吾輩は蚯蚓である。夜を昼を様々な街に縦横無尽に出没するたくましい生き物である。
根っからの外食好き"蚯蚓"の食生態フードダイアリー。

2005年05月30日

浅草橋(ジャージャー麺) 〜ジャージャー麺専門店?

本日浅草橋界隈を徘徊中にジャージャー麺専門店思しき店を発見候。

小ぢんまりしたサッシ扉の入り口の一見すると、
中華ラーメン屋のような入り口の店であるが、「ジャージャー麺」と
ガラスに銘打ってあり、興味をそそられ入店す。

浅草橋 ジャージャー店前.gif

メニューも「チャーシュー入りジャージャー麺」といった
容易に想像できるものから「とうふジャージャー麺」といった想像の余地のあるものまで、
数種類あったが、初めてということもあってベーシックなものを早速発注。

掃除好きな主婦といった感じのおばさんが、一人できりもりしているようで、
発注後、早速準備にとりかかる。
麺は生麺を沸騰した鍋に放って、沸騰しても持ち上がらないような
木製の重そうな落し蓋をしてじっくり茹で上げる。

麺が茹で上がると大きなざるにわっとあけて、一気に冷やす。
それを豪快に素手で麺を高く盛り付けるのだが、麺が非常に多かったので、
半分にしてもらうよう声をかけ、再び調理に戻ると、
これまた豪快に麺と同量の胡瓜ともやしを一掴み同様に盛って、
コーンをふりかけ、仕上げに作り置きの自家製ジャージャー麺のタレを脇にたらす。

「お酢をたっぷりかけて召し上がってください。」という一言と共に皿が出された。

浅草橋 ジャージャー麺.gif

酢をかける前にタレのかかった麺のところを一口。
ジャージャー麺のタレというと甜面醤やとうち味噌の黒っぽいものを想像していたが、
この店のタレは茶色系で、味わうと信州系の味噌ベースに豆板醤、
砂糖のような甘みと肉の旨みが感じられるのだが、
これがつややかでコシのしっかりした麺とともに頂くとなかなかうまい。

酢をふんだんにかけて味噌ダレを伸ばして、もやしなども混ぜてたべると、
味噌ダレが風味と化してコシのある太麺との相性がいっそう良く、
これに胡瓜やもやしのパリっとした食感が加わって、勢いよく頂ける。

高級中華料理店のような凝った味付けや旨味で食べさせるジャージャー麺とは異なるが、
タレの塩梅や食感等、基本的なことの積み重ねの出来の良さがしみじみと感じられる
皿であった。
posted by 蚯蚓仙人 at 19:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 浅草橋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月28日

両国(蕎麦) 〜つゆの香りと日々の蕎麦

本日知人と両国に蕎麦を食らいに出向き候。

江戸東京博物館からのびる北斎通りを少し歩いて右に曲がったところに
隠れ家の如く、その店はある。

中に入ると大きなテーブル席が点在し、相席を覚悟しつつ席に着く。
メニューを貰い、水ナス、穴子天、蕎麦豆腐、焼き味噌、日本酒を発注。

程なくして酒と肴が出された。
焼き味噌はよくあるしゃもじに乗っかったものとは異なり、
青い陶器様の石の上に品良く盛られて表面が香ばしく焼かれている。
箸で引っ掛けてちょっと頂くと、かりっとした蕎麦の実の食感と、
香ばしい葱や西京甘味噌の風味がきてなかなか。
穴子天はぷっくりとして小骨の香ばしさが烏山の店ほどではないが、
塩で食べる折に感じられてうまい。

両国 やきみそ.gif

美しく盛られた水ナスは特に漬けることなくパウダー状になった岩塩をつけていただく。
水ナス特有のほっくりしたみずみずしい食感とさわやかなナスの風味が
はむっとほおばる度に感じられ、他の肴の口安めになかなか良い。

両国 水ナス.gif

肝心の〆の蕎麦は一見すると、田舎蕎麦のような黒灰色の太目の麺である。
山葵で頂くと、田舎と更科の中間の感じで、田舎蕎麦にあるハッカのような爽やかさを
抜いた味わい。
内側が金色に塗られた薄目の漆器で塩気の優しい、
だけどもしっかりと鰹の香りの起つあめ色のつゆを入れて頂く。
つゆの旨味というよりは出汁の香りでもったりした太目の麺を頂くことになるのだが、
互いが協調して一つの味になるというよりは、互いが強調しあって
一種独特の感覚に陥りながら始終頂く。

両国 蕎麦.gif

最近、出汁の香りがしっかりくる塩辛いつゆに、
その出汁の香りに引っぱられる形で、細めの麺をするすると頂く蕎麦屋が
多いような印象をうける。
はじめは蚯蚓もこの類の蕎麦は好印象であったが、
日々頂くうちに、なんともその香りに飽きが生じてきて、
蕎麦屋へ足を運ぶ頻度が少なくなってしまったように思える。
日々食べるとなると、あくまで私見だが、先日記事にした浜町の蕎麦屋ようなところが
飽きが来ずにいただけそうである。

今回訪れた店は流行りの蕎麦とも麺の点では一線を画しているが、
つゆの雰囲気がその類であるため、またそのような鰹出汁の香りの蕎麦が恋しくなった折に
足を運びたい店であると感じた。

地図はこちら
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2005年05月26日

下北沢(担々麺) 〜重厚感ある担々麺 

本日店の中休み頃に遅い昼食を頂き候。
たまたま、下北沢で手早く昼を済ませたいと思っていたところ、この店に遭遇。
どっちの料理ショーでも取り上げられたなどをウリにしているので、
大はずれはないだろうと信じて入ってみることにした。

店は独特のクミンシードのようなエスニックな香りが漂っており、
カウンター席がメインにならぶ一種独特の印象を受ける。
色々な具材を変えて種類を違えた担々麺などもあったが、
ベーシックなものを食券購入により発注。
程なくして皿が来た。

下北沢 たんたんめん.gif

スープは紹興酒のような泡盛のような酒の香りに気を緩める間に
通常の胡麻の香りが効いた味わいに襲われ、
この担々麺の奥に潜む味わいの豊かさを予感させる。
肉味噌は上に載っているテンメンジャンで味付けされた肉味噌と、
既にスープに潜んでいる胡麻、松の実の混ざったコクのあるほっとする味わいと
何か分からないエスニック風の爽やかな香りのする肉味噌の2種あるような
重厚感あるもので、固めの細ちぢれ麺にこれらが良くからんできて深い味わいを出す。
気持ち山椒のような香りもするが重厚感ある味わいにそれも見いだせない風味となって、
頂ける。

