人形町の親子丼で有名な店より程近い、こちらも代々店を構える老舗の洋食屋。
この街の洋食屋には裏切られ気味のミミズであるが、
しぶとい生き物なので、ついつい新たな洋食屋へ入ってしまう。
入ると洋食というよりは学生食堂の雰囲気が一瞬するが、
代々この店が洋食屋を営んできたことが書かれた看板などで
やはり老舗の洋食屋なんだと認識する。
メニューは意外に多く目移りするので、まずは初心者らしくミックスを発注。
ほどなく盛り合わせが来た。
一口食べると油の香りが甘く、実に旨い。

この立地でこの味とこの値段には充分満足がいった。
この店のモットーは「気取らず美味く(うまく)」である。
”味じまん””老舗の味”とのぼりやカンバンに
これらの言葉をインテリアとして使う店は多いが、この店はちがう。
言葉を店の飾りとするのではなく、店の訓示として味に反映しているのだ。
味を全く変えずに、また、今の世の中に合った価格で、
食べ手の満足感を得る事はおそらく洋食というジャンルは
難しい時代であると蚯蚓は思う。
そのような中、店の心意気を受け継いで、味に込める、
その難しさに一つの答えを出せている店であった。