今宵は一杯ひっかけるというより、食事がしたい感覚だったので、
土橋のガードを銀座方向へくぐり線路沿いの界隈へと歩いた。
線路下の店も気になるところを押さえて、辺りを散策すると、
オステリアとありながら、牡蛎をメインに出す店で、
ワインだけでなく日本酒や焼酎も揃える異質な店が目にとまった。
店の外に漂うにんにくの香りに誘われて、早速入店。
確かにオステリア風のカウンターはあるが、洒落たオイスターバーと言うより、
家庭的なイタリア料理店に近い造り。
しかし、メニューは和、伊、洋食めいたものが混在しており、発注に悩む。
とりあえず、牡蛎を堪能しようと、4種の牡蛎の盛り合わせを発注。
早速4種がきた。
3倍体の牡蛎は大ぶりでベーシックでいながら、塩気がきて美味しい。
成長過程の牡蛎は比較的旨味の強い脂肪分がわずかにくるミルキーな味わい。

特筆すべきは牡蛎の塩辛で、ウズラの卵黄と和えて頂くと、
酒盗のような発酵した旨味と、牡蛎独特のミルキーな風味が混ざり合って、
最高の日本酒のあてになる。

また牡蛎とリンゴのグラタンは2段論法的に組み合わせたような不思議な料理で、
リンゴの香りと、ホワイトソースが合うのは分かる。
また、ホワイトソースと牡蛎が合うのも容易に分かる。
従って、3者をあわせると美味しいのではということのようで、
林檎を半分に切って実をくりぬいた皮の器で牡蛎のグラタンを作ってあるのだが、
牡蛎のグラタンに林檎の香りの乗ったところを塩梅良く口に含むと実に美味しい。
しかし、バランスが崩れると難解な味わいになったりと、食べていて面白い感覚になる。

牡蛎のフライなどベーシックなパン粉で揚げた、家庭的な美味しさを提供する皿や、
牡蛎以外にも魚の刺身や煮付けなど品数が実に豊富である。
洒落たオイスターバーとも雰囲気が異なり、蚯蚓としては親近感の湧く店で、
今度はまた異なるメニューの組み合わせで牡蛎を堪能したいと感じた店である。
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