吾輩は蚯蚓である。夜を昼を様々な街に縦横無尽に出没するたくましい生き物である。
根っからの外食好き"蚯蚓"の食生態フードダイアリー。

2006年04月07日

東京・小伝馬町(居酒屋)〜元魚屋の居酒屋

本日夜に徘徊の末に入った居酒屋で
刺身つまみに冷酒を一杯引っ掛け候。

小伝馬町駅からそこそこ距離があるのだが、
天ぷらややら一杯飲み屋など、ガード下の雰囲気で小ぢんまりと
軒を並べる一画に本日の店はある。

馴染み客が殆どのこの店は、6,7人座れるカウンター席と
3,4人ほどのテーブル席のみの小さな店である。
入ると、このような店を営むには比較的若く感じる男性2人が
感じ良く対応してくれ、一人客の蚯蚓に色々と出してくれるように
取り計らってくれる事になった。

まずはビールで乾いたのどを潤し、刺身を頂く。
はじめの一噛みが、がりっとする、魚の身の新鮮さが
よくわかる切り身の食感から、この店の良さが伝わってきて、
久し振りの掘り出しものの店の感触を得た。
鮪やアマダイ等、ちょっと気の利いた刺身も甘味があったり、
脂が乗っていたりで、旨味があり日本酒を発注せずにはいられない。

小伝馬町 はじめの刺身.gif

小伝馬町 鮪など.gif

日本酒なぞも適当に好みを伝えて、あとは適当についでもらって、
気構え無く楽に引っ掛けられる。

店の方は聞くところに元は魚屋で、その甲斐あって、
いい魚を値ごろで提供できるそうである。

元魚屋と称して、小洒落た居酒屋で中途な魚を出す店は多いが、
ここはそういった飾り気は無く、その分安く全てを提供してくれる
いわゆる良心的な店であった。
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2006年03月27日

東京・上野(鰻) 〜粋な花見の心地とは

本日上野公園の中にある鰻割烹の2階座敷で、
花見を堪能し候。

東日本橋の行きつけの寿司屋の常連の方の計らいで
桜の見ごろなこの最高の時期に一席設けられた次第である。

2階の座敷は30人もの人間がゆったり膳に向うことができるほどの
広間で、2階ということもあって、
窓一杯に花を咲かせた桜の枝木が、まるで襖絵のように広がっている。

上野 桜.gif

この景色だけでも非常に貴重な一時であるが、
大勢の仕出し料理の割に旨い刺身やら小鉢と、
着物姿が板についた仲居さんの酒の酌と客あしらいで、
花も団子も甲乙付け難いまま、宴は一層盛り上がっていく。

上野 つきだし.gif

朱塗りの膳に品良く盛られた鰻の蒲焼は、
小ぶりの江戸前風のものであったが、風味はほどほどで、
こればかりは本店で一度きちんとしたものを食べなければ
なんとも言いがたいところである。

とはいえ、一席に参加した江戸っ子の面子が一芸に秀でた面々で、
三味線など弾いて唄をさらりと流してみたりといった、
玄人が素人の真似ごとをするから、どうにも高級な時間が展開し始める。
満開の桜と三味線と玄人の唄と来れば、誰もが思い描く
粋で極上な夢心地の花見である。

「腹の立つときゃ、茶碗酒〜」と洒落た唄なぞ説かれてしまえば、
やんややんやと調子も出てきて、今度は蚯蚓を含めた素人の
面々が玄人の真似事を始めてしまう始末。

〆においても、趣深い本物の締め方で、しっかりしめる。
言葉の貧弱な蚯蚓では到底表現し得ない粋な正式の「締め」である。

食事という観点からいくと仕出し感は否めないが、
やはり花見はその一時を共にする面々であると
深く感じた極上の粋な時間である。
想い出を刻むべく今回は私事の比重の高い表現となるが、
記事を投稿させて頂いた。

posted by 蚯蚓仙人 at 22:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 上野 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月27日

東京・淡路町(鳥鍋)〜座敷で広げる鍋の心地

本日夜に、老舗鳥鍋屋で一杯引っ掛け候。

そこは鳥鍋しかない店である。
以前記事にした森下の馬鍋と同様に、鳥鍋およびそれに付随するもの、
〆の飯、漬物、酒類のみである。

日本家屋の心地よい間口から一歩中に入ると、
仲居さんが人数を確認し、奥へと通される。
今回、蚯蚓は2階の大きな座敷部屋へと案内された。

連れと二人で来たが、大きな座敷で、
隣の人との空間を分けるためのつい立など一切無い。
大きな座敷、広がる廊下、昔の引き戸風の木枠の窓。
欄間も簡素であるが、その景色、客、全てがあって初めて、
この空間が心地よいものとなる。
つまり、無関係な客の話し声も心地よいのである。

最初の瓶ビールを発注するやいなや、
既に頃合の熱を発する炭火の七輪に鉄鍋が置かれる。
ここからは仲居さんが手際よく、持ってきた鶏肉などを
鍋に並べ、じゅわっとタレをかけて、去ってゆく。
この作業を眺めつつ、山椒の利いた鮪の佃煮でビールをあおる。

淡路町 鳥鍋.gif

さて、喉も潤った頃に早速鳥肉が白っ茶けてきて、
たまらずまずは卵にからめて一口。
老舗ならではのタレの甘辛さと、地鳥とは異なる鶏の優しい
でも甘味のある肉質が感じられる美味しさを
七輪の炭の香りと共に噛みしめ、そこでビールを一口。

ここからは順に葱やら白滝やら焼き豆腐を楽しみ、
次いで、つくねを仲居さんが入れて出来上がった頃に、
また箸を伸ばすといった具合に調子よくどんどん
ビール、鍋、ビール、鍋と、食指が進む。
このつくねが絶品で、最近多いふんわりとして、
柔らかいものとは一線を画した、鶏をミンチにした
噛めばかむほど旨味の出てくるむっちりとした肉からなる
団子で、一度ほおばるとはらりと崩れながらも
噛み終えるまでの時間が長く、心地よい。
ハツもまた然りでともかく噛むほどに旨い。

淡路町 鳥鍋皿.gif

最後は親子丼ということで、少し残した赤身を
鍋に入れて、一通り火の入ったところで、
ざっと卵を流し入れ、おひつに入った飯をよそい、
好きなようにかけて召し上がれと言って、去っていく。

この頃になると大分腹が膨れているのだが、
この見た目の旨さと確かに美味しいどんぶりに、
予定以上に飯を頂いてしまう始末。

個室の飲み屋が増えている昨今、天邪鬼な蚯蚓としては
このような店に好んで入りたいところである。
人は他人にさらされ、店の人のしゃんとした姿、
そして端正な部屋の造りを前にして、
誰もがそそと心地よい一杯に興じない事は無いからである。