このところ、担々麺の経験を増やすべく色々な店で試していたにもかかわらず、
個性に乏しく胡麻と辛みのラー油の濃厚な旨味に依存した怠慢な担々麺に
遭遇することが多かったように感じている。
そのようなこともあって、久しぶりのこだわった担々麺を頂けて心地よい気持ちになった。

担々麺は若いとは言いがたい蚯蚓にとっては日々足で稼いで深堀するには
いささか重たい食べ物であるため、担々麺を特集していた雑誌(バックナンバー)など
取り寄せて、今後は深めていきたいと弱気になる今日この頃であった。
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2005年05月24日

新橋(魚料理) 〜本能でかぎ分けて店を探す

本日夜に久し振りに新橋を訪れ候。
一杯引っ掛けようという恩師の友人の誘いで足を運んだ次第である。

星の数ほどまたたく赤提灯の町、新橋は蚯蚓も時間をかけて
良い店を見つけたいと常々思っている街である。

駅下の居酒屋密集地で数件はしごをすることが多い蚯蚓であるが、
待ち合わせ場所が第一ホテル東京であったこともあり、
新橋一丁目界隈の地上で店を探すことにした。

焼き鳥は判別に時間がかかるため、魚系に絞って店先のメニューを見たり、
メニューがなければ店を軽く覗いて客の食べる皿や飲んでいる酒、
時にはおやじの人相を頼りに店を選出。
やっとの事でカウンター席10席にも満たない小さな店の端っこにすわり、引っ掛け始めた。

ビールはサッポロかエビスの瓶をセルフサービスでとる。
どちらでもと思って、知らない常連客の背中にある冷蔵庫から申し訳なさそうに、
早速一本引っ張り出して開栓。
見慣れた肉厚で小ぶりのビールグラスをカチンとぶつけて半分ほど飲み干す。

店はメニューがなくお任せで出てくるとのこと。
お通しの後はメゴチの天婦羅なのだが、メゴチをいかにも築地から買ってきましたと
云わんばかりの厚手のビニールに入った茶色の紙袋の中から、魚を取り出し、
研いで刃の小さくなった出刃で手際よく裁いて店先に面した揚場で揚げる。

新橋 メゴチ.gif

背骨もせんべいとして揚げて出してくれるのだが、
塩とGABANの胡椒を振ったシンプルな味つけで、むしろそれが良い雰囲気でうまい。
肉厚のさくっとしたフリット状に揚げられたメゴチは、
その魚の持つしっかりした旨味が感じられ、
さくっとしつつ、ぷりっとした食感を楽しみつつビールのなくなる頃に、
一皿食べ終わるペースで頂ける。

腹の落ち着いたところで、次は様々な刺身。
こちらも親父が手際よく鰯等々をこれまた出刃でさばいててんこ盛りにして出す。
魚臭みを感じさせない配慮か、魚だけだと二日酔いし易い事を見越してか、
鰯はおろしにんにくと紫蘇を一緒に叩いたものと一緒に食べることを薦められる。
しかしにんにくの薬味を使わずともわさびで充分においしいのだが、
イカ、イカの子、カツオ、縞海老などどれもうまい。

新橋 刺身.gif

〆は刺身の3枚おろしの残りの身がついた骨でしっかりと出汁をとり、
濃い目の塩、たっぷりの葱、鰯を中心とした雑魚と片栗粉で固めた魚団子が
入ったスープが出される。
刺身で熱燗を堪能しきったこの頃にふさわしい、旨味も塩気もしっかりした
〆ですっきりと終えられる。

新橋 スープ.gif

さすが競争の激しい新橋ということもあって、のん兵衛のツボを心得た、
無駄のないひと時をリーズナブルに提供してくれた。
それにしてもこの店の親父は蚯蚓が「蚯蚓が行く」の話をしたときに、
とっさに徳冨蘆花の「みみずのたはごと」を出すなど中々の知識人で、
話に全く飽きが来ない。
旨い酒に旨い肴、親父の面白い話と3拍子揃ったまた行きたい心地よい店であった。
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2005年05月22日

長谷(イタリアン) 〜鎌倉の隠れ家

本日知人にいざなわれ、鎌倉のイタリアレストランを訪問す。
鎌倉駅周辺の観光もほどほどに、一路江ノ電の長谷駅へ。

長谷駅は観光地という立地のせいか、魚屋と兼ねた蒲鉾の美味しそうな店や、
有名人のよく訪れるシナモンの香りが決め手のコロッケ屋など、
老舗の門構えの古風な店や、はたまた江ノ島周辺の海沿いの雰囲気漂う個性的な店など
バラエティーに富んだ店が点在し、独特の街並みを構成している。

目当てのリストランテはこのコロッケ屋の手前の路地を入り、
小京都の雰囲気を感じつつ暫く歩いた途中の民家の中にある。
庭の広い心地よいこのリストランテは、古い民家の改装を行って作られているため、
日本の民家の「造り」を残しつつ、テーブル席や装備は洋風で品良く現代風にまとめた
内装となっている。

豊富なメニューに目移りしながらも、シェフのお奨めを頼りにカルトで発注。

スプマンテと塩気が心地よいフォカッチャで長めの電車路の疲れを癒す間に、
早速一皿目のラルドとヒシコイワシのカナッペが来た。
程よくパンの熱でほどける食感になったオイル付けになった良質のラルドが
味の奥深さを出す役割をきっちり果たしながら、
香りのしっかりしたオリーブオイルと新鮮な鰯のほろ苦魚旨さと共に一体となって、
実にスプマンテやワインと合う。

長谷 ラルド.gif

魚介のフリットも衣が軽く、例えばイカでも普通のフリットのような重みがなく、
噛むほどに風味と旨味があって今まで食べてきた軽めのフリットとも異なる
料理のように感じる。また一緒に揚げられたセージの香りも相まって
その他の白身の魚も飽くことなく心地よく頂ける。

長谷 フリット.gif

次にグリンピースとスミイカの皿。
新鮮な豆類特有のフレッシュな甘い香りと旨味が凝縮されたグリンピースは
イカ墨とトマトのこれまた新鮮な青酸っぱい香りに包まれて、口にほおばるほどに
イカの旨味に加えて、全ての香りが形容しがたい美味しさと化して襲ってくる。

