吾輩は蚯蚓である。夜を昼を様々な街に縦横無尽に出没するたくましい生き物である。
根っからの外食好き"蚯蚓"の食生態フードダイアリー。

2005年02月28日

両国 〜ちょっとちょっとがちょっとおいしい (おにぎり)

本日夜中に両国で街歩き候。
両国橋へと続く大通り沿いに、一軒暖簾たなびく店を発見。
気になって店の前へ近づくと、「おにぎり」と書いてある。

両国 おにぎりや入口.gif

小料理屋のような店構えでありながら、おにぎりという物珍しさが手伝って、
中へ入ってみる事にした。
座敷の席と半端なカウンター席がある。
席数が結構あるのだが、おかみさんひとりでどうやらきりもりしているらしい。

メニューはおにぎり以外にもちょっとつまめるようなものがあるが、
試しに漬物と鮭おにぎり、梅干入り焼酎お湯割を発注。
粒うにのおにぎりにも惹かれたが、ベーシックなメニューで様子を見ることにした。

程なくして全てが揃い、お湯割りを一口。
梅がうまい。最近の時を待てずに出汁の味をつける梅とは違い、
素朴で年月を経ないと塩が枯れて出てこない旨味がこの梅干にはある。
型で押して作られた形の良いおにぎりも鮭にぎりだというのに、
雲丹のような香りが乗って、なかなか美味しくいただける。
しば漬けも紫蘇の味がする品のいいもので、ヤマゴボウは塩っ気が濃く、
最上の品質とまではいかないが、しっかりゴボウの味がして酒が進む。

両国 おにぎり.gif

このお店の良い所は、長くからこの場所でひっそりとおにぎりやを続けている事で、
たとえば、ちゃんこならここがいいとか、400年も続くしゃもを食べさせる店が
近くにあるだの、以前、記事にした両国のラーメン屋の場所は
その前に2件数ヶ月で立て続けに店を閉めてざるを得ない位に
何故か店がうまくいかない「いわくつき」の場所だとか、そんな地元話をしてくれる。

この界隈が店を閉めた後の深夜まで店を開け、
はしご酒の客を優しく迎えて色々話をしてくれる懐の深さをこの店に垣間見た。
是非、両国で一杯引っ掛けた後の〆に立ち寄りたい店である。
posted by 蚯蚓仙人 at 19:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 両国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年02月26日

千歳烏山 〜質の高いプロの仕事を堪能 (オステリア)

本日夜、千歳烏山にて至福の時を求めてこの店に着地す。

千歳烏山駅を仙川駅寄りの改札から出て左手の階段を上り、駅の北側へ出た
六番街商店街を数十メートル歩いた蕎麦屋の2階にひっそりとその店はある。
この店が出来てかれこれ5年も過ぎようとしているのだが、
その年あたりに出来た店の中では着実に激戦区烏山で根付きつつある名店がある。

スタイルはオステリア。平たく表現するとワインバーである。
その日お奨めのワインの中から好きなものをグラス単位で発注できる。
全くワインの知識がなくとも、自分の好みの味やらを伝えて選んでもらうもよし、
どんな味わいかを臆せずきいて、快く説明をしてくれる中から選ぶもよし。
味わうことに素直であれば、これほどまでに服装等に気を使わずに気分もよく
楽しめる空間はこの界隈では稀である。

早速シャンパンを発注。
特筆すべきはこの店はシャンパンやワインを美味しく飲めるだけでなく、
料理も非常に美味しい店であるということ。
都心の下手な有名リストランテを軽く凌駕する若きシェフが一人で店の料理をまわす。
シャンパンが来ても目移りしてどの料理を発注するか悩むほどに、
とても一人でこなしていると思えない料理の種類がメニューに並ぶ。
また不定期にメニューが少しずつ変わっていくので、いつ来ても飽きない。