今度来る際も気の置けない連中と共に実直な鍋に向かい、
その空気の心地よさを供したいと感じた今日この頃である。
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2006年01月09日

更新再開のお知らせ

ご愛読いただいている皆様

寒中お見舞い申し上げます。
まずは諸般の事情により冬期記事の更新が滞ってしまったこと、
深くお詫び申し上げます。

記事につきましては日時が前後いたしますが、
12月末の特別編からスタートし、
昨年初冬分の記事と平行して1月以降の新規記事の投稿に努めますので、
変わらぬご愛好とご協力を宜しくお願い申し上げます。

尚、記事が1月9日以降に更新されましても、
この「更新再開のお知らせ」以前の日付で記事を表示するため、
トップはしばらくこのお知らせが最初に来てしまいます。

スクロールもしくはカレンダーで新着記事をチェックしていただく
お手間をかけます事、重ねてお詫び申し上げます。

蚯蚓仙人
posted by 蚯蚓仙人 at 01:34| Comment(0) | TrackBack(0) | お知らせ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月31日

特別編・イタリア 〜蚯蚓イタリアへ行く3

本日まずはホテルで軽く朝食を食す。
ナポリからの小旅行気分を愉しむため持参した
クレメンティーニ(種無しオレンジ)やホテルのサービスジュース、
ナッツ数粒ほどを2階のテラスからの景観が心地よかったためそこで頂いた。
クレメンティーニはオレンジにちかい小ぶりのみかんであるが、
果実風味が濃厚で、2個も食べると十分柑橘類を頂いた心地になれる
実に素朴で美味しい果物である。

朝食後、ホテルにクリスティアーナが車で迎えに来てくれ、
早速オリスターノの街中散策へ向かう。
ホテルは厳密にはオリスターノ郊外に位置しており、
刈り取りの終わった麦畑の広野を抜けて街中へ入る事になる。

ホテル朝食.gif

昨日分に記載していないが昨晩夕食の前にクリスティアーナ家を訪問しており、
その際、この島の食べ物の話をした。
有名どころは勿論ボッタルガ(buttariga)で、南部では鮪のボッタルガ、
北部では日本と同じボラのボッタルガを作るらしい。
(鮪のボッタルガは次回この島を訪れるときの課題となる。)
ボッタルガの作るところは見られないか相談したところ、
秋口に全て作業は終わってしまっているらしく次回はその時期に訪れ、
鮪、ボラなど一気に体験したいところである。

その他、名産というわけではないが、サボテンの実をサルディーニアでは食べる
やらヤマモモ(corbezzolo)も食べる、ということで、
それらを食した事の無かった蚯蚓はどうにかしてそれを食べられないか、
クリスティアーナに相談していたのである。

ヤマモモについてはクリスティアーナは市内近くの民家になる木を
見せてくれ、2〜3粒失敬して、頂いた。
渋みと木苺のかすかな風味、酸味、甘味はうっすらと粒の食感が楽しい
ヤマモモをその場で堪能。

ヤマモモのタ.gif

サボテンの実については街中への道中たまたま公園のような雑木林の
脇を通りかかった際、サボテンに季節外れの赤い実がなっているのが
わっと目に飛び込んできた。
すかさず、車を降り収穫。その場で味見したいところであったが、
後での楽しみとした。

サボテンのタ.gif

街中に出て、スーパーマーケットへ。
生鮮食品は日本と同様専門のブースで魚専門の職人が、
氷を敷き詰めたところに鮮魚を並べ、実に美味しそうである。
アンコウや海老、イカ、塩ダラなどこれまた魚も日本と酷似した魚を
彼らは食しており、刺身を売らないものの、
この店の雰囲気は断片的に日本を髣髴とさせる。

肉や野菜も内容は日本と異なるもののほとんど日本と同じであるが、
野菜も基本は量り売りで、消費者がビニールに入れて計測し、
値段とバーコードの記載されたラベルを袋に張る。
日本のほうがむしろその辺りは1個というくくりで済ましてしまうため、
アバウトといえよう。

本日は大晦日とあって、祭日前のスーパーは大混雑。
従ってレジには大変な行列ができていた。
しかし、ここはゆったりした生活を送る西洋人、いらつくことなく
列を作って待つ。
こういった行列を作ってまで待つことを
敬遠する人種なのかと思っていたが、飛行機のチェックインやら
美味しいお店に入るために待つといった時に、
諦めずに並んで待つ「しつこさ」は日本人とさほど変わりないようである。

石造りの街並みはミラノ、フィレンツェ、ナポリと同じである。
強いて違いを言えば、あまりナポリのような高い建物が無いということや、
ミラノやナポリの一角には日本でよく知られる有名ブランド店が
表参道や銀座の如くに林立しているがオリスターノにはそれがなく素朴で心地よい、
という程度で、基本に変わりは無い。

散策の極めつけはクリスティアーナの好きな日本のマンガショップへ
どうやらイタリアの南部のほうは日本のマンガがブームらしく、
マンガショップに限らす、駅の売店などイタリア語訳されたマンガを
高頻度でみかけた。
このようにして午前中の散歩は充実した街歩きを堪能した次第である。
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2005年12月30日

特別編・イタリア 〜蚯蚓イタリアへ行く2

旅の第2日目、ナポリの朝は夕べの雨が嘘であったかの如く、晴れ。
窓を見下ろすと、魚屋と野菜屋だけは朝っぱらから
店を開けていて、街が動き出し始めていることをぼんやりと眺めていると
いよいよカフェ(エスプレッソ)の香りが漂ってきて、朝食である。

DSCF0145.gif

フェンネルなどスーパーで購入したものであるが、
日本のセロリ程度の値段で手軽にいただけるとあって、
この旅で最もよく食べたハーブである。
日本では人参の葉ような細い葉の部分を香草として用いるのを
よく目にするが、イタリアでは茎の基部が、玉葱の如く
白く丸くふくらみ、食感はチコリーとセロリの中間の歯ざわり、
風味はフェンネル独特のアニスの香りがして実に美味しい根菜である。

モッツァレラチーズはスーパーで買うとそれなりで、
日本の店で買ったものと大差が無いが、
パンはナポリのどこでも粉の風味が感じられる素朴でありながら、
うまいものである。
この後鳥を丸ごと煮た旨味たっぷりのスープを頂き、
朝からしっかり食事を摂る。

食後に知人が、この家の住人の食べるナッツを勧めてくれた。
これが今回の旅で、初めて知る特筆すべき食の1つとなったのだが、
ナッツを”ナッツ割りバサミ”のようなもので割り、
時には干しイチジクと共に食べる。
中でも蚯蚓が気に入ったものはどんぐりの実で、
マカデミアナッツほどではないが脂肪分を含み、噛むほどに
よく漬かった醤油にんにくの風味のようななんとも独特の
美味しさを有する。
またさらに、これを干しイチジクに軽くはさみ頂くと、
今度はイチジクの甘味と風味とが混ざって、
プロシュートを食べているような感覚にさえ陥る。
干しイチジクも日本に入る大半の中国産のものより、
しっとりしていてイチゴのような風味があるため、
これを単体で頂くのもなかなか。