長谷 グリンピース.gif

その後の自家製の甘酸っぱい杏のようにも感じるドライトマトを使った
手打ちのパスタやメインの花鯛を新じゃがを焼いたもの等、
どの皿もスキのない南イタリアを思い出させる、
風味のしっかりとした美味しいものであった。

夕方入店した頃は写真を撮るのも一向に構わない静かな貸切状態であったが、
パスタの出る頃には女性客や若いカップルで全席が始終埋まる
人気リストランテと化していた。

美味しい料理と心地よいサービス、ワインにより結局、約5時間にも亘る
スローなディナーを堪能した。
ここは日本ではあるものの、南イタリアの滞在を髣髴とさせる
贅沢な時間の使い方をしに、またこの店を訪れたいと思う。
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2005年05月20日

東日本橋(中華)〜松の実の香ばしい担々麺

本日も美味しい担々麺を求めて、中華料理店に入り候。

東日本橋駅の馬喰横山寄りの階段を上るとすぐの中華料理屋である。
人形町界隈では今ひとつぴんと来る店が見つけられず、
げんなり気味の蚯蚓も今度こそと思って、店のお奨めの塩ラーメンのかわりに、
担々麺を発注。程なくして麺が来た。

よく見かけるものより一回りぷっくりとした松の実はこんがりと良い色に
空炒りされて、香ばしい香りを放っている。
早速一口頂くと白葱の香りがほんわりときつつ、胡麻の香り。
麺を噛むと松の実の香りがしっかりときて、さらにその実の甘味と麺の甘味が
一層強く感じてなかなか美味しい。

スープが魚出汁っぽさも若干あるせいなのか、
ベーシックな担々麺とは辛味の中の味わいが少々異なり、そこに良質の松の実の
香ばしい香りと甘味が来てストレートな細麺が非常に進む。
小松菜も冬の濃い緑の味がぐっときてこれも麺の味わいのよさに一花添える。

肉はあまりいじらず炒めたベーシックなものであるが、
胡麻はもちろんのこと、松の実や葱等の香りがしっかり起ってきて
始終飽きることなく心地よく頂ける。

一見すると比較的普通の中華料理屋で料理は少々塩の強い傾向があるのだが、
担々麺に関しては独自の香りのバランスが心地よい一品であった。
半ば諦め気味の蚯蚓であったが、もうしばらく根気良く担々麺の経験をつもうと感じた
今日この頃であった。

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2005年05月18日

浜町(蕎麦) 〜蕎麦の心地は秋の空

本日昼に蕎麦を頂く。
浜町駅から明治座を横目に甘酒横町へ向かう道の途中にあるビル風の建物に
間口の狭いそば屋の入り口がひっそりとある。

人形町で蚯蚓が足を運ぶ寿司屋の主人に勧められ、
どこかで聞き覚えのあるその店の名はともかくとして店に入り蕎麦をいただくことにした。

早速せいろそばを発注。程なくして、蕎麦が来た。
ちょこに鼻を近づけ、つゆの香りを嗅ぐにもとりたてて何があるわけでもなく、
疑心暗鬼に駆られながら特徴の細めの更科をわさびと共にひとすすり。
不安は一瞬にして「蕎麦の香りがこんなにたつのか?」という疑問と化す。

人形町 そば.gif

以前記事にした阿佐ヶ谷の店のように内装をきれいにした、
最近のそば屋は、わさびとは一緒に頂きたいが、
葱の方が勝って蕎麦が立たなくなるため最後のそば湯で葱は頂くことが多い。
またつゆも鰹出汁ががっちりきて、香り高いけれども塩っこいつゆのものが多い気がする。

この店はそういった傾向とは異なっていて、つゆはさほど単体での香りは立たないが、
蕎麦と共に口に含むと蕎麦の香りを立てつつ己を主張し、
葱と共に頂いても蕎麦の風味は一層変化してなお一層おいしくなる。

例によって量的に少ない蕎麦であったが、地味でありながら、
さらりと旨い蕎麦で、最近の派手なうまさを放つものとは一線を画すものである。
しかしどちらが良くてどちらが悪いということもないのだが、
蕎麦を食べたいと一口に言っても
その時その時で自分に合った蕎麦を頂く見極めは大切なのだと感じさせられた。

それはさておき、そこはかとない風味を持つこの蕎麦であれば
暖かいものも頂きたいところである。
鴨なんばんが短冊で店に張られているので、
次回はこの暖かいものを頂きたいと思った次第である。
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2005年05月16日

鷺沼(パン) 〜豊かな香りに誘われて

本日知人宅を尋ねるべく鷺沼で落ち合い、昼食を頂ける店を探すべく街をさまよい歩き候。
駅前ロータリーを見回す限りでは大型チェーンやファーストフードの占拠率が高い
蚯蚓のあまり好まない雰囲気が漂う街である。

そのためしばし時間をかけて駅前からすこし離れたブロックを散策。
半ば諦めかけた頃、バスの通るような大通りに面した一郭に
フランス国旗のひるがえる店を遠目で発見。
フランス料理の店だと思って近づくと、そこはパンの芳ばしい香りよろしくの
正真正銘のパンの店であった。

2階で食事が出来るとあって、下手な店より香りが既に美味しさを物語るこのパン屋での
食事のほうが充実したひとときになるであろうと瞬時に判断し、2階へ足を運んだ。

広々とした喫茶店風の2階席は家族連れが目立つ。
友人と共に昼のランチコースを発注。
もちろん、メニューは色々なパンを簡単に調理したものがメインで、
サラダかスープを選択。

蚯蚓はここの店の自慢の天然酵母パンのサンドイッチを発注。
おそらく職人でもあろう白ずくめの服を着た若い女性のスタッフが、
あまり慣れない雰囲気で接客やら給仕をこなす。しばらくしてサラダが来た。

鷺沼 サラダ.gif

スパイスの入ったハムにサイコロ状に刻まれたチーズ、ハーブなど凝ったものはなく
レタス、キュウリ、ニンジン、そこにフレンチドレッシングがかかり、
ハムの風味を除いて、実に家庭的な味。
続いてハムとチーズのサンドイッチが来た。

