吾輩は蚯蚓である。夜を昼を様々な街に縦横無尽に出没するたくましい生き物である。
根っからの外食好き"蚯蚓"の食生態フードダイアリー。

2005年10月22日

東京・人形町(甘味)葛餅と書かぬ久寿餅とはこれ如何に

本日珍しく甘味処へ入り候。
甘味を普段食べない蚯蚓には見慣れない張り紙が、目を惹いた。
「久寿餅始まりました」とは、「くずもち」なのだろうか。

紙.gif

小腹も空いていたのと、店の扉の硝子の雰囲気が良かったことから、
入店することにした。
店には想像以上の客がいるのと、店の雰囲気が実に心地よいことに
はっとさせられる。
大きくて毎年張り替えているような白紙の障子で店横の大窓は目隠しされ、
机や椅子を見ても組んだもので、すり減った机の足には畳まれた紙が
がたつかないように差し込まれていて、何気ない心遣いが、垣間見れる。
火鉢の上の鉄瓶からは常にやんわりと湯気が立ち、
その湯で茶を出してくれるのも嬉しいところ。

周りの客は随分とあんみつを発注するので、気になったものの、
今回は「くずもち」と小声で、発注。どうやらくずもちでいいらしい。
暫くしてものが来た。
鮮やかな鶯色の粉で、きな粉のものより食指をそそる。
一口頂くと、よくあるものよりもほのかな酸味の滋味深さや
心地よい米ぬかのような香りがきてなかなか。

人形町 くずもち.gif

粉や蜜のどっしりとした甘味はやはり茶がないと蚯蚓にはしんどいところであるが、
この餅との相性はよいのが蚯蚓にも感じられる。
その名前の由縁が気になるところであったが、今回はあまりの店の居心地の良さに
途中で探求心も飛んで、ゆったりと過ごしてしまった。

人形町には色々な和菓子屋が数多くあるのだが、
店の外からもその牛皮の品良い香りが漂う「寿堂」が蚯蚓の中では
圧倒的な美味しさという印象があった。

しかしながら、甘酒横町にあるほうじ茶の店の甘味のパフェに乗っている最中の
旨さや今回の店の心地よさなど、さすが古くからある街というものを甘味から
感じずにはいられない。

不勉強であまり知識のない甘味の世界であるが、
次回この店を訪れる時は、気になる人気のあんみつを発注し、
久寿餅の名前の由来を確かめたいと思った今日この頃である。
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2005年10月15日

東京・人形町(うなぎ) 心地よく食える鰻とは

最近鰻重に魅了され気味の蚯蚓は好んで鰻重を食らうことが多い。
というのも、日本橋、人形町界隈に鰻屋が結構あるのだが、
それらはタレに店なりの工夫があったり、仕入れの鰻の性質が異なったりで、
一見すると同じに見えても、個性があり、それぞれに旨味があると
鴨南蕎麦の時のように感じたことから端を発している。

本日は人形町の比較的水天宮寄りの界隈で営む鰻屋で鰻重を頂き候。
藍色の長い暖簾は雰囲気があるが、それ以外の建物はなんとも簡素で
いささか味気がない。
しかし蚯蚓が街を徘徊中にその店から漂う香りが何とも良くて
時を見て入ったのが今日という次第である。

店は主人とちゃきちゃきっとした奥さんと若いのが一人。
早速、値頃なお重を発注。
はじめにお茶と漬け物が来た。

堅く水を切った白菜の漬け物は、相当の古漬けで旨味と酸味がひねていて心地よい。
お茶とでうっかり全て食べてしまいそうである。

そうこうすると鰻を一度タレにつけて芳ばしく焼き上げる香りが
店中を漂い始めて、そうすると奥さんがきも吸だの飯の支度を手際よくして
そこからはあっという間にお重が運ばれてくる。