プレートにざっと敷き詰め、割バサミ等と一緒に置きかごの蓋がされて
食卓の脇に置かれており、日本のコタツの上のみかんの
ように口寂しい時や食後に頂くのであろう。

DSCF0146.gif

腹ごなしに近くを散歩をすると先ほど窓から見えた魚屋には
鰻が水槽で意気揚々と泳いでおり、これは一般家庭でどのように
食されるのだろうかと気になりながらもすぐに部屋へと戻り、
早速、サルディーニア島へ知人と出発した。

島へはナポリの空港から2時間弱で着く。
空港では知人の友人のマウラがサプライズで出迎えてくれ、
空港から北西に位置するオリスターノという街へ向かった。
途中、蚯蚓の顔ほどの大きさのサンドイッチを頂き、
たった数時間でアメリカに来てしまったのかと思ったが、
食べるとチーズはさほどでもないが、パンとハムがうまい。

DSCF0170.gif

知人の関係上、ここでも臨海実験所に立ち寄っえたのだが、
そこで、今回の旅で一番お世話になったクリスティアーナとも合流。
マウラとは1月1日の夜に食事でもしようということで別れ、
雨の降り始める夕方ごろに本日泊まる宿へと
クリスティアーナ、クリスティアーナの友人のアレッサンドラ、
知人、蚯蚓の4人で向かった。

夕食には早い時間ということでホテルで一休みし、現地時間の8時ごろ、
歩いていけるお勧めのリストランテへ食事をしに向かう。
エントランスは照明など実に温かみがあって居心地がよさそうである。
中に入ると、左手にブッフェ形式でアンチパストが並んでいる。

DSCF0176.gif

アンチパストを盛り合わせにして、ワインを発注。
クリスティアーナやアレッサンドラは十分に酒を飲んでもよい
年頃なのだが、夜だろうと昼だろうと飲まないらしい。
ということで、知人と蚯蚓で一本を飲むことになる。

サルド特有のパンの原型とも言える薄いトルティーヤ風のパンを
ボッタルガ入りのパテをつけながら頂き、待つ。

DSCF0178.gif

「このパテにはボッタルガが入っているから是非ためしてみて」
とか、「何人なのか?」など、ざっくばらんに店の人と会話する間に、
アンチパストが続々運ばれてきた。
さらに4人分盛られていて、それを好みで忙しく己の皿にめいめい取り分ける。

DSCF0179.gif

あめ色の銀杏のような見た目をしたチッポリーナ(CIPPOLLINA)は玉葱で、
玉葱特有のカラメル化した香ばしい旨味とマリネされた柔らかい酸味が
心地よく、カラメル化させたときの油分が程よく旨い。
ナスもまた然りで、旨味が苦味になる直前の火の入り具合と、
油分で旨味十分な美味しい一品。

サーモンや蛸はレモンでマリネされているのだが、
イタリアの皮の分厚い素朴なレモンは酸味より果実の風味が
強いのでその美味しさが品と化して、美味しくいただける。

ムール貝のグラタンはボッタルガがこれまた混ざっているので、
風味と旨味がしっかり来て、しっとりとして美味しいのだが、
どちらかというと冷えてしまっていて、常温で食べたかった一品。

そのほか、どの皿にもサルディーニア島の地場の素材が
入っていて楽しめた。

次に、パスタやメインをというときに、
昼に頂いたパンを悔やむほどに既に腹が満杯で、
マナー違反であるが、アンチパストのみでその他全てを飛ばして、
ドルチェへ。

チーズの入ったパイに蜂蜜をかけ、
サンブーカのようなものをかけたドルチェは、
表面の蜂蜜の風味と中に入ったレモンの風味が混ざって、
そこにチーズの塩気と伸びる乳脂肪分がパイ生地と
よくあっておいしい。

結局、深夜ホテルへ戻ることになったが、
サルド特有の食探しの旅の第一日目としては
かなり満足のいったものであったと思いつつ、床についた。
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2005年12月29日

特別編・イタリア 〜蚯蚓イタリアへ行く

本日より知人を訪ねにフランス経由で、
一路イタリア・ナポリへ渡航し候。

ナポリへは2年ぶり、2回目の訪問である。
現地29日午後、空港で数ヶ月間ナポリに滞在予定の知人と落ち合い、
早速市街へバスで向かう。

石造りが基本のヨーロッパの景色は異国情緒たっぷりで、
これだけでも日本のことなど忘れてしまえるほどである。

ことに天気に関しては山の天気の性質をもっているようで、
夕方ともなると、断続的にわか雨が石畳の地面を濡らし、
街の風景の匂いや音、景観に重要な役割を果たしているように感じる。

橙色の市街バスを乗り継ぎ、目的のバス停で降りると
定石どおり、早速の雨である。
不精で傘を持たない蚯蚓は帽子を被っていてこれ幸いと、
足早に海沿いの公園内にある臨界実験所へ向かい、
以前お世話になった方に軽く挨拶を済ませ、
早速知人と旅の疲れを癒す食事へと出掛けた。

さてどこに食事しに行くかという時に、
結局雨も降っていることだし、近場でお勧めの店を
先ほど軽く挨拶したイタリア人にたずねる事にした。
かなり場当たり的にみえるが、彼の実家はフォッジャ(FOGGIA)というイタリア東側の
街にあり、そこで以前彼の自慢のマンマ料理を頂いたところ、
普通のリストランテ顔負けの郷土料理を頂き、舌の信頼度は高いのである。

「美味しいピッツェリアを教えてくれ」という問いに対し、
彼は「Pizza Margehrita」という店が美味しいと紹介してくれた。
しかし、ナポリピザといえば、「マルゲリータ」。
その名前をそのまま店の名前にしてしまうのはあまりにも安易ではないか、
という疑念と「近場で」という妥協した自分への瞬時の判断の後悔が
渦巻きながらもいざ店へ。

店構えは石造りの建物も手伝って、実に良い雰囲気であり、
いささか不安が解消され、いざ店内へ。
お勧めのマルゲリータのDOCブッファラ
(モツァレラチーズが水牛のもの)と鰯のマリネとワインを発注。

DSCF0142.gif

残りの不安は出された皿の香りと共に解消された。
ふんわりと焼かれた生地はもったりとして心地よいバジルの香りを放っている。
ナイフとフォークでピザ生地を切り分けいざ一口。
水牛のモツァレラチーズの旨味とさわやかなコーンのような香りを放つ
生地が食べるほどに口の中で混ざり合って、粉の甘味を感じる美味しい
”炭火の香り漂うもちパン”と化す。
ここにトマトの言うまでも無い美味しさが協同して率直な美味しさを
感じさせるピザであった。