鷺沼 サンドイッチ.gif

はじっこを食べると、パンの表面の皮目部分が焦げる前の水分が飛んだかりかりの状態で、
チーズをパン生地に練り込んだわけでもないのだが、
薄いチーズをオーブンでカリカリに焼いたときのような芳ばしさが非常に心地よい。

また、さらに具のある方へ食べ進むと、ハムから出た肉の旨味とローリエの香り、
暖まったときに出たチーズの油分、これらがパンに程良く浸みて、
これにパンのライ麦のような穀物が持つ独特の酸味と一帯となって、
豊かな心地になる味わいと化す。
これをミントのような爽やかさを味わいのなかに持つ黒オリーブの付け合わせで
口直しをしながら頂くと結構なボリュームであるが美味しく頂ける。

このセットには最後にデザートが付くので合わせて紅茶を発注したのだが、
このデザートのカスタードが甘くなく頂けて、なかなか良い。
頂いたものといえば、サラダ、サンドイッチ、デザートといった軽食めいたものであるが、
その内容は素朴ながらも、優雅なひとときを過ごすことの出来るものであった。

鷺沼 サラダ.gif

食後に下の階でバケットを買って気づいたのだが、
どうやら下の階で購入したパンを上で頂くこともできるようである。
今度この店に来るときは、下の階でかった様々なパンを2階でコーヒーでも頂きながら、
食べ比べてみたいところである。
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2005年05月14日

東日本橋 (中華) 〜担々麺の違い

本日昼に、知人からなかなか美味しいという話を聞いて東日本橋と
浅草橋の中間に位置する創作中華料理屋に担々麺を食しに出向き候。

長期休暇中、山口県でしっかりとした食事をしている反動か、
妙に麺類を食べたくなる今日この頃である。
浅草橋の交差点の両国側にこの店はあり、1階は甘味や惣菜の持ち帰り、
2階は食事をする広いスペースがある。

店に入り早速担々麺を発注、本日は昼の日替わり定食が担々麺ということもあり、
スピーディな上に小炒飯や杏仁豆腐が付いてきた。

東日本橋 担々麺.gif

この店の担々麺は上に飾り程度にひき肉をのせて、
お茶を濁すよくある担々麺とは異なり、
ふんだんにひき肉を用いており、その旨味がスープのベースに
通常以上に重要な役割を果たしているのが特徴の一つのように感じる。

またその肉にあらかじめ胡麻の風味が練りこまれているかのようで、
芝麻醤のような胡麻ダレをスープそのものに溶かし込んで表面が黄土色になるタイプの
オーソドックスなものとは一線を画している。
さらにこれにとろみが付いており、ひき肉や上述のスープがふんだんに細麺に絡みつき、
一種独特の味を呈する。
辛味は胡麻油で作ったラー油のような香り高い赤い表層部分以外に、
粗く刻んだ唐辛子が入っていて、これもとろみの付いたスープによって、
細麺に絡まる為、これを口に含むとストレートな辛味に襲われるのだが、
その辛味のせいもあって細麺の甘味が噛むほどにじわりと出てきて、
辛くてしんどいながらもその間に垣間見る甘味や旨味が際立って、
これがやみつきになるポイントとなる。

従って〆の杏仁豆腐は甘味が相当強く感じてしまうのだが、舌休めにはうってつけで、
それと惜しみなく飲めるお茶で舌を癒して食後を迎える事ができる。

担々麺もラーメンの如く店の個性を反映させる一品である事を改めて感じさせられた。
最近麺類を欲する蚯蚓としては、しばらく他店の担々麺も追いかけたいところである。


このお店の場所
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2005年05月12日

下北沢(中華) 〜待望の海鮮冷し

本日夜に下北沢へはせ参じ候。

以前記事にしたふかひれラーメンのお店から義理堅く連絡があり、
時間を見つけ、期待を胸にそのためだけに下北沢に参上した次第である。

店に入り席に着くと同時に冷しを発注。
冷し開始の連絡をくれたサービスマンの方が、気を利かせて
山椒の風味の効いた大根の漬物の小鉢やらを出してくれたが、
ともかくあの味を一口目に、と思いを馳せて遠慮気味に漬物をつまみつつ、
皿が来るまで我慢していると、程なくして麺が来た。

冷しというと胡麻ダレのベージュ色や醤油ダレの黒いものを連想するが、
この店の冷しは見た目に綺麗な真っ白な甘酢のタレで仕上げる美しい一皿である。
従って写真のような白い皿に盛られると、具の鮮やかな原色がそのまま際立ち、食欲が増す。

下北沢 海鮮冷し.gif

早速一口。
コシと艶のある麺を口にすると、生姜のような香りと柑橘系のような複雑な香りが
かすかによぎりながら、噛む頃にはほのかな甘味と酸味がこれまた複雑に絡んできて
これが喉を通ると体がすっきりした感じがする。
これにニンニクの香りが心地よい、下味のついた食感のよいクラゲや
絶妙なゆで加減によって、ぷりっとした食感と甲殻類の旨味と甘味を絶妙に引き出した海老、
一見すると普通に見えるがきちんと仕事のされているトマトなど、
具材と一緒に甘酢の絡む麺と共に口に含むと、甘酢ダレが常に違う皿を頂いているような
とても様々な味の変化を遂げて、口があきるどころか夢中になって食べてしまう。

以前食べた冷しの印象そのままである。

この甘酢がなんとも絶妙だからなせる業、としか言葉に乏しい蚯蚓には表現できないのだが、
ともかくこの冷しを知ってしまって以来、他の店での冷しを発注しようという気持ちが
起こらないのである。
もし他店で発注するとしたら、他の人の発注したものを見て、タレが白かった場合に
興味本位もしくはこの店の味を求めて発注する可能性がある位で、
基本ここの冷しが蚯蚓の理想に限りなく近いと言って、過言ではない。

他群を抜いて美味しい冷しであるが、強いて難を言えば、
蚯蚓は胡瓜が何かと混ざると、胡瓜の青い瓜臭さが
他の風味より勝ってしまう為、料理の彩りとしての重要性は確かにあるものの、
皿全体の風味の天敵としてあまり好まない食材の一つである。
そのためこの胡瓜の皮を完全にむいて瓜臭さを半減させるなど、
一仕事したようなものになれば、おそらく蚯蚓の理想の一品となるであろう。

下北沢に用事と云う事がめったにない蚯蚓であるが、
今年の夏は人を連れ立って、これを用事に下北沢へ足を運び、
冷し以外の色々な皿についても楽しんでみたいと思う。

このお店の場所はこちらです。
posted by 蚯蚓仙人 at 23:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 下北沢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月10日