迷える煩悩をかきわけて、サヨリとウドの皿を発注。
程なくして皿が来た。
ウドが好きで発注するのだが、ぬたのような和食で馴染みの食材が、
実に洋の皿に仕上がっている。
サヨリやウドがハーブの香りとオリーブオイルの香りやコクに融合しつつ、
塩梅良く酸味がそこに覆いかぶさるように乗ってきて、
表現し得ない絶妙なバランスで美味しさを感じさせる。
そこに蚯蚓の好きな赤胡椒のパンチも効いて、ウドのさわやかさに一層キレが出る。

烏山 うど.gif

パスタも発注。これも手打ちのものやカッペリーニなど色々堪能できるので、
毎回非常に悩むのだが、断腸のおもいで一つに絞る。
カリカリに焼かれたパンチェッタと共にパスタを頂くと、
このパンチェッタが醤油の香りのような旨味の強い香りを放ち、
白インゲン豆のソースのふくよかな甘味と絡まってパスタの形状上噛むとなお旨い。
エストラゴン様のハーブも嫌味なく影の功労者として一役担っている。

烏山 パスタ.gif

蚯蚓もここでワインたるものの嗜み方を知り、また今も愉しい味の世界の広がる感覚を
覚えているといって過言ではない。
烏山ではここでしかないのだが、ワインによってグラスの形も変えて出してくれるし、
そもそも、そのグラスの重要性を体感できたのもこの店のお陰である。
また、ここの料理は今では確実に美味しい皿を出してくれる。
次にこの店に来た時の皿は、余韻薄れぬ間にきちんと記事にしておこうと反省する程、
言葉で表現しがたい滋味深い酒と料理を出してくれる隠れた烏山の名店である。

このお店の場所
posted by 蚯蚓仙人 at 21:52| Comment(8) | TrackBack(0) | 千歳烏山 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年02月24日

人形町 〜洋食のこころ (洋食)

本日昼にて洋食を食す。

人形町の親子丼で有名な店より程近い、こちらも代々店を構える老舗の洋食屋。
この街の洋食屋には裏切られ気味のミミズであるが、
しぶとい生き物なので、ついつい新たな洋食屋へ入ってしまう。

入ると洋食というよりは学生食堂の雰囲気が一瞬するが、
代々この店が洋食屋を営んできたことが書かれた看板などで
やはり老舗の洋食屋なんだと認識する。

メニューは意外に多く目移りするので、まずは初心者らしくミックスを発注。
ほどなく盛り合わせが来た。
一口食べると油の香りが甘く、実に旨い。

人形町 洋食

この立地でこの味とこの値段には充分満足がいった。
この店のモットーは「気取らず美味く(うまく)」である。
”味じまん””老舗の味”とのぼりやカンバンに
これらの言葉をインテリアとして使う店は多いが、この店はちがう。
言葉を店の飾りとするのではなく、店の訓示として味に反映しているのだ。

味を全く変えずに、また、今の世の中に合った価格で、
食べ手の満足感を得る事はおそらく洋食というジャンルは
難しい時代であると蚯蚓は思う。
そのような中、店の心意気を受け継いで、味に込める、
その難しさに一つの答えを出せている店であった。
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2005年02月22日

京成立石 〜たかが焼酎水割り、されど水割り (おでん)

本日一杯飲み屋好きにはたまらない街、京成立石で引っ掛け候

京成立石はいつか記事にするであろう、もつで有名な一杯飲み屋や鳥屋など
呑み助にはたまらない、飲んだくれの街である。
そのような店は折を見て記事にするとして、蚯蚓がこの名店の多い街でこよなく愛す店が、
京成立石駅からUFJ銀行のATMがある側に降りて線路沿いにあるおでんを食べさせる店である。

この店はおでんと焼酎が飲める店で、狭い入り口から入ると最大席を作って7人ほどしか
座れないカウンターの小さな店である。
店に入ると鰹だしの香りに包まれて、仕事後で尖った気持ちも穏やかになる。
早速焼酎の水割りとキャベツ巻き、はんぺんを発注。

