移転前の店を堪能するべく足を運び候。
京成線の線路沿いにあるこのおでんやであるが、
7人がやっとという狭いカウンターのみの店で、出汁の香りが店中に漂って、
心地よくそして並びの客と和気藹々と話ができるとても蚯蚓好みの空間である。
前回、「佐藤」の黒の水割りについて記事にしたが、
今回は最近追加されたつまみメニューに関して書こうと思う。
まずは鳥レバーとタマネギをウスターソース、ピリ辛風味に味仕立てた一皿。
ここに白髪ネギが散らされており、水割りと飲むと、
十分にレバーと馴染んだソースの甘辛さから懐かしさを感じてなかなか良い。

そのほか、ホワイトアスパラの皿は、ゆでて甘みを出したものに梅肉ピリ辛餡が
良くあって美味しい。しかもガーリックトーストにラタトゥユまでメニューに登場し、
1人で切り盛りするおでんやとは思えない数の皿の種類である。


発注してから気づいたがいずれも、焼酎よりビールや酎ハイが合うメニューを
頼んでいるにも関わらず、飲んだのはきれいな味の佐藤の黒の水割りや、
旭・萬年の35度の水割りなので、通常のおでんにして酒を愉しめば良かったと少々後悔した。
もしくは、軽く酎ハイと書いてしまったが、この店の主人のステアと氷のためか、
「トマト割り」なるトマトジュースの焼酎割りは格別にうまい。
そのため、水割りをやめて、上記のメニューとトマト割りの
ベストマッチでこれらを愉しむのも吉だったはずである。
酒と料理の組み合わせの良くない自分の”発注ミス”はさておき、
先日コメントを頂いた「なっけさん」のみならず、
おでんやにはこのブログを見たことのある方が結構お客にいるようである。
というのも、この日もそういった方に出会って、いささかくすぐったい心境になったのだが、
それもまた一興。
移転前最後のおでんやということで、心地よく飲みたいなと思って店に入ったら、
馴染みの方と談笑宜しくな楽しい酒に加え、上述のような数奇な出会いなど、
酒の話の肴に事欠かない一時であった。
出会った方々も蚯蚓の身の上を明かさず、デジタルな蚯蚓とアナログな蚯蚓の両方で
今後もご愛好頂けることを切望しつつ移転前最後のおでんやを愉しんだ夜であった。