阿佐ヶ谷 (蕎麦)〜ベーシックに飲んで〆に食らう

本日夜に日本酒で一杯引っ掛け候。

阿佐ヶ谷には蚯蚓の街歩きした限りでは2件ほど気になる蕎麦屋があった。
そのうちの一軒である。

はじめに蕎麦をと思っていたのだが、神田の蕎麦屋の如くに、焼き海苔や出汁巻きが
あるということで、予定を変更してそれらと冷酒を発注。
程なくして、海苔や出汁巻きが並べられた。

海苔はそれこそ神田の蕎麦屋の如くに下段に入れた炭の熱で上段の焼き海苔が
ぱりっと香ばしくなる情緒ある木箱に入れられており、感じが良い。
また出汁巻きも甘味が程よく中々美味しい。
通しの揚げたそばなどをつまみつつ、モダンな雰囲気の店でゆったりと日本酒を味わえる。

阿佐ヶ谷 玉子焼き.gif

〆の蕎麦もベーシックな太さの麺で、鰹だしのしっかり効いたつゆに軽くつけて、
すすると見た目の色合いから想像される味よりさわやかで、さらした葱などとの相性も
良く、薬味と共にバランスよく最後までいただける。

阿佐ヶ谷 そば.gif

蕎麦茶も香ばしく、どの品もベーシックではあるものの
器や内装が嫌味なく気が利いているせいか、どの品も標準より
ちょっと質の高い美味しさを堪能した心地になる。
また日本酒に惑う事なく蕎麦のみできちんと味わってみたくなるお店であった。
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2005年05月08日

特別編 〜蚯蚓山口に行く (イタリアン)

本日夜に久し振りに洋物を食したくなり、
町歩きで気になったイタリア料理店へ足を運び候。

オープンキッチンでカウンター7席、テーブル席があり、
ガス、水まわりだけでなくエスプレッソマシンなど、
設備は充分すぎるといっても過言でないほど立派なものである。
その贅沢な設備を中年には至らない年回りのシェフが一人で切り盛りし、
ホールのサービスも行う。

夜のメニューは「おまかせコース」のみなので、こちらの決める事といえば、
ワインの種類を決めるくらいである。早速ワインを発注し、皿を待つ。
手馴れた手さばきでパンを温め、一皿目のイベリコ豚の生ハムを出す。
少々行き過ぎ感もあるが、口に入れるとこなれたナッツの香りと
ハムのひなびた香りがきてパンや赤ワインと合う。
パン自身は皮部分が厚めでぱりっとしていて心地よく粉の風味も良い。

コジコジ イベリコ豚ハム.gif

一皿目はアボガドとはっさくと鯵の皿で、塩梅良くマリネされた鯵が
アボガドと一緒になることで味に深みやコクが出て、
まったりとしながら旨味のある一口になる。
これをはっさくと一緒に食べたときは柑橘類の酸味と甘味が絶妙に溶け込んで、
口あきることなく、むしろ後を引く具合でどんどん頂ける。

コジコジ アンチパスト.gif

ウズラのミンチのパスタは軟骨を混ぜてひき肉状に叩いたウズラの食感が、
つぶつぶこりっとした形容しがたい絶妙な食感のアクセントとなって、
パスタのおいしさに一華添える感覚になる。
定番のパルミジャーノで風味や旨味、塩っ気を増して濃厚な味のまとまった一皿になる。

コジコジ ウズラパスタ.gif

その後、筍のリゾットはガーリック風味のパンチの効いた一品を頂き、
メインのラムチョップ。横にゴボウのポタージュが付く。
ラムチョップは肉のベストな焼き時間というよりは少し焼け気味なのが気になったが、
元々の肉がおいしくて、さらりと食べられてしまう。
ゴボウのポタージュもゴボウの土の風味が良く出て
舌触りに、多少ざらつきがあるものの
素朴でいて濃厚な味がダイナミックで良い一品。

コジコジ 肉.gif

ドルチェはぱりぱりのクレープ包みであるが、案外あっさりしたカスタード風味のソースに
水分を吸ってくたっとすることなく、ぱりっとほどけるクレープが甘味の苦手な蚯蚓でも
カフェラテと共に素直に楽しめた。

コジコジ ドルチェ.gif

ここのシェフは山口県出身というわけではなく、
東京は六本木のちょっとした有名店で一時働いた経験があるなど、
都会での仕事経験を経て山口で店を開いているとのこと。
本腰を入れ始めてまだ間もないという割にはアンチパストなどの皿のまとめ具合など、
個人的にはとてもセンスを感じるものがあった。

はじめは単品で発注することも可能なオステリアのようなスタイルで
こよなく仕事帰りの気分転換の店として気軽に使ってもらおうと努めたらしいのだが、
外食文化のないこの地域では中々そのスタイルでは難しく、
現在のコース料理を出すスタイルでなんとか切り盛りしているらしい。

商店街には東京や大阪の都会でデザイン関係の影響を受けたであろう若者達が、
相次いで雑貨屋や服屋を出店して、一種の都会の様相を呈し始めている。
にもかかわらず、都会の生活スタイルの感覚はこののどかな土地柄には不必要なものなのか、
もしくは生活スタイルの感覚までもは影響されずに帰郷したのか、
ともあれ味のトレンドや食材を入手可能な東京の郊外で店を構えれば、
前途有望な店がこのままでいることは残念でならない。

しかし、そんな諸々の話をシェフとざっくばらんにしていると、
彼曰く、「いずれはこの新鮮で豊富な食材を入手できる土地の利をさらに活かし、
良質のハーブや野菜を自分で育てて、それを料理に盛り込んで行きたい。」
日々の困難をクリアするだけでなく、志をもって仕事に望む姿勢に、
また山口を訪れた際は是非、伺いたい店であった。

■本日訪れた店
cosicosi(コジコジ) 山口市駅通り1-7-12
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2005年05月07日

特別編 〜蚯蚓山口に行く (町歩き編)

本日は町歩き全開である。

山口の商店街の散策を本日も行い、そこから歩いて湯田温泉まで向かうことにした。
気になる茶屋を早速見つけ入ろうとしたが、満席のため諦め
すぐ脇に寿司やという看板を見つけ足を運ぶと、
店で食べさせる寿司屋ではなく押し寿司の持ち帰りの出来る寿司がぽつぽつ陳列されている。