京成立石 おでん.gif

ここの店の恐ろしいのは、蚯蚓が色々呑んだ中で、圧倒的に焼酎を美味しく出すということである。
頼んだのはちょっと焼酎をこだわっていたりすれば誰もが知っている佐藤の黒。
今や「うちの店は焼酎にこだわってます。」と伝えたい時に、
魔王やこれらの焼酎をラインナップに組み込みアピールするのに用いられる
比較的メジャーな焼酎であるが、これを東京一美味しく出しているといって間違いない。
氷がまず氷屋から来るもの、佐藤に限っては割水の水は焼酎を作る際の仕込み水を使い、
あらかじめ割っている等仕込みの丁寧さもあるが、蚯蚓が思うに主人のステアが決定的である。

口にすると角がなく、口当たり良く芋焼酎のうまさが程よくくる水割り。
百聞は一賞味に如かずで巧い。
これに真面目に鰹出汁でとったおでんが来ると心底心が休まる。
祭り好きの主人は長きにわたって、このようなカウンターで客と接する仕事をしてきた事が
良く分るので、客のその日の心のコンディションをよくよく掴んで絶妙な距離感で、
相手をしてくれる。

しかし主人の商売っ気のなさには更に驚かされるが、
立石の相場でも安い方に入る価格で飲めるので、都心でしか飲まない人にとっては、
信じがたい存在のように感じられる。
烏山のオステリアと並んで蚯蚓の安住の店であるこの店は、
何度となく記事になるので、おでんについてはまた丁寧に書くことにする。

地図はこちらをご覧下さい
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2005年02月20日

東京・千歳烏山(中華) 〜気取らない烏山の古くからの名店

本日四川中華を食し候。

雑誌で汁なし担々麺がピックアップされたのを半年くらい前に目にしたが、
蚯蚓はもうかれこれ20年位お世話になっている千歳烏山の名店である。
旧甲州街道沿いの交番から入って甲州街道に向かっていく道にあり、
そのすぐ側には別の中華料理屋が軒を連ねている中華の激戦区に存在する。

最近好まれる繊細味志向の香港風の軽い味付けで美味しい皿を出す中華料理とは異なり、
食べた後に体が温まり、活力の沸くしっかりとした味付けの四川中華を出す店である。
街のよくある中華定食屋としての役割も果たしているので、
黒板のメニューにはそれらしきものが多く並ぶ。
今回はこの店に来たら迷わず頂きたい蚯蚓の定番料理を特筆する。

水餃子は胡麻ダレの香りや旨みのある醤油様のタレがかかったワンタン風の食感で
あるがこれが緑の葉物が入った餃子に実に合って何個でも食べたくなる。
麻婆豆腐は黒豆(とうち)や花椒が非常にきいた塩っ濃いが味わい深い皿で、
定食のご飯がどんどん進む。

千歳烏山 水餃子.gif

千歳烏山 麻婆豆腐.gif

その他蒸し鶏の山椒ソースも鳥がパサつくことなく、
肉の甘みのような味わいが感じられ、そこに青い山椒のソースが来て、
絶妙な前菜となる。
この店の前菜はリーズナブルでいながら凝っていて美味い。

中華定食を頂く形でさらりと食していくもよし、
料理を堪能しに複数の人とくるもよしの千歳烏山の気取らない名店である。
posted by 蚯蚓仙人 at 19:02| Comment(5) | TrackBack(0) | 千歳烏山 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年02月18日

千歳烏山 〜のんべえの知る魚の旨い店 (居酒屋)

本日烏山にて魚を食らい候。

旧甲州街道沿いの大きなバス停から調布方向へ数十メートル歩くと、
赤い看板がビルにぶら下がっているのが目に付く。
見下ろしてもそこが店の入り口ではないので、一瞬戸惑うが、
少し路地に入ったそこが店の入り口となっている。

入ると山小屋のロッジを彷彿とするつくり。
ビールや日本酒など酒の種類は非常に少ないが、この店は持ち込み可能なので、
好きな酒は自分で持ち込むことになる。
とりあえず、ビールを発注。程なくして瓶ビールが来る。
蚯蚓はこの店だと比較的人と連れ立ってくる為、
特にリクエストすることなく漬物、小鉢ときて、刺身の皿が来て、いよいよ
机が賑わって思い思いの食べたいものを突付く感じになる。