DSCF0140.gif

気分良く食事を終え、一路、寝処へ。
今回は知人がお世話になっているイタリア人のお宅に、
さらに1匹ご厄介になるという次第で、ナポリの一般家庭で荷を解くこととなった。

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2005年12月11日

東京・幡ヶ谷(中華)〜薬膳中華の旨さたるや

本日夜に久しぶりの薬膳中華を頂きに幡ヶ谷へはせ参じ候。

ストップをかけるまで、お任せで小皿を出す
有名な薬膳中華料理屋である。
駅の地下飲食店街にあるこの店は、人気店のせいか、
店の外にまで机を出して客を入れる活気ある店である。

中に入ると広い厨房に腸詰やら脚だの何だのがぶら下がり、
ひげを少し蓄えた姿勢のよい紳士風の男性が鍋を振る。

飲み物のみを発注し、皿が出るのをしばし待つ。
一皿目は定番のユリの蕾の炒め物である。
インゲン豆のさやの部分の心地よい香りや
火を入れた野菜の甘い旨味がするユリの蕾が、
動物脂のふんわりとした香りに包まれて美味しい一品。

DSCF0022.gif

イカとレモンの炒め物もレモンの皮のほろ苦い香りが
印象的なさっぱりといただける一品。

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鹿のハツとセロリ、葱の炒め物はオイスターのような
XO醤のような旨味と香りが心地よく、
食感良くいただける一品。

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海老団子の湯葉炒めもとろみのついた醤油風味が
湯葉によって柔らかみをもち、揚げた海老団子に
絡み付いて旨味十分でいただける一皿。

DSCF0025.gif
 
特筆すべき料理の最後は鹿肉の揚げ焼き。
ナッツの衣で揚げた鹿肉は水分が抜けぬまま、
ほっくりしつつ、外のナッツ系の香ばしさと食感で、
楽しくおいしく食べる事が出来る。
数切れはそのまま食べて、口が飽きてきたら、
手前の中華山椒と塩を軽くつけて食べるとまた食が進む。

DSCF0026.gif

ついつい次に何が出てくるのかという期待感で、
もう一皿食べてみようとなってしまうが、
最後に食べるクロレラ麺の量が非常に多いので、
ここでストップ。
とはいってもこのクロレラ麺を待つ間に、
どんどん腹が膨れて出されたころには、どうにもならず、
軽く口をつけた後に頭を下げて、包んでもらうことにしている。

DSCF0027.gif

最近ジビエブームなどで鹿肉を食べることのできる店は増えたものの、
お任せとはいえ、薄味のものからだんだんしっかりした味へ
シフトさせるなど、見えない心遣いをしつつ、
鹿素材を中華料理として出すところはまだ少ないといって良い。
炒め物が比較的多いので、毎日という気持ちにはならないものの、
また頃合をみて、食材を堪能しに来たいと思った今日この頃である。
posted by 蚯蚓仙人 at 13:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 幡ヶ谷 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月22日

東京・人形町(甘味)葛餅と書かぬ久寿餅とはこれ如何に

本日珍しく甘味処へ入り候。
甘味を普段食べない蚯蚓には見慣れない張り紙が、目を惹いた。
「久寿餅始まりました」とは、「くずもち」なのだろうか。

紙.gif

小腹も空いていたのと、店の扉の硝子の雰囲気が良かったことから、
入店することにした。
店には想像以上の客がいるのと、店の雰囲気が実に心地よいことに
はっとさせられる。
大きくて毎年張り替えているような白紙の障子で店横の大窓は目隠しされ、
机や椅子を見ても組んだもので、すり減った机の足には畳まれた紙が
がたつかないように差し込まれていて、何気ない心遣いが、垣間見れる。
火鉢の上の鉄瓶からは常にやんわりと湯気が立ち、
その湯で茶を出してくれるのも嬉しいところ。

周りの客は随分とあんみつを発注するので、気になったものの、
今回は「くずもち」と小声で、発注。どうやらくずもちでいいらしい。
暫くしてものが来た。
鮮やかな鶯色の粉で、きな粉のものより食指をそそる。
一口頂くと、よくあるものよりもほのかな酸味の滋味深さや
心地よい米ぬかのような香りがきてなかなか。

人形町 くずもち.gif

粉や蜜のどっしりとした甘味はやはり茶がないと蚯蚓にはしんどいところであるが、
この餅との相性はよいのが蚯蚓にも感じられる。
その名前の由縁が気になるところであったが、今回はあまりの店の居心地の良さに
途中で探求心も飛んで、ゆったりと過ごしてしまった。

人形町には色々な和菓子屋が数多くあるのだが、
店の外からもその牛皮の品良い香りが漂う「寿堂」が蚯蚓の中では
圧倒的な美味しさという印象があった。

しかしながら、甘酒横町にあるほうじ茶の店の甘味のパフェに乗っている最中の
旨さや今回の店の心地よさなど、さすが古くからある街というものを甘味から
感じずにはいられない。

不勉強であまり知識のない甘味の世界であるが、
次回この店を訪れる時は、気になる人気のあんみつを発注し、
久寿餅の名前の由来を確かめたいと思った今日この頃である。
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2005年10月15日

東京・人形町(うなぎ) 心地よく食える鰻とは

最近鰻重に魅了され気味の蚯蚓は好んで鰻重を食らうことが多い。
というのも、日本橋、人形町界隈に鰻屋が結構あるのだが、
それらはタレに店なりの工夫があったり、仕入れの鰻の性質が異なったりで、
一見すると同じに見えても、個性があり、それぞれに旨味があると
鴨南蕎麦の時のように感じたことから端を発している。

本日は人形町の比較的水天宮寄りの界隈で営む鰻屋で鰻重を頂き候。
藍色の長い暖簾は雰囲気があるが、それ以外の建物はなんとも簡素で
いささか味気がない。
しかし蚯蚓が街を徘徊中にその店から漂う香りが何とも良くて
時を見て入ったのが今日という次第である。

店は主人とちゃきちゃきっとした奥さんと若いのが一人。
早速、値頃なお重を発注。
はじめにお茶と漬け物が来た。

堅く水を切った白菜の漬け物は、相当の古漬けで旨味と酸味がひねていて心地よい。
お茶とでうっかり全て食べてしまいそうである。

そうこうすると鰻を一度タレにつけて芳ばしく焼き上げる香りが
店中を漂い始めて、そうすると奥さんがきも吸だの飯の支度を手際よくして
そこからはあっという間にお重が運ばれてくる。

