珍しく記事にした次第である。
この店、大きなガラス張りで木漏れ日の差し込む感じの良い広い店内の割に、
あまり客入りがよろしくない様子で、逆にそれが一休みには居心地が良いだろうと思って
入店した次第である。
サービスマンというよりは、サーファーやホストを何故か連想してしまう、
食品を扱うという類の仕事の割には長髪のサービスマンがメニューを持ってきた。
メニューはダージリンとフレーバーティーで大別されており、
ダージリンのみで5種類以上あるあたりは、専門店の雰囲気なのだが、
「青い瞳の〜」など、メニューの名前のつけ方が、軟派な印象で、
いささか不安に駆られた。
とはいえ、メニューとともに出された水は口あたりの丸い印象の美味しい水で、
期待と不安と共に比較的良いクラスのダージリンを発注。
程なくして紅茶が来た。
「砂糖、ミルク等は紅茶の香りをたのしんででいただく為にお付けしません」
といった旨の通り、足して入れるものは一切なく、ポットには既に茶葉のない状態で、
運ばれてきた。
早速ティーカップに注ぎ、一口頂くと、茶葉のよく舌に残る渋みがなく、
ふんわりとティーカップから溢れる香りが心地よく、飲むとまろみのある
実にふくよかな広がる風味で、喉に甘味のような旨さが残る。
この美味しさがはじめだけでなく、始終続く実に美味しい紅茶である。

これで辺りに人気もなくのんびりと紅茶を頂けるとあって、
1ポット1000円という値段以上の心地よいひと時を過ごすことが出来た。
そのサーファー様のサービスマンに尋ねると、鎌倉の紅茶の店の茶葉を取り寄せて、
出しているとのこと。
しかもそのサービスマン曰く、ここで飲むより全然美味しいというのだから、
なんとも興味が湧いて仕方がない。
「ここで飲むより美味しい」と言い切るサービスマンのサービスは、
あまりに商売っ気に欠けた正直な答えで、いささか気になったが、
その真意を確かめに鎌倉に足を運びたくなった徘徊時の収穫であった。