刺身など、魚が旨いこの店ははずれはなく、逆に特筆すべき旨いものが必ずある。
今回はトリ貝。食感だけで味気ないのとは違い、旨味と甘味がグッと来るうえ、
アオヤギのような貝の風味が乗ってきて実に良い。ヤリイカも濃厚で甘味がのって、
噛むほどに旨い。
旨い刺身はやはりこうやって甘味も旨味も噛むほどに乗ってくるものだと改めて実感する。

烏山 トリ貝.gif

本日は続いてちくわの揚げ物が来た。
一見すると給食で出たような青海苔のちくわの揚げ物に見えるが、
食べると全然違う代物である。
この青海苔思しきものは生海苔の青さで、一口かぶりつくと
ふんわりとろっと感がありながら、さくっという食感もあり、
さらにちくわ自身の食感もあるので、食べて楽しく、それでいて
実に風味豊かでビールと良く合う。止まらない旨さである。
小鉢はマグロ納豆。ここの店の凄いところは、ほぼ毎度葱も旨いのだ。
もし食す機会があれば是非意識して味わっていただきたい。

烏山 ちくわあげ.gif

烏山 ねぎ.gif

今日はあまりに店が混みすぎて長居しないのを条件に急遽予約して入ったこともあり、
その他ほっけの焼いたもの程度で、済ませて出てきてしまった。
しかし、リーズナブルでいながら、美味しくいただけるように
旬の魚を出してくれるので、安心して舌を任せて、
出てくる料理で至福のひと時を過ごす事が出来る。

あまり遅い時間までやっていないのが残念であるが、
烏山には時間をずらして二軒目、三件目・・・と飲める店がある。
一軒目という意味でも、食べる事においても、ここは良い店である。
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2005年02月16日

人形町 〜気遣う心、粋な心で握る寿司 (寿司)

昼間に行った薬研堀の寿司屋で本日握りを食らい候。

常連思しき客が既にカウンターで、
焼酎と寿司をつまんで、引っ掛けている。
蚯蚓は数回ほどしか足を運んでいない一間客であるが、
主人はしっかり客を覚えていた。
軽く喉を潤して、早速握りを発注。

握る仕事が実に美しく、次々とカウンターの客に寿司を握るのだが、
そのいろんな客の注文をたった一人でこなす合間に、いかにも「寿司屋」
といった話しっぷりが冴える。
寿司屋が話し上手なのは、注文から握りが出る間に客を飽きさせない
心遣いなのだろうか。

それにしてもどれも旨い。
イカは歯ごたえよく、甘みも旨みも強く、
貝も見事で見た目にも美味い。
凛とした姿勢の貝をさっと握って、出してくれる。
鰤も口にするとトロのような甘みも旨みも感じられる。
また、ここの穴子は絶品。
ツメが甘みとは違う深い旨みと共に炙った穴子の香ばしい香りが乗ってきて、実に旨い。

出されるもの全てが実に気分良くいただける。
話しついでに浅草など他の店の話を聞いたところ、
浅草の昔有名だった頃の主人(現在は残念ながら他界)が師匠とのこと。
日本橋とは関係がないようである。
浅草橋については、話も余り出なかった。

最近蚯蚓が美味しいと人づてに聞いて食べる寿司は、
小ぶりでまとまった、どちらかというと繊細な寿司が多いが、
この店はしっかりとした江戸前寿司で頑なに師匠の教えを追及する、
粋でありつつ、旨いと思える店である。
ということもあり、今回野暮な写真撮影は割愛。
寿司ばかりは食す瞬間を逃さず、握り手の気持ちごといただきたい。
幸福な満腹感のみならず、気分も高揚する蚯蚓の中での名店である。
posted by 蚯蚓仙人 at 00:46| Comment(1) | TrackBack(0) | 東日本橋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年02月14日