人形町1丁目 鰻重.gif

早速一口。鰻重はこの一口目が普通の食事以上に心地よいのだが、
香ばしさ、程良い甘辛さ、ご飯の雰囲気のバランスがとても安心する味。
軽く山椒をふって、気持ち厚めの皮目の脂身が一層の旨味となって
どんどん頂ける。

タレを直接飯にかける店は多いのだが、ここは軽く飯にまぶすだけなので、
口が疲れにくく、また、古漬けやら、旨塩濃い肝吸いなどと平行して食べると
また一興で、最後までかっこめる。

この鰻重の魅力は素材の良さとか備長炭を使って焼くから旨いといった類とは
若干異なる印象を受ける。
勿論炭火で焼いているのだが、それよりもうなぎ専門店ならではの主人の腕がなせる、
バランスの良い鰻重で、食べ飽きない美味しさがあるように感じられる。
今後も色々な鰻屋を記事にしていきたい蚯蚓であるが、またここも時折
食べに行きたいと感じるこぢんまりとした飾らない店である。
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2005年10月13日

東京・六本木(居酒屋) 〜六本木のネオンに負けない赤提灯

本日夜に六本木で一杯引っ掛け候。

六本木のアマンドに程近い界隈に、一軒隠れ家風の一杯飲み屋がある。
赤提灯と下に書かれた看板の文字の書き様に惹かれ、
誘蛾灯に引き寄せられる蛾の如くに、笹の小道を進んで奥にある店へと
足が勝手に向かって行った次第である。

六本木 マ込みや入り口.gif

中は京成立石やら新宿の思いで横丁に劣らない枯れた飲み屋で、
とりあえず、酎ハイとモツ煮を発注。
程なくしてモツ煮が来た。
味噌仕立てといっても、甘辛い、どちらかというと七味より
黄色いからしの良く合う煮込みで、
一口食べると肩を張らずにほっとする心地に切り替わる。
塩らっきょうも大降りで辛くてなかなか。

六本木 モツマ.gif

本日は店の閉店時間に近いタイミングで来店したため発注しなかったが、
焼きものも炭火で焼いているようで、
非常に興味深いところである。
何より、六本木という街を笹の小道を通る間に忘れさせる
この店の造りに魅了された。
今度この店を訪れるときは、焼きものを目当てに来てみたいところである。
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2005年10月11日

東京・築地(カレー) 早朝のにぎわいこそ活力な場のカレー

本日早朝より人に連れられ築地に出向きカレーを頂き候。

築地市場は学生の時分から行った非常に思い出深い場所である。
ことに場内の早朝の場内のライトのまぶしさが赤提灯の様だったり、
ひき殺されそうな車と人の往来がなんとも祭りのようで、
行った後はなんだか緊張の糸が切れて心地よい疲れが襲ってくる。

ふらふらと場内まで行っては朝8時の終わりかけの鮪屋からトロを買うのが
蚯蚓の好きな行事なのだが、本日はこの場内にあるカレー屋が旨いという薦めで、
カレーのみを堪能しに来た次第である。

店へ入ると手際よく客を誘導する威勢の良いカウンター内の兄貴が案内をする。
気持ち早朝で働かない頭でメニューを見るも、結局薦めのカレーと
ハヤシのあいがけを発注。
程なくして皿が来た。

築地 あいがけ.gif

見た目良く高く盛られたキャベツはあいがけを発注すると付け合わせで
ついてくるもので、より一層皿の食指をそそる。
混ぜないで食べた方が良い、という気の利く兄貴のアドバイスもあって、
ハヤシから一口。ドミグラソースのコクと言うより素朴なトマトの旨味が心地よい。
口当たりは気持ちさらりとした印象もあるのだが、一口目がうまい。
カレーはターメリック感が昨晩飲んだ蚯蚓の体にじわりと効くような
印象を受けるが、これも一口目がうまい。

食べるほどに朝という食べ慣れない時間帯に己が飯を大量にかっ込んでいる心地が
出てきてしまい、いささか勿体ない気分もあるが、
その早朝から活気ある中で、気の利いた兄貴のてきぱき仕切る店で、
食らいつくカレーは活力そのものを食っているようである。