人形町1丁目 鰻重.gif

早速一口。鰻重はこの一口目が普通の食事以上に心地よいのだが、
香ばしさ、程良い甘辛さ、ご飯の雰囲気のバランスがとても安心する味。
軽く山椒をふって、気持ち厚めの皮目の脂身が一層の旨味となって
どんどん頂ける。

タレを直接飯にかける店は多いのだが、ここは軽く飯にまぶすだけなので、
口が疲れにくく、また、古漬けやら、旨塩濃い肝吸いなどと平行して食べると
また一興で、最後までかっこめる。

この鰻重の魅力は素材の良さとか備長炭を使って焼くから旨いといった類とは
若干異なる印象を受ける。
勿論炭火で焼いているのだが、それよりもうなぎ専門店ならではの主人の腕がなせる、
バランスの良い鰻重で、食べ飽きない美味しさがあるように感じられる。
今後も色々な鰻屋を記事にしていきたい蚯蚓であるが、またここも時折
食べに行きたいと感じるこぢんまりとした飾らない店である。
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2005年10月13日

東京・六本木(居酒屋) 〜六本木のネオンに負けない赤提灯

本日夜に六本木で一杯引っ掛け候。

六本木のアマンドに程近い界隈に、一軒隠れ家風の一杯飲み屋がある。
赤提灯と下に書かれた看板の文字の書き様に惹かれ、
誘蛾灯に引き寄せられる蛾の如くに、笹の小道を進んで奥にある店へと
足が勝手に向かって行った次第である。

六本木 マ込みや入り口.gif

中は京成立石やら新宿の思いで横丁に劣らない枯れた飲み屋で、
とりあえず、酎ハイとモツ煮を発注。
程なくしてモツ煮が来た。
味噌仕立てといっても、甘辛い、どちらかというと七味より
黄色いからしの良く合う煮込みで、
一口食べると肩を張らずにほっとする心地に切り替わる。
塩らっきょうも大降りで辛くてなかなか。

六本木 モツマ.gif

本日は店の閉店時間に近いタイミングで来店したため発注しなかったが、
焼きものも炭火で焼いているようで、
非常に興味深いところである。
何より、六本木という街を笹の小道を通る間に忘れさせる
この店の造りに魅了された。
今度この店を訪れるときは、焼きものを目当てに来てみたいところである。
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2005年10月11日

東京・築地(カレー) 早朝のにぎわいこそ活力な場のカレー

本日早朝より人に連れられ築地に出向きカレーを頂き候。

築地市場は学生の時分から行った非常に思い出深い場所である。
ことに場内の早朝の場内のライトのまぶしさが赤提灯の様だったり、
ひき殺されそうな車と人の往来がなんとも祭りのようで、
行った後はなんだか緊張の糸が切れて心地よい疲れが襲ってくる。

ふらふらと場内まで行っては朝8時の終わりかけの鮪屋からトロを買うのが
蚯蚓の好きな行事なのだが、本日はこの場内にあるカレー屋が旨いという薦めで、
カレーのみを堪能しに来た次第である。

店へ入ると手際よく客を誘導する威勢の良いカウンター内の兄貴が案内をする。
気持ち早朝で働かない頭でメニューを見るも、結局薦めのカレーと
ハヤシのあいがけを発注。
程なくして皿が来た。

築地 あいがけ.gif

見た目良く高く盛られたキャベツはあいがけを発注すると付け合わせで
ついてくるもので、より一層皿の食指をそそる。
混ぜないで食べた方が良い、という気の利く兄貴のアドバイスもあって、
ハヤシから一口。ドミグラソースのコクと言うより素朴なトマトの旨味が心地よい。
口当たりは気持ちさらりとした印象もあるのだが、一口目がうまい。
カレーはターメリック感が昨晩飲んだ蚯蚓の体にじわりと効くような
印象を受けるが、これも一口目がうまい。

食べるほどに朝という食べ慣れない時間帯に己が飯を大量にかっ込んでいる心地が
出てきてしまい、いささか勿体ない気分もあるが、
その早朝から活気ある中で、気の利いた兄貴のてきぱき仕切る店で、
食らいつくカレーは活力そのものを食っているようである。

正直築地界隈は現在街おこしの関係もあってか、
休市場日も営む場外の寿司屋など出てきて、気持ち観光地化してきた雰囲気も否めない。
勿論ある程度一般人が出入りできるようになったからこそ、
蚯蚓もこのように場内のカレー屋で写真を撮ることが出来るのであるが、
本来この市場の食堂を常用する人々のところに、このように入って良いものか、
悩むところである。

東京に住む蚯蚓としては飲食を楽しむだけでなく、
生活の上でもこの築地市場界隈は必要であるという心持ちで、
平日早朝にできれば場内、もしくは場外で買い物をして、活気を貰って、
そのついでに腹が減れば、空いた店で飯を食らうという様な、
この場所の時間軸から逸脱せずに、
界隈風情を時折楽しませて貰いたいと感じた今日この頃である。
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2005年10月07日

東京・京成立石(鳥専門) 半身丸揚げの唐揚げの心地

本日夜に鳥専門店で一杯ひっかけ候。

この店商店街沿いには生肉屋の面もちで建っており、昼間通ると全くもって
その存在に気づかないのだが、夜の提灯に灯がともる時分になると、
その脇の入り口の障子から漏れる明かりで、
はたとここが飲み屋もやっていることに気づく、何とも風情のある店である。

畳敷きの小さな机の並ぶ店は、威勢の良いおかみさん数人で手際よく回しており、
店に入ろうものならすぐに、「こちらへ」と、案内される。

すぐ唐揚げの種類をきかれるが、それは鰻の如くに単に大きさの違いで、
小食な蚯蚓は、否、大食漢でない限りは皆小さい方を発注する。
その他好みで刺身など発注するが、
本日のんべいな連中4人で連れ立って、空腹で目移りするものの、
食後を経験したことのある連中なので、ともかく控えめで発注する。

手際よく皮目の煮込んだお通しが出て、ビールをあおっていると、
刺身やら漬け物がさっとでる。
そして、ビールを2〜3杯飲んだ頃いよいよ唐揚げが来た。

京成立石 鶏から揚げ.gif

ぷってりとしたもも肉のみならず、手羽先、首の骨などまで付いた
その唐揚げの姿はなんとも圧巻である。
いつも忘れてしまうこの鶏のばらし方をおかみさんに教わりながら、
もも肉、手羽、足先、首といった具合にばらして、
骨張っているところから熱い内にばりばりと頂く。

普通ではちょっと無理かと思う肋骨など、ざくざくとかみ砕いて、
おいしく頂ける。時に濃厚なレバーの風味も骨身から感じながら、
皮目に擦り込まれた塩気と鶏肉の旨味と部位を変えるたびに
ぐっときてはビールで口をなおして、また味わってはビールで休めてと
ここからは会話も減って夢中で食べるようになってくる。