大手町 〜東京のオフィス街にて深夜屋台へ潜伏す! (屋台)

新聞社が軒を連ねるビル群に、
深夜大きく店を構える屋台がある。
郊外などでよく見るテント型をした屋台に加え、
ブルーシートで囲いを作り、その囲われたスペースに
机や丸いすを並べオープンスペースを設けてある。
つまり”大きな”屋台である。

屋台.gif

つまみは入り口おぼしき机に並べられた数々のつまみ群や
テント屋台車で作られる暖かいおでんや肉豆腐。
〆はうどん、蕎麦を発注することができる。

勝手を知らない蚯蚓は食べたいものを主人に発注。
テーブル席まで運んできてくれた。
この机の威力は中々なもので、普通の純然たる屋台では
考えられない数のつまみが広がっており、楽しい。

総菜.gif

その中から、手作りめいたポテトサラダを発注。
その他ワンカップ酒、漬物、おでんなどで青空晩酌を始めた。

屋台のめし2.gif

普段はこの上ないオフィス街であろうビル群の景色は
空を見上げると気付くくらいで、まったくの別空間である。
新聞社勤めの仕事を終えた人や、買出しに来た人々などで、
午前2時を過ぎているというのにこの店には活気があり、
気分転換には最適といえる。

発注したポテトサラダなども下手な居酒屋よりずっと旨い、
というより、ベーシックに美味しくて、思わずリピート発注。

この近辺は住居が少ない為、郊外のベッドタウンに比べて
深夜営業をする店はぐっと少ない。
夜10時ともなれば正月が来たかのように静かになる。
その中で、この店は明け方まで営業している貴重なスペースといえよう。
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2005年02月12日

新宿 〜最近のクーポン本に挑戦す (ベトナム料理)

本日歌舞伎町にてクーポンを利用してベトナム料理を食す。

昨今「この雑誌を持っていけば一杯無料」の典型的なクーポンスタイルから
携帯でも同様のクーポンを得られるようになり、
美味しい店を見つける機会は今まで以上に多くあるように一見思える。
しかし、街歩きを基本とする蚯蚓からしてみると、
この類の店は大して美味しくもないからクーポンというサービスで客をひきよせる、
すなわち「この店は安いけど、それなりの味。」のサインではないかという
天邪鬼な先入観から、敢えて敬遠し、行かないようにしていた。

そのような中、大手総合情報出版会社が無料のクーポン本をある程度のエリアに区切って、
各街に設置するというアナログに原点回帰したかのような動きが最近際立って目につくようになった。

この”アナログさ”を実行するチャレンジ精神に昨今のクーポン事情には見られない情熱や勢いを感じたこと、そして
最近旺盛な外食スタイルへの好奇心が混ざり、
今までの先入観を捨てて、街のクーポン本から、新たな店を探してみることにした。

多いのはオープンしたての店。
最近の時流を反映して、内装の凝った個室席を標準装備した店が多い。
旨いものを見つける好奇心で探すと蚯蚓の野生の勘に引っかかるものがなく、
しかしその念が捨てきれず、何度となくグルメの欄のページを行ったり来たりさせているうちに、
ベトナム料理の店であれば新宿という場所柄、大ハズレもなく、当たればもうけものでは?
という気持ちになってきた。
その店もやはり支店新規オープンということで、新規の方に行くことにした。

そのクーポンではコースが特に安くなっているので、店に入るとすぐコースを発注。
また、ベトナムビール「333」をあわせて発注。
連れと一本ビールを開ける頃に生春巻きが到着。
盛り付けに雰囲気がある。

歌舞伎町 ベトナム 生春巻.gif

味も悪くないので、楽しい食事がスタートし、次々と料理が来た。

歌舞伎町 ベトナム サラダ.gif

歌舞伎町 ベトナム お好み.gif

歌舞伎町 ベトナム 肉.gif

食している間に気付いてくるのだが、盛り付けは違えど、
付け合せの野菜やタレやソースといった基本を構成するパーツが似ているせいか、
だんだん口がだれてくる。
振り返ってみると、最後のデザートがココナツミルクのタピオカでなく、
サツマイモベースのココナツミルクのタピオカで、
これが発注したお茶との相性が非常に良かったことが一番印象深い。