正直築地界隈は現在街おこしの関係もあってか、
休市場日も営む場外の寿司屋など出てきて、気持ち観光地化してきた雰囲気も否めない。
勿論ある程度一般人が出入りできるようになったからこそ、
蚯蚓もこのように場内のカレー屋で写真を撮ることが出来るのであるが、
本来この市場の食堂を常用する人々のところに、このように入って良いものか、
悩むところである。

東京に住む蚯蚓としては飲食を楽しむだけでなく、
生活の上でもこの築地市場界隈は必要であるという心持ちで、
平日早朝にできれば場内、もしくは場外で買い物をして、活気を貰って、
そのついでに腹が減れば、空いた店で飯を食らうという様な、
この場所の時間軸から逸脱せずに、
界隈風情を時折楽しませて貰いたいと感じた今日この頃である。
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2005年10月07日

東京・京成立石(鳥専門) 半身丸揚げの唐揚げの心地

本日夜に鳥専門店で一杯ひっかけ候。

この店商店街沿いには生肉屋の面もちで建っており、昼間通ると全くもって
その存在に気づかないのだが、夜の提灯に灯がともる時分になると、
その脇の入り口の障子から漏れる明かりで、
はたとここが飲み屋もやっていることに気づく、何とも風情のある店である。

畳敷きの小さな机の並ぶ店は、威勢の良いおかみさん数人で手際よく回しており、
店に入ろうものならすぐに、「こちらへ」と、案内される。

すぐ唐揚げの種類をきかれるが、それは鰻の如くに単に大きさの違いで、
小食な蚯蚓は、否、大食漢でない限りは皆小さい方を発注する。
その他好みで刺身など発注するが、
本日のんべいな連中4人で連れ立って、空腹で目移りするものの、
食後を経験したことのある連中なので、ともかく控えめで発注する。

手際よく皮目の煮込んだお通しが出て、ビールをあおっていると、
刺身やら漬け物がさっとでる。
そして、ビールを2〜3杯飲んだ頃いよいよ唐揚げが来た。

京成立石 鶏から揚げ.gif

ぷってりとしたもも肉のみならず、手羽先、首の骨などまで付いた
その唐揚げの姿はなんとも圧巻である。
いつも忘れてしまうこの鶏のばらし方をおかみさんに教わりながら、
もも肉、手羽、足先、首といった具合にばらして、
骨張っているところから熱い内にばりばりと頂く。

普通ではちょっと無理かと思う肋骨など、ざくざくとかみ砕いて、
おいしく頂ける。時に濃厚なレバーの風味も骨身から感じながら、
皮目に擦り込まれた塩気と鶏肉の旨味と部位を変えるたびに
ぐっときてはビールで口をなおして、また味わってはビールで休めてと
ここからは会話も減って夢中で食べるようになってくる。

お通しを少し残して付け合わせのキャベツの千切りにかけて食べると旨いのだが、
その頃になると、少し低めの机に前屈みでいる自分の姿勢をいったん正して、
更にもう一度、背筋をぐんと伸ばしたくなる程に満腹感が襲ってくる。
それとともに空腹でありついたビールがじんわり効いてきて、
腹一杯、ほろ眠さが襲ってきて、いよいよ帰ろうかという気持ちになる。

蚯蚓はこの店に来るときは、大抵この一軒で終わる。
それは食べた経験のある人にしか感じ得ない満腹感、満足感なので、
是非一度この心地よい感覚を試していただきたいところである。
飲んべえをとことん魅了する店の多い京成立石の中でも、
この街の飲み屋を知っていると言うには外せない有名な良店である。