お通しを少し残して付け合わせのキャベツの千切りにかけて食べると旨いのだが、
その頃になると、少し低めの机に前屈みでいる自分の姿勢をいったん正して、
更にもう一度、背筋をぐんと伸ばしたくなる程に満腹感が襲ってくる。
それとともに空腹でありついたビールがじんわり効いてきて、
腹一杯、ほろ眠さが襲ってきて、いよいよ帰ろうかという気持ちになる。

蚯蚓はこの店に来るときは、大抵この一軒で終わる。
それは食べた経験のある人にしか感じ得ない満腹感、満足感なので、
是非一度この心地よい感覚を試していただきたいところである。
飲んべえをとことん魅了する店の多い京成立石の中でも、
この街の飲み屋を知っていると言うには外せない有名な良店である。

この店の場所はこちら


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2005年10月05日

東京・六本木(蕎麦) 〜実直なおかめ蕎麦

本日夜に人に誘われて、六本木にて蕎麦を頂き候。

1階はいまどきのバー風の店が入っていて、
一見すると蕎麦屋などありそうに無い印象を受けたが、
連れられるままに、そのビルの階段を上るとその店の入り口が現れる。

中は想像以上に広く4人がけのテーブル席や座敷席などゆったり座れ、
客が少なかったせいもあるが、静かで良い。

メニューを見ると、とろろの蕎麦やら、
磯辺揚げがあり、なにやら山芋の旨そうな雰囲気が漂うので、
好物の玉子焼きと共に山芋のづけを発注。

ビールを引っ掛ける間に運ばれてきた。

六本木 しょうゆいも.gif

短冊状に切られた山芋は醤油の潮っけの香りが心地よい一品。
しゃくしゃくと噛み解くほどに、とろっともったりとした食感がきて、
日本酒でそのほどける食感を断ち切り、また一口。
ちびちびやるのにうってつけである。

三つ葉のおひたしやら、玉子焼きやら頂くうちに話も弾み、
そろそろ〆の蕎麦を発注しようということになった。

暖かい蕎麦もあり、毎度の鴨なんばんと思ったが、
季節物であることをきちんと守って、今は鳥なんばんのみとの事。
代わりに頂いたつまみの旨さから、おかめそばを発注。

つまみも酒もいよいよ切れる頃におかめが運ばれてきた。
椀に顔を寄せ、クンと香ると具と蕎麦の間に敷かれる海苔の香りが
出汁の醤油の香りと混ざって実にほっとする。
その心地に引っ張られて思わず汁を一すすりしてしまう。

六本木 おかめそば.gif

想像を裏切らない具の美味しさ。
かまぼこもほどよく出汁の水分を含み、温かさにより、
魚の身の香りも発って、むっちりした食感が来た後に
嫌味な塩気もなく蕎麦へ向かうことができる。

麺自身は半生のような食感で、
派手な香りの発つ類ではなく、地味ながらも全体のバランスの良い
きれいな一杯という印象。

新そば、鴨なんばんの始める季節を尋ねたところ、11月ごろとのこと。
またその頃に食べに行きたいという気持ちにさせる
六本木という街の雰囲気とは裏腹な背伸びをしない蕎麦屋であった。


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2005年10月03日

東京・千歳烏山(とんかつ) 〜衣も旨い肉厚とんかつ

本日夜にとんかつを食らいに出向き候。

この店、蚯蚓は幼少の頃から馴染みのあるとんかつやである。
久しぶりに訪ねたところ、店のつくりが変わっていて、
昔はテーブル席があったのだが、カウンターのみになっており、
一瞬店主が変わったのかと不安にかられた。

味を確かめようと盛り合わせを発注。
発注してから肉の下処理をして衣をつけて揚げるのも全て見られ、
さらに不安は募る。
というのも、昔は調理場が見えない造りをしていて、
皿が出てくるまでに時間がかかっていつも謎に包まれていたのだが、
その理由が今正に目の前で解き明かされており、
食い入るように眺めてしまった。 

そうこうするうちに、白飯がよそられ、汁物が出され、
いよいよ盛り合わせが来た。

千歳烏山 かつ盛り合わせ.gif

ひれかつはまん丸としたみずみずしい肉厚なもので、
がぶりと食べると、さくっとしっかりした衣に卵の風味が見え隠れする。
ここに肉の旨味がふんわり押し寄せて、この一口で、
カツ丼の卵とカツに出汁ではなく肉汁が薄くかかったものを
ほおばったような感覚に陥る。

エビフライも海老の香りと旨味が引立つおいしい一品で、
コロッケも独特のタネの味わいをしていておもしろい。

主人は一言二言しか話を交わしただけでは蚯蚓と同様の天邪鬼に感じるが、
よくよく話すと非常に実直でいて、おもしろい。
聞けば独学でこの店のとんかつにたどり着いているらしい。

結局店のつくりが変わっただけで、料理人は変わっていないこともわかり、
ほっとした上、また食べたくなるとんかつを
己の記憶の引き出しの中から久しぶりに堀り起こせて非常にうれしい限りである。
今度来るときは肉の旨さを堪能するために、とんかつを発注したいところである。

この店の場所はこちら
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2005年10月01日

東京・六本木(蕎麦) 〜うむどんとはこれ如何に

本日六本木ヒルズにて夕食を頂き候。

蚯蚓の知人が懇意にしている蕎麦やへ本日出向いた次第である。
本店は柏にあり、現在は箱根に支店がある。
もう昔に閉店してしまったが、かつては恵比寿にも支店があった
静かな有名店である。
数寄屋橋次郎の支店もあるこのゾーンの店は、
巷で一世を風靡した旨い店ということで、意地悪く言うと、
六本木ヒルズの話題の一つとして、半ば強引に出店を強いられた一画と
言っても過言ではない。
とはいえ、蚯蚓は運良くこのヒルズへの出店前に、人に連れられて、
神田のパイ屋、茅場町のてんぷら屋などオリジナルの店を訪ねており、
非常に親近感の沸く一画とも言える。

今回は、蕎麦屋といいつつうどんが美味しいという、
この店に馴染みのある知人の勧めで出向いた次第である。

店へ行くとビールで軽く喉を潤しつつ、豆腐の味噌漬け、
あら挽きのそばがき等、つまみを知人のお任せで発注。
酒と共に皿が次々と来た。

豆腐は麹に漬けたものや粕に漬けたものなど、舌触り、風味が異なる
酒のあてに最適の一品。

六本木 とうふつきだし.gif

特筆すべきはあら挽きのそばがきで、ぷっくりふわっとしつつ、
とろっとしたそばがきは、甘味と蕎麦の風味のしっかりした
味わいがあるにもかかわらず、
粉末まで挽かないお陰で噛むほどに旨さが更に一味一味でてくる感覚に
襲われ、かける出汁つゆの旨さも手伝って、
さらりと食べてしまう不思議な旨さである。