山口 寿司入り口.gif

老夫婦の営むこの店、奥でつくっているようで、店の奥の調理場が雰囲気があってよい。
そこで、穴子寿司を一個購入。行儀悪く歩き食いをして散歩を続けた。
穴子は薄く切ったものを乗せたものらしいが、芳ばしく焼かれていて田麩の甘みと合う。
もっちりと炊かれた寿司飯は酢が効いて具の甘みと融合すると実に美味しい。

山口 寿司.gif

商店街散策を続けると山口県産の有名な日本酒「獺祭」の蔵元と仲の良い酒屋を発見し、
店の自称おばばと意気投合し、ラベルのない、無濾過の珍しい獺祭を勧められ、
東京土産に発送してもらった。
また獺祭のビールがあったので、こちらも行儀が悪いと感じつつも店で頂き、
おばばとの会話を楽しんだ。
日本酒の仕込み水で造られたビールは水の美味しさが感じる香り高く豊かな味のする
地ビールで、よく地元名産を造るために製造した強引な地ビールとは一線を画した
美味しいものであった。

ほろ酔いのまま気分良く湯田温泉まで歩いて出て、人並みな観光もしつつ、
町歩きをしていると、「無角和牛入荷しました」といった手作りポスターが掲げられた、
小さな肉屋を発見。
聞けば、無角和牛は大正時代にアバディーンアンガス種という欧米産の牛と黒毛和牛を
掛け合わせた種で、今では山口県でしか生産されない県を代表する特産品とのこと。
蚯蚓はガイドブックで目にした、見島牛、見蘭牛を今回萩で食べたいと思っていたのだが、
生産数の少なさや萩祭りの混雑期で食べることを断念していることもあって、
この牛を食べることで、せめてもの自分の心の埋め合わせになるかと感じて、
ヒレとロースを少量頂くことにした。

山口 無角和牛.gif

残念なことに、店は精肉専門で、そこでは食べられないので、
後に知人宅に世話になって焼いて食べたが、
ミディアムレアで焼いた際に出る血が爽やかでいて甘みがあって、
これがその肉の美味しさを象徴するもので、脂身の旨味は勿論、
赤身の部分も美味しい牛であった。

そうこうするうちに昼食の時間となり、
既に予約をしていた地元の人の薦めの料理屋へ出向いた。
料亭風のたたずまいで、この店も個室だけのようである。
通された個室は初日の寿司屋ほどのこぢんまりした雰囲気のよい部屋で、
お抹茶で歓待される。

水野 入り口.gif

既に発注してあるコースがまず膳で運ばれた。
花びら風に盛られた鯛の刺身は普通のものより厚めに切られており、
歯ごたえ十分で甘みも旨味もしっかり来て実に美味しい。
揚げ物は筍と海老の入った練り物というかしんじょうを一緒にして揚げたもので、
筍の穂先の甘みや香り、栗のような美味しさとしんじょうの旨味や食感が一度に押し寄せ、
何も付けずとも実に贅沢な味わいで楽しむことが出来る。

水野 はじめ.gif

その他、鯛のお頭と尾の部分を甘く煮付けたものや、
馬鈴薯を餡にしてカニクリームを包んで、
芳ばしい胡麻の甘味噌を一見大根の田楽風にした洒落たものなど、
どれも見た目に楽しく、それでいて味わいが複雑で美味しいものであった。

水野 馬鈴薯椀.gif

帰りも歩いて戻ったのだが、途中酒屋のおばばの薦めの山水園の露天風呂に立ち寄って、
歩き疲れを癒してから山口駅へともどった。
土産を買って、美味しいものを食べ、温泉を堪能するといった、
言葉にするとありきたりではあるが、
人のよいおばばとも出会え、思い出深い充実した一日を過ごすことができた。


本日行った店

押し寿司     風味堂 山口市本町1-4-3
おばばの酒屋   アサヤ 山口市中市6-21
湯田温泉の料亭   水野 山口市葵2-6-41   

posted by 蚯蚓仙人 at 05:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 特別編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月06日

特別編 〜蚯蚓山口へ行く (益田編)

本日津和野を過ぎ、島根県の益田まで足を運び候。

電車に揺られ、片道約2時間の小旅行である。
津和野のような街の一区画が小京都といったところではないのだが、
古い神社や寺が散在するちょっとした観光地である。

午前中は市内でのんびりしていたこともあり、益田へ来たのはもう昼も十分過ぎた頃。
タクシーやバスを駆使したり、延々歩いて神社お寺をまわり、
もう日が落ち、列車の時間が気になる頃、
駅方向へ向かうタクシーの運転手のお薦めの店で夕食をとることにした。
駅からは少し外れた田圃が目の前といった場所で民家の中を改築し、
店にしたといった雰囲気。
入り口が2階で靴を脱ぎ、階段を下りると生け簀やカウンターが目に飛び込む。

益田 遂倏.gif

席は基本的に個室なのでほりごたつ式の座敷部屋に案内され、そのまま注文を行う。
時間もないことから刺身とウニ丼定食を発注。
すぐ出る小鉢も併せて発注し、ビールを頂き一息つく間もなく小鉢や刺身が来た。
タコはなかなかであるが、薄づくりの鯛、その他は今ひとつぴんと来ない。

益田 お造り.gif

ウニ丼は大中小とウニの量の違いで3種類、写真は中であるが、ご飯が平盛のため、
ウニが少量に感じる。
ごまだれをかけていただくと確かに旨味十分なウニを堪能できるが、
海苔が多すぎて味がぼける。
豆腐は豆から作った完全手作りで、薪のような燻した感じの香りがしつつ
濃厚な豆の味がして、食感はなめらかというよりは、
おぼろ豆腐のようなふんわりしたものに少しざらつきがある感じで
素朴でいて芳醇な味わいで実に美味しい。
これらを少々あわて気味に頂き、駅へはせ参じ、一路山口へと向かったのであった。

益田 うに丼.gif

ここ益田は海にほど近い場所にあるところで、正直生け簀を設けず、
新鮮な魚を出すことも、知恵と工夫によっては容易なはずで、
民家づくりの雰囲気はあるものの、
料理は見た目は良かれど仕事は普通の居酒屋と同等、価格等を考慮すると
今ひとつうなずけないところがある。