サツマイモの甘味とココナツの香りが、新茶や凍頂烏龍茶のような香りのお茶と
相まって実に伸びやかな香りになるが、甘味は逆にお茶の渋みで切れてさっぱりする。

よくある「新店は料理人が違うから本店と味が違う」ということなのか、
「クーポン用の料理だから通常の単品メニューとは質が違う」のか、
可能性を考えるときりがない。
しかし、そうであるならば、単品を食べたくさせる工夫や何かがあって然りと
思うのだが、それもないようである。

一回の経験の限りではあるが、クーポンで外食をするのはおそらく美味しい店を探すというより、
外食の楽しさの新しい切り口を探求する際のリーズナブルな手段の一つと捕らえるのが
ベターなのだと感じた。
普段は美味しさ一番で街を徘徊する蚯蚓であるが、今後は外食の楽しみ方の幅を広げる為、
クーポン本を時として今後も使う事に挑戦しようと思う。
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2005年02月10日

浜田山 〜一歩アレンジする和食に遭遇 (小料理屋) 

本日、井の頭線の浜田山にて一杯引っ掛け候。
店の前のメニューが中々良さそうなラインナップだった為、
入ってみることにした。

内装は簡素だが、箸置きなど少々洒落た感じがする。
早速ビールを発注するとお通しが来た。綺麗。
鮟鱇のにこごりと寄せたもの等、お通しとは思えない程気の利いたものが3品。
しかも旨い。

浜田山 お通し

蚯蚓はにこごりを口に含んで熱燗でほどけていく感覚が好きで、
この組み合わせにはめっぽう弱い。
そのコンビネーションを本日も楽しむべく、
にこごりをロックオンしてすぐに熱燗を発注。
日本酒のラインナップはベーシックなのだが、
とりあえず、久保田の千寿を燗して貰う事にした。
やはり、これを口に含んで日本酒を一口飲むと
口の中でにこごりがほどけ、また閉じこもっていた鮟肝の旨味がわっと広がり、
たまらない心地になる。

メニューを見てみると魚が旨そうなので、しめ鯖や鮪の刺身を発注。
綺麗な器に盛られてきて、気分良く酒が進む。ほどほどに旨い。

浜田山 しめさば

中には洋風混じりのメニューがある。お通しの好印象から、
この店なら、、、と思い「チーズ粕漬け」と「シチューパイ」の料理を発注。
チーズの粕漬けは豆腐ようのようでなかなか良い。
チーズの味噌漬けを過去に食した事があるが、それよりつまみになる。

浜田山 粕漬け

シチューパイはシチューの入った器がパイで覆われていて、壺焼き風になっているのだが、
そのシチューが大根など入っているため和を感じさせる。
かといって、その和の野菜の水分で淡い味のシチューになっているわけでもなく、
きちんとバランス良くコクのあるシチューのつぼ焼きとして
まとまった一品になっていて美味しい。

浜田山 シチューパイ

相当魚にうるさい蚯蚓だけに、
刺身の魚については充分水準を越えているものの、欲を言わせてもらえれば、
もうひと頑張りして欲しいところ。
しかし、”和風創作料理”とか”創作家庭料理”といってぼかして、
アンバランスな料理を出す店とは異なり、和食の基本をそれなりに踏まえて、
一歩アレンジした皿を出してくれるのでベーシックなメニューから、
創作めいた名のつく料理まで安心して楽しめるお店である。
posted by 蚯蚓仙人 at 22:28| Comment(1) | TrackBack(0) | 浜田山 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年02月08日

東日本橋 〜一見店のない街こそ名店あり! (居酒屋)