ぶぶあられの如く、蕎麦の実の散らしてある卵のスフレは、
洋風の茶碗蒸しの食感が心地よい風味豊かなグラタン風の一皿。

六本木 スフレ.gif

その他、にしんやもずく、海老、山菜など、どれも主人のこだわりで
集められたちょっと素朴でいながら凝った個性的な肴がおもしろい。

六本木 もりあわせ.gif

目当てのうむどんは納豆も入った豪快な冷たいうどんなのだが、
納豆が豆の旨味が程よく臭すぎず、むしろ一緒に入った削り節が薫り高く、
葱も辛臭いというよりは、青い葱の香りが前に出る良いもので、
ひとつひとつは癖もあって、家庭ですると、
どこか強くひきたってしまうところが、玄人の仕事と云わんばかりに
一つの旨味と化す的確なバランスで出されている。

六本木 うむどん.gif

従って、良くかき混ぜてずるりとすすると、先述の薬味たちが
よくある稲庭うどんより細くて角ばったコシの強い麺と一丸となって、
喉越し良くいただける「うむどん」と化す。
ここからは一気にすすって噛んでの繰り返しで、
あっという間に食べ終えてしまう。後を引く旨さである。

この店の良さは肴などの個性的な加減もさることながら、
器やテーブル、内装も独特でいながら手づくりのぬくもりや技を感じる
個性的なもので、そういった器に盛られて出てくる皿の楽しさも
味わえるところである。

六本木 とっくり.gif

正直、肴のフルコースの割にうむどんのために酒を控えてしまい、
ちょっと肴に申し訳ない心地になってしまったが、
いろんな食器や内装が折衷で個性的でいながら調和が取れている点で、
蚯蚓は料理が運ばれてくる間にも楽しい心地になる。

今度は柏や箱根でも一杯引っ掛けたい心地にさせる、
一軒一軒が個性的で不思議な蕎麦屋である。



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2005年09月30日

東京・新宿三丁目(貝料理) 〜貝料理の専門店

最近新宿三丁目は、オステリアやスタンディングのワインバーなど、
新しい店の開店が目白押しである。

と言いつつ、本日は人に連れられ、もうずっと古い方に分類されるであろう
貝料理の専門店へ足を運び候。
いずれ記事にする予定であるが、茅場町や最近では神田にも新店を構えた
貝の専門店に蚯蚓はたまに足を運ぶ。
その会話から端を発して、この店へ行く事になった次第である。

少し前になるが、オイスターバーがアメリカから上陸し、
カキの洒落た店舗が増えたこともあったが、
今回の記事はその類の物とはいささか異なる。

はまぐりやあさりは勿論の事、カキやホタテ、ミルなど
一般のいわゆる貝全般をさまざまな料理にして出す、
どちらかというと日本酒や焼酎の合う和風仕立てな品を出す店である。

1階は10人弱のカウンター席のみで、2階は座敷席である。
この2階へ通されると、ここが新宿三丁目である事を忘れ、
どこか温泉地の小旅館へ来たような心地にさせる何とも不思議な
居心地の実に良い小ぢんまりとした座敷席である。

まず、お通しの如くに蜆の特有の青みがかった白濁した出汁エキスを
日本酒のグラスで出され、一口でさっと頂き飲む酒に備える。

新宿三丁目 しじみ通し.gif

早速今日薦めの刺身の盛り合わせに赤貝を足してもらい、ビールを発注。
程なくして刺身が来た。
ホタテは甘味とむっちりした食感が心地よく、香りも品良く美味しい。
白ミルも磯の香りがぐっと来つつ、歯ごたえ良く
日本酒との相性は言うまでも無い。

新宿三丁目 貝刺し盛り.gif

焼きはまぐりもこの貝の育ちの良さを感じさせる、
海草の甘味のような旨味たっぷりの味わい深い美味しさに酒が進む。

新宿三丁目 焼き蛤.gif

〆のあさりご飯と味噌汁もよく海ぺたで食べたりする、
潮気の良さでおいしさを感じる旨さというより、
あさりが沢山美味しいものを食べたところで、
漁師に獲られて調理されたような滋味深い甘味を感じさせる。

新宿三丁目 あさりごはん.gif

そのほかの陶板焼き風のものなどの料理も全て、貝の旨味の特徴を
一層際立たせる品ばかりで、実によい。
気持ち一皿辺りの価格が3丁目にしては高いところであるが、
値段なりの美味しさを堪能できる実力ある店である。

今度記事にする折は、名物の貝を使った餃子等のこの店ならではの
皿を特筆したいところである。
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2005年09月27日

東京・浅草(ロシア料理)〜下町老舗洋食風のうまいロシア料理

本日昼にロシア料理を頂き候。

浅草はロシア料理店が軒を連ねている街として有名であるが、
蚯蚓にとっては浅草では1件しか入ったことのない
あまり馴染みのない類の料理である。

祖父の墓参り帰りにどじょうでも頂こうかと国際通りの田原町寄り界隈を
てれてれ歩いていたところ、店構えはもう年期の入った高級喫茶店風の、
けれども、どことなく美味しい店である風格の漂うロシア料理屋を発見。

昼のコースが3000円弱で、値段だけ考えれば、いささか値が張るが、
色々料理を楽しめる割には安価な印象を受けたので、入ってみることにした。

店は2階が個室、1階が全部で30席弱ほどの大きめの店で、
入口の二重扉の重厚な雰囲気とは裏腹に、
よれたTシャツ姿の下町風情の親父が一人で食べに来ていたり、
と服装を気兼ねすることなく入れるところのようである。

早速2400円のロールキャベツのコースを発注。
しばらくして、サラダが出された。
オイルとビネガー等を皿の上からさっとかけてすますのではなく、
きちんと葉野菜にからめて出されており、仕事の丁寧さを感じさせる。

タイミングを見計らわれながら、次にボルシチが運ばれてきた。
このボルシチが一見するとキャベツやトマトのふんだんに入った、
単なるミネストローネに見える。
しかしビーツのしっかり入った赤味の鮮やかなトマトのスープを
一口頂くと時折サワークリーム系の酸味が来たり、トマトの酸味がきたり、
この豊かな酸味とキャベツや根菜の甘味が混ざって複雑な風味になったりと、
ベーコン味でお茶を濁す類のボルシチとは一線を画した美味しい一品である。

浅草 ボルシチ.gif

次の海老をまいたカニクリームコロッケは、
中のホワイトソースにカニの身とタマネギがふんだんに入っており、
一口食べるとタマネギの旨味と甘味がぐっときてそこにカニの身の
まったりした旨味が追いかけてくる。
マヨネーズソースでコクが一層増し、トマトソースの酸味が口を飽きさせない。
付け合わせもインゲンや人参が柔らかく
水分をたっぷり含んだ仕上がりをしていて、どことなく懐かしい、
家庭的な美味しさを感じる一皿。