山口市内だけでなく、ここ益田にも雪舟の庭があるということもあって、
足を運んでみたが、山口のものより観光っけがなくひっそりとしたたたずまいで
心静かに拝観できる。
桜や紅葉以外にもツツジの良い季節も楽しめる庭の造りであったせいもあるが、
その他の建物や襖画、掛け軸なども個人的には趣を感じ、市内のもの以上の好感が持てた。
日帰りするには夜7時半出発の電車に乗らなければならないという制約もあって、
ゆっくり出来なかった感もあるが、この街にはまたゆっくり出来る際に
足を運んでみたいものである。
posted by 蚯蚓仙人 at 03:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 特別編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月05日

特別編 〜蚯蚓山口県へ行く (市場編)

本日は山口の知人宅で市場で仕入れたものを堪能す。

公設市場が商店街の近くにある。
築地とは異なり早朝からという漁港の市場とは違うが、
このゴールデンウィーク期間中も通常のように営業するということで、
山口で獲れる魚を見る為に市場へ出向いた。
蚯蚓一行が出向いた昼ごろともなると、家の食事の為の買い物にきた主婦が
店を吟味している光景をよく目にする。

市場 魚.gif

野菜や惣菜屋、肉屋、鰻屋など多岐にわたって店が連なるが、多いのは魚屋である。
丸ごと一匹という売り方から刺身になった状態まで様々にして売っていて、
ある意味街の魚屋の集合した市場風スーパーといった印象を受ける。

「1皿180円、3皿500円」という東京では閉店時間の間際でさえも付けない値段で
当り前のようにして刺身が売られている。
この東京でいえばたたき売りのような価格を見て、どうにも食べてみたい魚は全て購入。
野菜や薬味類も市場で調達して済ませた。

時は何時しか夕刻、調理は知人に任せ、食卓には次々と料理が運ばれてきた。
刺身は瀬つきアジ、鰯、タコ、アナゴのあらい、メジマグロ、五島産生マグロ、
メンタイ、ふぐ、玄海灘産ウニ等。
早速いつもの山口の醤油で堪能、味は子ぶりながら脂が乗って甘味が強い、
鰯は身はそれ程引き締まっていないがいりこのほろ苦さと香りがわずかにあって旨い。
アナゴのあらいは昨日の鮎のせごしほどではないが、身のむちっとした感じと、
江戸のものより濃厚な味わいが印象的である。
マグロは醤油との相性はいまひとつなのだが、カツオの如く爽やかでいながら、
旨い赤みの味が来る。
五島産のマグロはこれに少し脂が乗っているが、中トロのものとも印象の違う
脂の風味である。

山口 刺身.gif

メンタイ(スケソウダラ)は食感が悪く、おいしくない回転寿司屋で出される
ぐでぐでのえんがわのようなくたっとした水っぽい食感で、今ひとつ美味しさが見出せない。
薄く造って、しゃぶしゃぶにしてポン酢で食べるなど、工夫した方が美味しいかもしれない。
タコは塩で洗っていないのか、色は茶袴色で今ひとつであるが食感味ともしっかりして
噛むほどにおいしい。

山口 メンタイ.gif

ふぐも一見すると東京と異なる風体で、市場で確認しなかったが、
恐らくトラフグではないふぐのようである。
しかし、トラフグより身の旨味が強くて薬味や山口の醤油に負けない味わいを持っていて
個人的にはこのふぐを旬な時にもう一度山口を訪れて食べたいと感じたほどである。

山口 ふく.gif

野菜はゴボウの塩ゆでして一つは歯ごたえと風味を活かした白ゴマ汚し、
笹がけにして甘酢で山口風にしたものの2種をいただいた。
塩茹でのものはゴボウ特有の土の香りと塩味がバランス良く”シャクほく”した歯ざわりに
つられて噛むほどに風味が増してこれがゴマの味でコクが出て実においしい。
それに対して甘酢のゴボウはしゃきしゃき感が一層前に出た心地よさと甘酢の酸味が
ひきたった感じで寿司の巻物でも食べてみたい気持ちになる。

山口 ごぼう塩だき.gif

山口 ゴボウ甘酢.gif

特筆すべきはコシアブラのてんぷらである。
ヨモギのような濃い抹茶の良い緑の香りがふわっときて口の中ではらりとほどけ、
実においしい。

山口 コシアブラ.gif

その他ふきを茹でたもの等も美味しかったが、
いずれも素材の美味しさを極力いじらず引き出すプロ顔負けの知人の力量に感謝しつつ、
山口県の食材の豊富さをしみじみと感じた夜であった。
posted by 蚯蚓仙人 at 20:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 特別編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月04日

特別編 〜蚯蚓山口県へ行く (自然編)

本日津和野と山口の中間に位置する長門峡へ自然を堪能しに足を運び候。

駅から線路に沿った車道を渡り、ひと川渡ると山間を流れる大きな川に沿って、
舗装されていない細い山道がある。
長門峡とはここをひたすら川沿いに行って来た道を帰る往復約10キロほどの渓谷である。

長門峡 景色.gif

山口から日帰りできる場所というと秋吉台が有名であるが、
このゴールデンウィーク期間中はおそらく人でごった返しているはずで、
それでは折角の雄大な自然をゆったりと堪能できないと云う事で、天邪鬼な蚯蚓は
敢えてこの地を歩く事を選んだ次第である。

早速歩き始め、最初は雄大な川の流れを見て楽しみ、
植物の写真をしゃがんで撮影するなど、己の思い描く自然とのふれあいを
堪能していたが、道の中途辺りを過ぎた頃には、地面とのにらみ合い、
もしくは小さな下り坂が見えると喜び、曲がりくねって先の上り道にがっかりしたりと、
一喜一憂し、いつの間にか自然との闘いが己の根性との闘いに変わってしまっていた。

1時間以上歩いて、ようやく終点の折り返し地点にたどり着いた。
しかしそこにはバスやタクシーといった車を拾えるような雰囲気は皆無である。
とにかく老体にムチを打ち、歩いた都会の蚯蚓は川沿いの茶屋で
食事休憩を取ることにした。

この川では恐らく取れていない鮎が生け簀で悠々と泳いでいる。
この類の茶屋で失敗して美味しくもないのに
妙に高い鮎を食べた経験のある蚯蚓としては、不信感全開で入店。