本日この街が、沈黙し始める時刻に沈黙し始める時刻に
一杯引っ掛け候。

赤提灯にときめく一杯飲みや好きであれば、
必ずといって良いほど持っているであろう自分だけの
「とっておきの店」。

蚯蚓のとっておきの一つに最近なっているのがこの店である。
薬研堀(やげんぼり)不動尊近くの中学校横にぽつんと一軒、
一杯飲み屋がある。
人形町と小伝馬町の間にある”半屋台”のおでんやの人の話を頼りに
行ってみた店である。

腰は曲がっていないもののおばあさんと呼ぶにふさわしい年回りの
テレビ好きおかんが二人。
一人は口の良くまわる接客上手のおかん。
もう一人は無口だけど背中で話が聞けてよく働くおかん。
このコンビは二人で一人の理想の飲み屋のおかあさんである。
接客上手の方のおかんは、人と店に来るとなんだか、申し訳ない気持ちになるくらい
よく話すのだがついつい聞いてしまう。

そんな店にもう暖簾をしまえば店じまいの7割も終えたという頃に、
店の戸をあけてしまった。
「終いですよね、、、。」と声を掛けたが、
「ちょっとでいいなら。食べるの?お腹すいてる?」
その一言は乾いた心の日だからこそここで一杯ひっかけて帰りたい
蚯蚓の緊張をほぐす。

「申し訳ない」と言いつつ何を頼むか悩んでいるところで、
「どんなのがいい?」とすかさず聞いてくれる。
すぐ出来るであろうポテトサラダとレモンサワーを発注。
山盛りが嬉しいし、何より旨い。

この店は”大皿料理”とか”おふくろの味”といった今や聞き慣れたフレーズが
店の美味しさを象徴する言葉となる前から、
否、そんな言葉とは無縁に、そして自然に”おふくろのつまみ”を出す店である。
そのため、ポテトサラダ以外のつまみも無論美味しい。
外は寒いので後は煮物を発注。

この店のサワーは下町の居酒屋が良く出すどちらかというと、
悪酔いしかねない類の酒だ。
値段から察するに、煮物に使っている野菜や鶏肉もそんなに上質なものでは
ないはずだ。
なのに、この店の出す酒も肴もやさしく、そして素材の味が活きていて旨い。

おかんにきくと「築地で毎日買ってるの・・・」とはじまって、
それで一杯飲める。
精神論のまやかしに酔ったりするのを嫌う天邪鬼な蚯蚓でさえ、
心からほぐされて飲める店なのだ。

この店は、老舗一杯飲み屋を”店の味”として売り出すこともある
今日の居酒屋事情とは一線を隔した純粋な一杯飲み屋である。
posted by 蚯蚓仙人 at 17:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 東日本橋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年02月06日

神保町 〜有名店の近くの気になる店 (刺身定食)

本日昼に刺身定食を食らう。

この店は蚯蚓がはじめて記事を投稿した神保町の天丼屋の真裏にある。
天丼屋を含め、この界隈は雑誌で紹介されたことがある有名店が隣接している為、
神保町の天丼屋から真裏へと続く、狭い路地を歩くと
元祖「半チャンラーメン」の店の行列を横目にその店へ行く事になる。

角に位置するこの店の昼のお品書きは3種類ほどで、中から刺身定食を発注。
店の風貌はカウンターのみの居酒屋というか小料理屋で、
この類の店にしては若目の主人が作りに取り掛かる。
刺身の切る手つきや早さがすし屋に劣るものの、魚の切る順番や保存の仕方が丁寧でいい。
盛り付けも綺麗で、イカなど花びら型にして盛り付ける為、実に美味しそうである。

神保町 刺身定食.gif

程なく完成した定食がきた。味噌汁を頂くと、蚯蚓の好きな赤出汁である。
刺身も赤身の鮪、白身の真鯛、鯵、イカ、ホタテなど多種の刺身を
堪能でき、白身など新鮮というより、少し時間のおいたものであるが、
保存の仕事がしっかりしているので、かえって旨味があっていい。

