っているから是非ためしてみて」
とか、「何人なのか?」など、ざっくばらんに店の人と会話する間に、
アンチパストが続々運ばれてきた。
さらに4人分盛られていて、それを好みで忙しく己の皿にめいめい取り分ける。

DSCF0179.gif

あめ色の銀杏のような見た目をしたチッポリーナ(CIPPOLLINA)は玉葱で、
玉葱特有のカラメル化した香ばしい旨味とマリネされた柔らかい酸味が
心地よく、カラメル化させたときの油分が程よく旨い。
ナスもまた然りで、旨味が苦味になる直前の火の入り具合と、
油分で旨味十分な美味しい一品。

サーモンや蛸はレモンでマリネされているのだが、
イタリアの皮の分厚い素朴なレモンは酸味より果実の風味が
強いのでその美味しさが品と化して、美味しくいただける。

ムール貝のグラタンはボッタルガがこれまた混ざっているので、
風味と旨味がしっかり来て、しっとりとして美味しいのだが、
どちらかというと冷えてしまっていて、常温で食べたかった一品。

そのほか、どの皿にもサルディーニア島の地場の素材が
入っていて楽しめた。

次に、パスタやメインをというときに、
昼に頂いたパンを悔やむほどに既に腹が満杯で、
マナー違反であるが、アンチパストのみでその他全てを飛ばして、
ドルチェへ。

チーズの入ったパイに蜂蜜をかけ、
サンブーカのようなものをかけたドルチェは、
表面の蜂蜜の風味と中に入ったレモンの風味が混ざって、
そこにチーズの塩気と伸びる乳脂肪分がパイ生地と
よくあっておいしい。

結局、深夜ホテルへ戻ることになったが、
サルド特有の食探しの旅の第一日目としては
かなり満足のいったものであったと思いつつ、床についた。
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2005年12月29日

特別編・イタリア 〜蚯蚓イタリアへ行く

本日より知人を訪ねにフランス経由で、
一路イタリア・ナポリへ渡航し候。

ナポリへは2年ぶり、2回目の訪問である。
現地29日午後、空港で数ヶ月間ナポリに滞在予定の知人と落ち合い、
早速市街へバスで向かう。

石造りが基本のヨーロッパの景色は異国情緒たっぷりで、
これだけでも日本のことなど忘れてしまえるほどである。

ことに天気に関しては山の天気の性質をもっているようで、
夕方ともなると、断続的にわか雨が石畳の地面を濡らし、
街の風景の匂いや音、景観に重要な役割を果たしているように感じる。

橙色の市街バスを乗り継ぎ、目的のバス停で降りると
定石どおり、早速の雨である。
不精で傘を持たない蚯蚓は帽子を被っていてこれ幸いと、
足早に海沿いの公園内にある臨界実験所へ向かい、
以前お世話になった方に軽く挨拶を済ませ、
早速知人と旅の疲れを癒す食事へと出掛けた。

さてどこに食事しに行くかという時に、
結局雨も降っていることだし、近場でお勧めの店を
先ほど軽く挨拶したイタリア人にたずねる事にした。
かなり場当たり的にみえるが、彼の実家はフォッジャ(FOGGIA)というイタリア東側の
街にあり、そこで以前彼の自慢のマンマ料理を頂いたところ、
普通のリストランテ顔負けの郷土料理を頂き、舌の信頼度は高いのである。

「美味しいピッツェリアを教えてくれ」という問いに対し、
彼は「Pizza Margehrita」という店が美味しいと紹介してくれた。
しかし、ナポリピザといえば、「マルゲリータ」。
その名前をそのまま店の名前にしてしまうのはあまりにも安易ではないか、
という疑念と「近場で」という妥協した自分への瞬時の判断の後悔が
渦巻きながらもいざ店へ。

店構えは石造りの建物も手伝って、実に良い雰囲気であり、
いささか不安が解消され、いざ店内へ。
お勧めのマルゲリータのDOCブッファラ
(モツァレラチーズが水牛のもの)と鰯のマリネとワインを発注。

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残りの不安は出された皿の香りと共に解消された。
ふんわりと焼かれた生地はもったりとして心地よいバジルの香りを放っている。
ナイフとフォークでピザ生地を切り分けいざ一口。
水牛のモツァレラチーズの旨味とさわやかなコーンのような香りを放つ
生地が食べるほどに口の中で混ざり合って、粉の甘味を感じる美味しい
”炭火の香り漂うもちパン”と化す。
ここにトマトの言うまでも無い美味しさが協同して率直な美味しさを
感じさせるピザであった。

DSCF0140.gif

気分良く食事を終え、一路、寝処へ。
今回は知人がお世話になっているイタリア人のお宅に、
さらに1匹ご厄介になるという次第で、ナポリの一般家庭で荷を解くこととなった。

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2005年12月11日

東京・幡ヶ谷(中華)〜薬膳中華の旨さたるや

本日夜に久しぶりの薬膳中華を頂きに幡ヶ谷へはせ参じ候。

ストップをかけるまで、お任せで小皿を出す
有名な薬膳中華料理屋である。
駅の地下飲食店街にあるこの店は、人気店のせいか、
店の外にまで机を出して客を入れる活気ある店である。

中に入ると広い厨房に腸詰やら脚だの何だのがぶら下がり、
ひげを少し蓄えた姿勢のよい紳士風の男性が鍋を振る。

飲み物のみを発注し、皿が出るのをしばし待つ。
一皿目は定番のユリの蕾の炒め物である。
インゲン豆のさやの部分の心地よい香りや
火を入れた野菜の甘い旨味がするユリの蕾が、
動物脂のふんわりとした香りに包まれて美味しい一品。

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イカとレモンの炒め物もレモンの皮のほろ苦い香りが
印象的なさっぱりといただける一品。

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鹿のハツとセロリ、葱の炒め物はオイスターのような
XO醤のような旨味と香りが心地よく、
食感良くいただける一品。

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海老団子の湯葉炒めもとろみのついた醤油風味が
湯葉によって柔らかみをもち、揚げた海老団子に
絡み付いて旨味十分でいただける一皿。

DSCF0025.gif
 
特筆すべき料理の最後は鹿肉の揚げ焼き。
ナッツの衣で揚げた鹿肉は水分が抜けぬまま、
ほっくりしつつ、外のナッツ系の香ばしさと食感で、
楽しくおいしく食べる事が出来る。
数切れはそのまま食べて、口が飽きてきたら、
手前の中華山椒と塩を軽くつけて食べるとまた食が進む。

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ついつい次に何が出てくるのかという期待感で、
もう一皿食べてみようとなってしまうが、
最後に食べるクロレラ麺の量が非常に多いので、
ここでストップ。
とはいってもこのクロレラ麺を待つ間に、
どんどん腹が膨れて出されたころには、どうにもならず、
軽く口をつけた後に頭を下げて、包んでもらうことにしている。

DSCF0027.gif

最近ジビエブームなどで鹿肉を食べることのできる店は増えたものの、
お任せとはいえ、薄味のものからだんだんしっかりした味へ
シフトさせるなど、見えない心遣いをしつつ、
鹿素材を中華料理として出すところはまだ少ないといって良い。
炒め物が比較的多いので、毎日という気持ちにはならないものの、
また頃合をみて、食材を堪能しに来たいと思った今日この頃である。
posted by 蚯蚓仙人 at 13:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 幡ヶ谷 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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