浅草 カニコロ.gif

目当てのロールキャベツは、ボルシチのスープに浸された
キャベツラザニアといった風貌で、
牛挽肉がキャベツの皮の間に挟まれている。
このキャベツの皮が酢漬けになっているのか、
滋味深い酸味がこのロールキャベツを頂く間中ずっと続き、
飽きることなくどんどん頂けてしまう。

浅草 キャベツロール.gif

デザートと共に出されたロシアンティーは特筆すべき美味しさで、
自家製のイチゴジャムなのか、甘味が控えめでいて風味豊かなため、
沢山紅茶に入れても甘味の苦手な蚯蚓も別段気にならない。
むしろそのイチゴの風味と紅茶の香りの織りなす香りに心地よさを感じ、
食後のひとときをより一層豊かなものにする。

浅草 ロシアンティー.gif

全体的な雰囲気としては繊細な皿とは異なるが、
滋味深い酸味やタマネギの旨味の心地よさ、イチゴの心地よい風味など、
一皿に必ずポイントとなる美味しさがぐっと詰まった力強く、
暖かみのある料理であった。
かねてから理想の洋食を求めて人形町〜銀座を彷徨っていた蚯蚓であるが、
この力強く暖かみのあるロシア料理は洋食に相通じるものがある。
浅草のロシア料理や洋食の食べ歩きに興味が湧きそうな今日この頃である。

このお店の場所はこちら
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2005年09月25日

特別編・江ノ島 〜海っぺたで呑む一日

本日気の置けない飲兵衛達と連れ立って江ノ島へ足を運び候

昼に長谷駅で集合し、まずは店構えも立派な老舗の力餅家へ。

鎌倉 力餅.gif

すぐ側の海岸を眺め、その日が賞味期限の餅を頂くと
もち米のひねた香りが実に美味しさとのびやかな甘味のこし餡が
心地よい美味しさ。
土産には少し日持ちのする求肥の力餅を購入。

続いて江ノ電にて江ノ島駅へ。
今回の呑みツアーの道先案内人に連れられて、商店街を抜け、
江ノ島へ渡る橋へと向かう。
その橋の途中にこの屋台はある。

江ノ島 屋台.gif

店に入るとおでん屋台で既に数人の客が夜さながらにおでんと酒を
引っ掛けている。
早速はんぺんと白滝を発注。
程なくして、皿が出た。
塩味が強めのおでんで、味はほどほど。
取り立てて美味いというわけではないが、昼間から海を横目に引っ掛ける
心地よさに疲れ気味な蚯蚓の気持ちは一気によみがえる。
この店では、手製のらっきょうの塩漬けを発注でき、
それと、とうふがなかなか。
サザエの浜焼きも発注できるので、
それと日本酒でということも可能である。
なんだかんだで、結構な飲み食いをしたが、屋台価格で勘定。

鎌倉 おでん.gif

夕日を眺めながら、いざ江ノ島本島へてれてれと腹ごなしに散歩をする。
灯台からの夕日はほろ酔い気分もあいまって、
長旅に出て眺めたかのような非常に心打たれる景色である。

江ノ島 灯台.gif

さらに島の奥に進み、次は海の見える座敷席で、
釜揚げしらすだのアジのたたきだの焼きハマグリだのを食らいながら、
とりとめない話に花を咲かせて時が過ぎていく。

江ノ島 海の見える店.gif

江ノ島 鯵のたたき.gif

気づけばすっかり最後の客になっており、
暗い島道を抜け、橋の袂付近のスマートボール屋で一遊びした後、帰路へ。

特筆すべきおいしさの出会いを求めた食べ歩きというよりは
むしろ気分転換を重視したのんびりツアーであったが、
飲む面子と店の雰囲気のお陰で、充実感さえ感じるひと時を過ごせた日であった。
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2005年09月23日

東京・新宿三丁目(アフリカ料理)〜モヒートの旨い店

本日夜にアフリカンバーへ足を運び候。

先日蚯蚓の飲み仲間にこの店がテレビで紹介されるというメールが
来たとの事で、混んでしまうなら今のうちに行っておこうと思い立ち、
足を運んだ次第である。

そもそも蚯蚓がこの店に惹かれたのは1つの看板である。
新宿三丁目はゴールデン街同様、最近改装して、
小ぎれいな店構えの店が増えており、新宿の雑然とした風情が失われつつある。

そんな中、手製で店の雰囲気が感じられるこのたて看板が目に留まり、
店に入ったのが最初で、カラー電球が怪しい光を灯す暗い内装のカウンター中心の
バー風の店であるが、ギネスやら酒がノーチャージで飲め、
以来ふとしたときに立ち寄っている。

新宿三丁目 アフリカンバー.gif

この店の蚯蚓の好物はモヒートとヤム芋を使った料理である。
本日はその好物のモヒートと新たにヤム芋と野菜を煮込んだ料理を発注。
店はラッキーさんという自称なのか本名なのか不明なナイジェリア出身の
男性が料理や酒を一人で作り、運びは感じの良い女性が行う。

程なくしてモヒートが先行してきた。
ラッキーさんのモヒートはバカルディのラムベースなのだが、
底の分厚いグラスにミントの葉を入れ、
バースプーンでがつがつと葉を潰し、香りを出す。
また、葉の雰囲気が洋菓子にある類の葉脈のはっきりしたものとは異なり、
丸っこい葉脈のあまりない葉の様で、興味がそそられるところである。
ともかく甘すぎず、レモンの果汁が前に出すぎず、
ミントの甘くてサッパリした香りとラムがガツンと来るモヒートは
しっかりとしていて、旨い。

新宿三丁目 モヒート.gif

次にヤム芋料理が来たのだが、非常に辛い。
辛さの中に、野菜やら芋の甘味が出るのだが、
折角のモヒートの心地よさが半減してしまい、酒をビールにするか、
通常頼むもっちりさせたヤム芋とシチューにしておくべきだったと
いささか後悔しつつも料理を堪能。

この日初めて知ったのだが、ラッキーさんは太鼓を叩いて客とセッションする
らしい。客は皆めいめい上手に叩いてラッキーさんとセッションするのだが、
リズム感の無い蚯蚓はてんでダメである。
それでも上手にらしくまとめてくれるラッキーさんの腕は凄いところである。
そうこうするうちに、見知らぬ客とも会話が弾んで、ついつい長居してしまう。

そんなやんやと楽しめたり、軽く酒を飲める店であるが、
テレビ紹介により、混雑しない事を願いつつ、
しばらく日が経ってから、様子を見に足を運ぼうかと思っている次第である。
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