小鉢の水菜のおひたしも、醤油をかけることなくいただける。
また、茶碗蒸しも口当たりよくとろりとして、美味しい。
漬物も自家製のようで、小鉢や漬物の細部まで気を遣ってあるところが、心地よい。

素材や店員のサービスというものとは異なり、
定食の中に、「丁寧さ」というきめ細やかなサービスをこめている。
競争の厳しい神保町のしかも激戦区だからこれだけの質の良い定食を出すのか、
それとも主人のありのままの仕事の結果なのか不明であるが、
是非また昼だけでなく、夜にも足を運びたくなる店である。
posted by 蚯蚓仙人 at 12:57| Comment(2) | TrackBack(0) | 神保町 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年02月04日

両国 〜dancyu 万歳! 有り難う (ラーメン)

本日は両国駅からしばし離れたラーメン屋にて昼食を取り候。

雑誌dancyuが珍しく、ひょっとすると初めてラーメン特集を組んでおり、
その中の1件が、蚯蚓が通りすがりで入って好印象であった店を
たまたま掲載していたので思わず購入した。

人と食事に行くということもあり、早速dancyuを活用。
その中の1件、両国のラーメン屋へと足を運んでみた。
カウンターと4人がけのテーブル席ひとつの小さな店である。

海のものが好きな蚯蚓は、通常のラーメンにも入っている具の「アオサ」が
多めに入ったものを発注。ほどなくして「アオサ」入りラーメンが来た。
dancyu曰く、鳥で出汁をとったものらしいのだが、
確かにコクがありながら、すっきり感があり、しかし奥深い鳥出汁スープ。
何故か参鶏湯を連想させる。美味。

両国 ラーメン

最近ラーメンを特集した、もしくはそれをメインにした雑誌は多く刊行されているが、
他誌の再編集とも思えるつくりのものが多い中、
今回のdancyuの特集は丁寧かつ地域も広範囲で、編集者のプライドを感じた。
素材や産地にこだわった店を発掘することに躍起になっているように見える
最近のフードライターの傾向にはいささか賛同できない今日日、
”食”の追求として真摯に丁寧な取材をし、活字にし、楽しめる記事に仕上げた
雑誌dancyuには今後も期待をしたい。
posted by 蚯蚓仙人 at 00:00| Comment(3) | TrackBack(3) | 両国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年02月02日

人形町にて 〜グリル!ハンバーグを食す

本日早い夜にてハンバーグを食す。

’グリル’という言葉が似合いそうな雰囲気のこの店は、
ステーキなども楽しめそうな店である。
とはいえ、蚯蚓は洋食めいたものをマイブームとして人形町を現在徘徊中であるため、
ハンバーグを発注。
コースのようなものもあったが、余分に色々食べたい気分でなかった為、
ハンバーグとパンを単品で頼んだ。

店内はこぎれいで、主人一人で調理をこなし、奥さんと思われる女性がホールを担当。
ワインにこだわりがありそうなことに気付きグラスの赤を発注。
ただし、グラスの形状まで変えて出すほどまでのこだわりようではないが、
ワインを大事にしている印象は受けた。

パンが来た。普段みみずはハンバーグにはご飯を合わせて発注する事が多いが、
この店はかつサンドが開店からずっと変わらない、、とうたい大切にしている為、
ならばパンを発注してみようと言うことで、パンというかトーストを発注した。

ハンバーグが来た。まず目を奪われたのが付け合わせだ。
ポテトサラダはきれいな白色で、キャベツなども非常にきれいな千切りだ。
繊細な味付けで、なかなか美味しい。
ハンバーグ自体は期待ほどの肉汁感がないのが残念で、おそらく目玉焼きもいらない
と思うが、なかなか。

人形町 グリルバーグ

パンがうまく、かつサンド食べてみたいとハンバーグを食べながら思ってしまうのだから、我ながらタチが悪いが、次回来た際はかつサンドを迷わず発注してみたいと思った。
posted by 蚯蚓仙人 at 00:00| Comment(8) | TrackBack(0) | 人形町 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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