この店の場所はこちら


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2005年10月05日

東京・六本木(蕎麦) 〜実直なおかめ蕎麦

本日夜に人に誘われて、六本木にて蕎麦を頂き候。

1階はいまどきのバー風の店が入っていて、
一見すると蕎麦屋などありそうに無い印象を受けたが、
連れられるままに、そのビルの階段を上るとその店の入り口が現れる。

中は想像以上に広く4人がけのテーブル席や座敷席などゆったり座れ、
客が少なかったせいもあるが、静かで良い。

メニューを見ると、とろろの蕎麦やら、
磯辺揚げがあり、なにやら山芋の旨そうな雰囲気が漂うので、
好物の玉子焼きと共に山芋のづけを発注。

ビールを引っ掛ける間に運ばれてきた。

六本木 しょうゆいも.gif

短冊状に切られた山芋は醤油の潮っけの香りが心地よい一品。
しゃくしゃくと噛み解くほどに、とろっともったりとした食感がきて、
日本酒でそのほどける食感を断ち切り、また一口。
ちびちびやるのにうってつけである。

三つ葉のおひたしやら、玉子焼きやら頂くうちに話も弾み、
そろそろ〆の蕎麦を発注しようということになった。

暖かい蕎麦もあり、毎度の鴨なんばんと思ったが、
季節物であることをきちんと守って、今は鳥なんばんのみとの事。
代わりに頂いたつまみの旨さから、おかめそばを発注。

つまみも酒もいよいよ切れる頃におかめが運ばれてきた。
椀に顔を寄せ、クンと香ると具と蕎麦の間に敷かれる海苔の香りが
出汁の醤油の香りと混ざって実にほっとする。
その心地に引っ張られて思わず汁を一すすりしてしまう。

六本木 おかめそば.gif

想像を裏切らない具の美味しさ。
かまぼこもほどよく出汁の水分を含み、温かさにより、
魚の身の香りも発って、むっちりした食感が来た後に
嫌味な塩気もなく蕎麦へ向かうことができる。

麺自身は半生のような食感で、
派手な香りの発つ類ではなく、地味ながらも全体のバランスの良い
きれいな一杯という印象。

新そば、鴨なんばんの始める季節を尋ねたところ、11月ごろとのこと。
またその頃に食べに行きたいという気持ちにさせる
六本木という街の雰囲気とは裏腹な背伸びをしない蕎麦屋であった。


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2005年10月03日

東京・千歳烏山(とんかつ) 〜衣も旨い肉厚とんかつ

本日夜にとんかつを食らいに出向き候。

この店、蚯蚓は幼少の頃から馴染みのあるとんかつやである。
久しぶりに訪ねたところ、店のつくりが変わっていて、
昔はテーブル席があったのだが、カウンターのみになっており、
一瞬店主が変わったのかと不安にかられた。

味を確かめようと盛り合わせを発注。
発注してから肉の下処理をして衣をつけて揚げるのも全て見られ、
さらに不安は募る。
というのも、昔は調理場が見えない造りをしていて、
皿が出てくるまでに時間がかかっていつも謎に包まれていたのだが、
その理由が今正に目の前で解き明かされており、
食い入るように眺めてしまった。 

そうこうするうちに、白飯がよそられ、汁物が出され、
いよいよ盛り合わせが来た。

千歳烏山 かつ盛り合わせ.gif

ひれかつはまん丸としたみずみずしい肉厚なもので、
がぶりと食べると、さくっとしっかりした衣に卵の風味が見え隠れする。
ここに肉の旨味がふんわり押し寄せて、この一口で、
カツ丼の卵とカツに出汁ではなく肉汁が薄くかかったものを
ほおばったような感覚に陥る。

エビフライも海老の香りと旨味が引立つおいしい一品で、
コロッケも独特のタネの味わいをしていておもしろい。

主人は一言二言しか話を交わしただけでは蚯蚓と同様の天邪鬼に感じるが、
よくよく話すと非常に実直でいて、おもしろい。
聞けば独学でこの店のとんかつにたどり着いているらしい。