しかし広い座敷に並べられた机を適当に選んで胡坐座りし、窓に目をやると
空は快晴、崖には新緑の木々、真下は川といった絶景が目に飛び込んできた。
ビールで喉を潤し、しゃきっとしたところで、料理を発注。
空腹も手伝って、塩焼きの鮎定食以外に味噌焼きの鮎、鹿刺しなど多目の発注である。
程なくして定食が来た。

長門峡 店から景色.gif

写真右上の角の皿が「せごし」で、山口の醤油で輪切りにされた生の鮎刺しを頂く料理。
実に鮎の独特なよくいう「きゅうり臭さ」を上手く醤油が持ち上げて、
独特でありながら美味しい珍味となる。
また、食感が軟骨のような、身の引き締まった白身のような
ぷりっとした中にこりっというような軽い絶妙な歯ざわりが合って非常に良い。

長門峡 鮎定食.gif

塩焼きも炭火で焼いているようで、塩梅良く香りも中々で美味しくいただけた。
みそ焼きも山椒味噌になっており、焼き魚の香ばしさと白味噌の甘味が来て
それでいて口爽やかに頂ける。
また小鉢に鮎の甘露煮が入っていたり、更にサービスで稚鮎のフライも出てきて
生け簀で飼育された養殖鮎ではあるものの調理のお陰で心地よく食事を堪能できた。

長門峡 鮎みそ焼き.gif

鹿刺しは残念ながら地場のものでもなく、冷凍であったが、
またもや山口県マジックの美味しいポン酢の効果で、それなりにいただけた。

長門峡 ュ刺し.gif

この茶屋のお陰で憔悴しきった蚯蚓の心にも朝方ほどではないが、
勢いが戻ってきた。
しかしこの老体に行きと同じ体力が残っていない事をやや明朗になった頭で計算し、
決断した蚯蚓は茶屋にタクシーを呼んでもらい、長門峡歩きは片道での挫折と相成った。

また長門峡の駅に戻ればよいのに出来心で隣駅で降ろしてもらうことにした。
この駅がまたまわりに全く何もない駅で、1時間の待ちぼうけにはなかなか辛抱がいった。
このような贅沢な時間の使い方も旅の一興と思ってかえるの鳴き声を聞きつつ、
人っ気のない田舎の風景を堪能した一日であった。

posted by 蚯蚓仙人 at 19:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 特別編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月02日

特別編 〜蚯蚓山口県へ行く

蚯蚓空を飛び、一路山口県へはせ参じ候

山口市内の知人を訪ねるべく空路で県内入りした次第である。
バスや電車を駆使し、山口県庁などがある山口駅へ到着。
ここを拠点とし、長期休暇中は特別編として記事を書く予定である。

山口駅は1両か2両ほどの電車が行き来する、県庁所在地の割には簡素な場所で、
ビルという建物が基本的に存在しない、平坦な建物の印象を受けるところである。
従って駅に降り立ち、風情ある看板などに目を配りながら、
改札を出るだけで、旅に出たのだ、と実感するのは容易である。

山口駅.gif

早速県の名士が足を運ぶという寿司屋へ。
1階はカウンター席や4人用の個室、2階は大広間となっていて、
どんな来客にも対応できるようになっている。
魚の包丁を振るうのはカウンターの中にいる白灰色の長髪を
後ろで一本にまとめた姿の印象的な親父のみで、
給仕は地元県大生の女性や奥さん思しき人たちで、忙しそうに店をまわしている感がある。

今回は旅ならばということもあって、贅沢にお任せのコースを発注。
早速お通しがきた。

中谷 お通し.gif

お通しは鮪や銀杏の甘露煮で結構甘みがあるが、白髪葱と小口の青葱の両方の香りが
その甘みを断ち切って、そこにビールが良く合い、甘みと苦味の定石のうまさが来る。
お通しをつまむ間に、刺身が来た。
鯛の白身も肉厚で歯ごたえ甘み十分。
サザエも海草をしっかり食べている健康的な味わいのもので、
かむほどに海の潮の味わいと海草の旨みがして日本酒が進む。
サヨリの昆布〆などもあるが、これは東京の凝った仕事の味に慣れてしまっていて、
少々仕事不足な印象がある。

中谷 お刺身.gif

イカは刺身でも頂いたが、出汁と海苔と山葵と小口葱の小皿でも楽しんだ。
小皿の方は一瞬湯通ししてあるのか、甘みや弾力が一層強く感じる一品。
天ぷらのアナゴは小ぶりではあるものの、肉厚で歯ごたえが良く旨みが強い。
江戸前も美味しいが、それに勝るとも劣らない美味しさがあり、
山口のアナゴの美味しさは蚯蚓の新しい発見となった。

中谷 アナゴ天.gif

特筆すべきは醤油である。
おそらくこれはこの店独自ということではなく、この地方全般に言えることなのだろうが、
甘みや旨みを強く感じる醤油で、少々クセの強い刺身でもこの地域の醤油を使うと
そのクセが良い方向に転じたり、程よく緩和されたりして結果的に美味しくなる。

濃い口の味に引っ張られすぎると、口が飽きたり、
魚本来の味わいの微妙な差異がわからなくなるなどして、いささか歯がゆい気持ちになるが、「この魚はどんな味で・・・」という体言化する意識を捨てて、
うまいものをただただ旨いと堪能する場合にはうってつけである。

ということもあり、普段塩で天ぷらを食べることの多い蚯蚓も、
軽く塩で頂いた後は、その醤油で作られた天つゆで穴子のみならず野菜までも
しっかり頂いてしまった。

しかしながらこの醤油を用いて甘辛く仕上げてあるメバルの煮付けは
生姜の辛味で甘みを引き締めるといったことなく甘みが更に加えられており、
甘味の苦手な蚯蚓には食べづらい感があったが、
メバルの身が鯛のような香りと引き締まった身の食感でなんとも絶妙においしくて、
煮汁を避けつつも、結果的に一匹夢中になって食べてしまった。

中谷 メバル.gif

〆のにぎりは江戸前や流行の繊細な寿司を食べ歩く蚯蚓としては、
穴子のツメの甘さも手伝って、記事にするには辛口になってしまうところである。
しかし魚や醤油の素材の良さ、具沢山の茶碗蒸しなど、
この旅での興味深い発見を予感して、おもわず見知らぬ町の夜道を散歩してしまった。
そのような少々贅沢な旅のはじめに相応しい店である。


本日訪れた店
寿司 「中谷」
場所はここです
posted by 蚯蚓仙人 at 11:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 特別編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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