結局店のつくりが変わっただけで、料理人は変わっていないこともわかり、
ほっとした上、また食べたくなるとんかつを
己の記憶の引き出しの中から久しぶりに堀り起こせて非常にうれしい限りである。
今度来るときは肉の旨さを堪能するために、とんかつを発注したいところである。

この店の場所はこちら
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2005年10月01日

東京・六本木(蕎麦) 〜うむどんとはこれ如何に

本日六本木ヒルズにて夕食を頂き候。

蚯蚓の知人が懇意にしている蕎麦やへ本日出向いた次第である。
本店は柏にあり、現在は箱根に支店がある。
もう昔に閉店してしまったが、かつては恵比寿にも支店があった
静かな有名店である。
数寄屋橋次郎の支店もあるこのゾーンの店は、
巷で一世を風靡した旨い店ということで、意地悪く言うと、
六本木ヒルズの話題の一つとして、半ば強引に出店を強いられた一画と
言っても過言ではない。
とはいえ、蚯蚓は運良くこのヒルズへの出店前に、人に連れられて、
神田のパイ屋、茅場町のてんぷら屋などオリジナルの店を訪ねており、
非常に親近感の沸く一画とも言える。

今回は、蕎麦屋といいつつうどんが美味しいという、
この店に馴染みのある知人の勧めで出向いた次第である。

店へ行くとビールで軽く喉を潤しつつ、豆腐の味噌漬け、
あら挽きのそばがき等、つまみを知人のお任せで発注。
酒と共に皿が次々と来た。

豆腐は麹に漬けたものや粕に漬けたものなど、舌触り、風味が異なる
酒のあてに最適の一品。

六本木 とうふつきだし.gif

特筆すべきはあら挽きのそばがきで、ぷっくりふわっとしつつ、
とろっとしたそばがきは、甘味と蕎麦の風味のしっかりした
味わいがあるにもかかわらず、
粉末まで挽かないお陰で噛むほどに旨さが更に一味一味でてくる感覚に
襲われ、かける出汁つゆの旨さも手伝って、
さらりと食べてしまう不思議な旨さである。

ぶぶあられの如く、蕎麦の実の散らしてある卵のスフレは、
洋風の茶碗蒸しの食感が心地よい風味豊かなグラタン風の一皿。

六本木 スフレ.gif

その他、にしんやもずく、海老、山菜など、どれも主人のこだわりで
集められたちょっと素朴でいながら凝った個性的な肴がおもしろい。

六本木 もりあわせ.gif

目当てのうむどんは納豆も入った豪快な冷たいうどんなのだが、
納豆が豆の旨味が程よく臭すぎず、むしろ一緒に入った削り節が薫り高く、
葱も辛臭いというよりは、青い葱の香りが前に出る良いもので、
ひとつひとつは癖もあって、家庭ですると、
どこか強くひきたってしまうところが、玄人の仕事と云わんばかりに
一つの旨味と化す的確なバランスで出されている。

六本木 うむどん.gif

従って、良くかき混ぜてずるりとすすると、先述の薬味たちが
よくある稲庭うどんより細くて角ばったコシの強い麺と一丸となって、
喉越し良くいただける「うむどん」と化す。
ここからは一気にすすって噛んでの繰り返しで、
あっという間に食べ終えてしまう。後を引く旨さである。

この店の良さは肴などの個性的な加減もさることながら、
器やテーブル、内装も独特でいながら手づくりのぬくもりや技を感じる
個性的なもので、そういった器に盛られて出てくる皿の楽しさも
味わえるところである。

六本木 とっくり.gif

正直、肴のフルコースの割にうむどんのために酒を控えてしまい、
ちょっと肴に申し訳ない心地になってしまったが、
いろんな食器や内装が折衷で個性的でいながら調和が取れている点で、
蚯蚓は料理が運ばれてくる間にも楽しい心地になる。

今度は柏や箱根でも一杯引っ掛けたい心地にさせる、
一軒一軒が個性的で不思議な蕎麦屋である。



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